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エピローグー4

 笑っていた人は、若い男性だった。彼は、ワイシャツに薄手の上着、ジーンズという、季節感のある格好をしている。ただ、私と同じような緑色の髪をしているのが、特徴的だ。


 私は彼が笑ったことも気になったけど、彼の顔を見て、見覚えのあるような気がしてきたから、話しかけてみることにした。


「あの、ご迷惑ですか?」

「どうして、そんなことを聞くのかな?」


 紅茶を少し飲んでから、男性は返事をした。その声は、やはり聞き覚えがあった。でも、どこで聞いたのかが思い出せない。私は話を続ける。


「だって、ずっと私たちのことを見ているじゃないですか。あまりにもうるさくて、目くじらを立てているのかな、と思って」


「そんなことはないよ。優柔不断そうな彼が、どっちに行くのか興味深いとは思うがね」


「え?」


 確かに、守人は優柔不断だけど、少し見ただけで分かるものなの?


「どうして、彼が優柔不断だって分かるんですか?」


「見てれば分かるよ。あの快活そうな子と、それに対してきつく当たっている君。それに振り回されている彼を見てれば」


「ああ、そういうことですか」


 まあ、分かり易い連中だとは思う。お調子者で、でもどこか腹黒く、知性を感じさせられる涼姫。彼女に絡まれて、困ってはいるけど、でもいざというときには頼りがいのある守人。それから、私。


 それは良い。あくまで、話の口実だ。本題に入ろう。


「あの、失礼だとは思いますけど、私……あなたと会ったことがありませんか?」


「……なぜ?」


「いえ、何となくですけど、あなたと話すのが初めてじゃないような気がして……デジャヴュっていうのでしょうか?」


「……そうかもしれないね。ただ、俺と君は初対面さ。俺には、君と会った覚えがないからね。君のような可愛い子との記憶があれば、忘れるはずないし」


 初対面……か。でも、そんな気がしないのは、どうしてだろう? 彼は否定するけど、私は、彼と話すのが、初めてではない気がしてならない。もう少し話せば、何か糸口がつかめるかな?


 そう思ったけど、彼の連れらしき人たちが来た。


「お待たせしました」「お待たせ―、お兄ちゃん」


 青い髪をした美人な女性と、幼さを残した黒髪の背丈の低い美少女。この二人にも、私は見覚えがある気がする。


「待ったよ、二人とも」


「こういうときは、『そんなことはないよ』というものです」


「そうだよー。たとえ思っていても、そういうことは言わないものだよー」


「ああ、そうだな。悪かったよ」


 どこか、親近感を持ちそうなやりとり。私たちと、何かが似ているような気がする。そんなことを思った矢先、彼は立ち上がる。


「それじゃあね、可愛らしいお嬢さん」


 彼はウインクをしてレジに向かい、会計を済ませて出ようとする。


 待って――そう言いたいけど、これ以上、この人を止めるような話題が思いつかない。このままじゃあ、思い出せそうなことが、思い出せない。


 そう困っている私に気づいたのか、それとも素の想いからか、ある男が口を開いた。




「あの、すいません」




 涼姫に纏わりつかれていた守人が、彼女を引きはがして男性を呼び止めた。

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