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第7話ー2

 青年に答えを示そうとしたところで、荒野は消えた。


「確か、僕は……」


 起き上がり、周りを見ると、そこには大勢の兵士が倒れていた。全員が急所に拳を喰らったようで、怪我の箇所がはっきりと身体に出ている。起きる気配が微塵たりとも感じられない。その中に、兵士を指揮していた皇の姿もあった。


「やあ」


 倒れた兵士が溢れる通路に、青年は立っていた。荒野にいた青年だ。ただ、シャツにジャケット、ジーンズというラフな格好をしている。


「あなたは?」


 再び問いかける。今度は、答えてくれた。


「もう一度会うことがあるって言っただろ? ねえ、お兄さん?」


「お兄さん……ミナハ?」


「正解」


 青年――ミナハは、微笑を浮かべている。あの時会った幼い子供と同じ微笑を。


「僕は……確か撃たれたんじゃ?」


 起き上がり、身体を見る。服はボロボロになっていたけど、身体にはかすり傷一つない。


「ああ、撃たれたよ。面倒臭いナノマシン搭載の弾丸で」


 ミナハは、一個の弾丸を差し出してきた。


「君の傷は、彼女じゃあ治療できなかった。ナノマシンを無力化する術を思いつけなかったからね。あのままじゃあ、君は死んでたね」


 ミナハは弾丸を捨てる。


「彼女……そういえば、美奈陽は?」


「あそこだよ」


 ミナハは、上を指した。でも、あるのは天井だけ。


「…………どこ?」


「空だよ。そこから見えるだろ?」


 今度は、エレベーターの方を指す。そこには先刻見たエレベーターはなく、ただ空っぽの空間があるだけ。上にも下にも大きな穴があり、天井があった場所からは月の光が注いでいる。


 僕は、落下しないように穴に近づき、空を見上げた。


「……あれは」


 望遠鏡を覗き込むように、僕は目を凝らす。そこには、小さな緑の塊があった。地上に光の雨を降らせながら舞う、幼い頃に見た神の姿が。


「まさか、あれに乗ってるとでも言うの!?」


「ああ、そうだ。彼女はあれに乗って、私の願いを叶えようとしている」


「願い?」


 それは、おかしい。少年のミナハが語った昔話では、神の願いは、世界の行末を、美奈陽に決めてもらうということのはず。そもそも、このミナハは何者だ? 神の息子?


「違うね。私は、神の息子ではない。本人だ」


 僕の内心の疑問に、どうやって察したのか、ミナハは答えた。


「昼間、君に会った時、ネタバレをした。あれは、ほぼすべてと言っていいが、実は、肝心なところが抜けている」


「肝心な所とは?」


「それは――」


 ミナハは、少し溜めて、こんな言葉を吐き出した。




「――世界を、滅ぼすことさ」

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