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第8話ー6

「うおおおおおお!」


『くうう!』


 攻撃が当たらず、ケイオスからは苦悶の声が上がった。


 そして、辿り着いた。距離にして数十メートル。手を伸ばせば届きそうな、でも微妙に届かなそうな、そんな距離。


「美奈陽、話がある」


『……守人?』


 応えてくれた。開戦直後とは違って、冷静なようだ。


「ミナハは、考えを変えた。彼が君に託した願いは、もう叶えなくていいんだ!」


『……あんたまで、そんなことを言うの?』


「あんたまで?」


 つまり、ミナハはもう、彼女に話したということか。


『そんな言葉、私は信じない。彼は、神なんだから。その言葉に間違いがあるはずはない!』


「そんなことはない! 神だって間違いは起こす。そもそも彼は、元々は人間。間違えることだってある!」


『な……うるさい! そもそもあんたは、本物なの!?』


「……本物?」


『守人は死んだ、私の目の前で。今、そこで私にお説教をしているあんたが、本物の守人であるって証拠が、どこにあるの!?』


「それは……」


 そんなこと、どうやって証明しろというんだ。免許証や学生証を見せればいい、という話ではない。自分が本物であることなんて、どうやって示せるというのか!?


 僕は、悩む。どうしたら、彼女を説得できるのか。でも、僕と一緒にいる涼姫は、僕と違ったことを考えているようだった。


「守人君。こんな頭の固い女なんて、力ずくで説得すればいいんです。人を信じることを放棄した女に何を言っても、無駄です」


『へえ? そっちの口の悪い方は、それらしいじゃない』


「褒めてくれてありがとうございます、彩美奈陽」


『別に、褒めてなんてないわよ。でも、力ずくっていうのは気に入った。勝った方が正義、これで良いでしょ?』


「ええ。あなたが負けて、私たちが正しいということを証明するだけですから、簡単ですね」


「……」


 一体全体、どうしてこうなった? 僕が説得しようとしてるのに、涼姫は僕の意向とはまったく逆の、力ずく。しかも、美奈陽もそれに乗っている。


「涼姫。君、どうしてそんなことを?」


「あなたも話していて分かったでしょう? 説得は無駄だって。そもそも彼女は、素直じゃないんだから。やりあわなきゃ分からない」


「まあ、そうなんだけど……」


『おしゃべりはそこまでにしなさい!』


 ケイオスが構えを取る。両手を広げて、そこに篭手が装備される。左右の手には、異なる命の力が発動される。


『少なくとも、女の方――涼姫っぽい女がいて、気に入らないことは理解できた。だから、あんたを壊す。そして、守人を名乗る方は、そこから引きずりだす!』


 ケイオスの両手の間では、スパークが起きている。異なる力の衝突によって、反発する力が周囲にあふれ出る。


「守人君! こちらも、いくよ!」


「ああ、涼姫!」


 こうなった以上、やるしかない。最終決戦への準備が、今始まる。

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