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第8話ー7

『守人に涼姫。デスアンドバースを発動させるのでしたら、注意点があります』


「クヌム? 時間がないのだけど」


 既に、カオスは準備を始めている。両手には力を集束するための、最後の二翼を使った篭手がある。後は、力を発動させるだけ。


『その心配は問題ないでしょう。彼女は1人ですから、こちらの2倍以上の時間がかかるはずです。

 さて、説明させてもらいますと、この術は扱いが難しいです。高い出力で、しかも生命と死というまったく異なる力をイメージしなければなりません。皆破のような例外ならともかく、普通の人間には、1人でやるのは難しいでしょう。何しろ、バランスが崩れれば瞬く間に力が相殺されて、消えてしまうのですから』


「なら、2人でやれば良いんじゃない?」


『ええ、そうですよ、涼姫。見たところ、あなたはケイオスの搭乗者が嫌いなようですので、死を担当するといいでしょう。逆に守人。あなたは好意を抱いているようなので、生命が良いと思います』


「分かった」


 僕は、涼姫に右手のコントロールを預ける。それから、僕は生命をイメージして、左手に発現させる。涼姫も、右手に死の力を発動させる。


『それと、この術を使っている間、他の力は使えません。無によって消されるからです。他に距離を取って扱える魔術媒介があれば別ですが、こちらの武装はすべてなくなっているから、無理です。まあ、向こうも同じ条件なので、不利にはならないでしょう』


「……それで、他には?」


 イメージを維持しつつ、僕は説明を促す。


『はい。この術は、発動時には両手を組み合わせますが、完成すれば、手を離しても無の力を維持できます。ですが、手を離してしまうと、時間の経過毎に力が拡散して消えていくので、注意が必要です。ただ、もう一度組み直せば、力は戻ります。要は、組み続けている時が、最大限の力を発揮できるということです』


「……そうか」


 力の合成は、最終段階に入っていた。既に両手の間の距離は1メートルを切っている。激しい反発が起きているけど、それによる痛みも、耐えられないほどじゃない。


『最後に、同じ無の力の勝負ですので、単純な力勝負になります。ですから、力を途切れさせないようにして、より速く、より重い一撃を相手に与えてください』


「ああ……了解……した!」


 ついに、完成した。決戦の行方を左右する、最強の力が。


「ブースト、フルパワー!」


 翼がなくなり、バーニアが完全に露出している。その出力を最大限にして、速度を高める。


「「デスアンドバース!」」


 術名の叫びと共に、カオスは空を駆ける。両手を突き出して、同じ姿をした機体と拳を交わさんとするために。

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