エピローグー5
「何かな? 少年」
男性は振り返り、守人に向き合う。
「ちょっと、お聞きしたいことがあるんですが、よろしいですか?」
「ああ、いいよ。俺で良ければ、相談に乗るよ」
「ありがとうございます。それで、聞きたいことというのは――」
守人は男性に近づき、少し躊躇うようなそぶりを見せている。私と涼姫の様子を窺っているのか、チラチラと視線をよこしている。一体、何を相談しようとしているのだろう?
「あの……ですね。その……」
守人は聞きたいようだけど、どうにも煮え切らない。本来なら、その隙に考えをまとめるべきだけど、私はつい習性からか、口を出してしまった。
「守人、早くしたら? そちらの方たちの迷惑でしょ!?」
「は、はい!」
守人は怯え、そしてようやく本題に入った。
「あの……ですね」
守人は男性の耳元で囁いた。
「……………………」
小声過ぎて、聞こえなかった。でも、
「…………………………ク、ククク」
男性は、まるで予想していたことが当たったかのように、笑い出した。
「クク……ハハハハハハ!」
我慢ができなくなったのか、笑い声が大きくなる。その最中、男性は私と涼姫を見比べて、さらに笑う。
「……ああ、そういうことね」
男性は、私たちの関係と、似たような関係にある2人と一緒にいる。この人は優柔不断ではなさそうだけど、この笑いからしたら、きっと守人がこういう関係についての相談をしたに違いない。しかも、男性がハーレム状態のようだから、同じように上手くやる、手練手管についてだろう。
だから、私は動いた。席から立ち上がり、都合のいい寝言を言った女の敵に、渾身のチョップをお見舞いする。
「痛っ!」
脳天に直撃を受け、悶え苦しむ守人。私はさらなる追撃をする。
「あなた……何、ふざけたことを言ってるのかしら?」
笑顔で尋ねるが、当然、怒っている。そんな私の挙動を見て、男性はさらに笑う。
「ハハハハハ……!」
「?」
私が怒る一方、涼姫は事態が飲み込めていないようだ。この事態が起きた理由を、男性に聞いた。
「すみません。何であなたは笑っているんですか? それに、どうして守人君が殴られてるんですか?」
「ああ、それはね」
男性は少し焦らして、それから口を開く。
「うーん……二人に聞いたら?」




