エピローグー2
商業区に向かう自動バスに乗り込み、私はふと、思い出す。
10年前の年末。突如この地球に来襲した悪魔。それを撃退した神。
神は戦いながら、あるメッセージを送ってきた。
『私の名前は神皆破。今、緑のロボットに乗って、黒いロボットと戦っている者です。
地球にいる、すべての人類に、頼みたいことがあります。現在、私の乗っている緑のロボットには、エネルギーがあまり残されていません。ですから、皆さんの力を、分けてほしいのです。方法は、力を抜いて空に手を伸ばす――それだけです。全力疾走したぐらいの疲労感が出ますが、死ぬような危険はありません。お願いです。突然のことですけど、私を信じてください。この地球を、世界を護るために……』
その言葉は、世界中にいる人々の頭の中に、直接聞こえてきた。避難先にいる人たちは、皆半信半疑だった。でも私は、その声に親しみを覚えていた。信じられると、直感的に悟った。だから、私は率先して協力した。結構疲れたけど、別に問題はない。以降は皆を説得した。
そうして、世界は神皆破と名乗る神によって救われた。ただ、おかしなことに私は、そのことに、違和感を覚えていた。
私は10年前、神皆破と名乗る人に、直接会ったような気がしてならない。その時、両親も失って、私は1人ぼっちになった――そんな気がする。
おかしなことだけど、私の頭の中では、その2つの結果でこんがらがっている。
* *
『まもなく、商業区中央街。お降りの方は、ボタンを押してください』
自動音声が流れてきた。私は慌ててボタンを押して、停車させる。
降りると、そこには多くのビルがあり、また店舗があった。待ち合わせ場所は、その店舗群の1つ――喫茶店。時刻は8時55分。いいタイミングで着けた。
私は少し歩いて、喫茶店の前に立つ。すると、中に入っていればいいのに、待ち合わせをしている1人の男は、外で待っていた。
「あ、美奈陽。おはよう。まだその髪、切らないの?」
男――守人は、私に気づき、呼びかけてきた。
「おはよう。何とかしようとは思うけど、切っても数日でここまで伸びるし、染めようとしても全然効かないのよ。まあ、セットが面倒臭いだけで、特に困らないから、別に構わないんだけどね。……ところで守人。君、中で待ってるっていう発想はないの?」
「え? ……ああ、それもそうだね。いやー、最近お金が不足してて、躊躇っちゃうんだよね」
「不足? 何か、買い物でもしたの?」
「ううん。そういうわけじゃ……あ」
守人は、私の背後から来る人物に気づくと、忽ち喫茶店の中に連れ去られていった。彼が持ち合わせに困るという、原因であろう人物だ。
私も二人を追いかけて、中に入る。




