第9話ー7
3人が黙り込んでから、どのくらいの時間が経っただろうか。私は彼の望みを叶える手段を提示し、すべきことは終わっている。後は、ミナハが実行するかどうか。
「ねえ、美奈陽」
守人が話しかけてきた。
「その方法って、要するにギャンブルだよね? 君なら、やる?」
「ええ、やるわよ」
この方法にリスクはない。たとえ失敗しても、ミナハにとって失うモノは何もない。もちろん、他には影響があるかもしれないけど。でも、私がミナハの立場だったら実行する。
「……1つ聞きたい、美奈陽」
黙り込んでいたミナハが口を開いた。
「君は、後悔しないかい?」
「後悔?」
「君の案を実行しても、俺にとって失うものはない。でも、その結果、君たちが消えるかもしれない。それで、もし失敗したとして、君は後悔しないかい?」
ミナハはこの方法のリスクに気づいたようだ。でも、
「後悔なんて――しない」
きっと、上手く行く。たとえ他の結果が悪くなる危険があるとしても、彼は相応のことをしてきた。だから、私は自分が消える可能性があるとしても、彼の背中を押す。それが、彼にとっての救いの道であるから。また、私が失ったモノを取り戻せるかもしれない道だから。
「……そうか」
ミナハは満足そうな表情をしている。立ち上がり、玄関に向かう。
「ありがとう美奈陽」
扉の前で振り返り、ミナハは礼を述べてきた。
「お礼なら、上手く行ってから……は無理か。今受け取っておくわよ」
上手く行けば、おそらくミナハが私に接触してくることはないだろう。だからこそ、彼は今、礼を述べた。
「それじゃあ」
ミナハは、後ろ手に手を振りながら出て行った。
* *
「……これは?」
私の耳には、いつ着けたのだろうか、2つのイヤリングがある。それに、胸元にはペンダントがある。いつ、どこで、どうやって手に入れたのだろうか。それに、守人と涼姫も、イヤリングの宝石と同じ色をした、指輪をしている。
「どうかした、美奈陽?」
「いえ……なんで私たち、3人で私の部屋にいるのかなーって。何か、約束でもあったかしら? それに、同じ色のアクセサリー。こんなの、買った覚えある?」
「いきなり何を? そんなの……あれ?」
「ほら、あんたも思い出せないじゃないか」
「いやぁ」
「褒めてない!」
本当に、何で、3人で私の部屋にいるのだろう。守人はともかく、涼姫と私は、それほど仲が良いわけじゃないのに。
訳も分からないまま、私たちは夕飯を作ることにした。




