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第8話ー1

『コワシテヤル!』


 その叫びが、決戦の合図となった。


 双剣で襲いかかって来るケイオスに対し、僕たち――カオスは、同じく翼で創った双剣で受けた。


「ぐおおおお……!」


 性能に差はないはずなのに、こちらが押されている。


『ガアアアア!』


 ケイオスは、雄叫びを上げる。ケイオスの双剣が、赤と青に染まっていく。


『まずい、相殺しろ!』


 ミナハから指示が飛ぶ。だが、それは遅かった。こちら側の双剣は、瞬く間に燃え、また凍っていった。


『捨てろ!』


 反射的に、カオスから双剣を手放した。主を失った双剣は、その直後に燃え尽き、また砕け散り、元の翼となってカオスに戻ってくる。


「……これは、かなりヤバいんじゃないかい?」


 ケイオスの様子を見る限り、美奈陽はまともな精神状態ではなさそうだ。だけど、冷静でもあった。


 こちらが同じ武器で対応してきたら、即座に炎と氷を双剣に付与させて、武器を破壊した。これだけでは些細な損害でも、繰り返していけば徐々にこちらが追い詰められる。


『おい、ボヤッとしている暇はないぞ!』


 分析をしていたら、ミナハの激が飛んできた。その言葉通り、ケイオスは追撃を始めた。


「涼姫! 火を頼む!」


「了解!」


 涼姫に火をイメージさせ、僕は水をイメージする。そのイメージが、カオスの双拳に具現化される。


「は!」


 赤く染まった剣に水の拳を、青く染まった剣に火の拳をぶつけた。相反するエネルギーが衝突し、各々が発動していた力は霧散した。同時に、ケイオスとカオスは後方に弾き飛ばされる。


「光!」


 カオスの体制を即座に立て直し、光をイメージする。拳に光を集中させ、放った。


 威力よりも早さを重視した一撃。放たれた閃光は、カオスの拳程度の大きさだったけど、効果があった。ケイオスが防御に構えた双剣を、一瞬にして焼き尽くした。


「まだまだ!」


 武器を失ったケイオスに追撃をかける。だけど、涼姫が止めた。


「ダメ!」


 動かそうとする意思とは逆の、停止させようとする意思。とっさに強く念じたためか、カオスは涼姫の意思に従った。


「なぜ、止めた?」


「よく見て」


 涼姫は、クールな視線をケイオスに向ける。僕も凝視すると、ケイオスの周囲には8つの翼がすべて展開されており、もう少し踏み込めば、全周囲からの一斉攻撃で沈められていたかもしれない。


「……罠?」


『そうだ』


 僕の問いかけに、ミナハが答えた。


『遠隔操作できる武器。あの1つ1つが、一個の魔術媒介になっている。あらゆる属性の力を使えるし、あらゆる武器に変化する。魔力を使って変形させていれば、それが破壊されても元の翼に戻るだけで、変形に使った魔力を消費するだけで済む。君も、さっき理解しただろ?

 そして、迂闊に突撃すれば、四方八方から襲われて終わる危険のある、実に厄介な物だ』


「全方位攻撃……あなたの趣味?」


 僕が生まれる前に流行っていたアニメで、あんな武装をしたロボットを見たことがある。


『まあな。実戦的でもあるだろ?』


「その通りだとは思うけど……で、対策は?」


『同じ手を使ったらどうだ?』


「……そうなるか」


 同じ武器で対応すれば、能力に差がない以上、相殺できるはず。ただ、今度はパイロットの問題がある。


『あの武器は、少ない数を出すだけなら問題ないが、多数になるとその処理が困難になる。普通の人間だと、精々2つが限度。単純な命令なら俺がサポートできるから、考えて使っていけ』


「了解。ミナハ、4つの翼で周辺の警戒を頼む。涼姫、君は2つの翼を使って攻撃。僕は、残り2つを武器にして、直接仕掛ける!」


『承知』


「はい!」


 それぞれの役目を支持し、行動に移る。


「涼姫、射出!」


 まず、2つの翼で牽制を図る。続けて、


「ブースト!」


 再度両手に剣を装備し、カオス本体で、ケイオスに接近する。

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