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第6話ー8

「破壊する」


 呟く。1度呟くと、何度も口が動いた。


「……破壊する。……破壊する。……破壊する、……破壊する、破壊する、破壊する、破壊する破壊する破壊する破壊する破壊する……………………………………………………」


 突然、頭がすっきりしてきた。


 今までは詰んでいたと思っていた現状に対して、今の私には、それを打破する道が見えている。でも、守人を助ける術だけは見えない。


 ……ただ、不思議だ。怒っているのに、悲しいのに、私は冷静に、そう判断している。そのギャップに少し驚くが、私は導き出された答えを実行する。感情の赴くまま、私はすべての力を解放させる。




「破壊する!」




「無駄無駄! 全兵士にはEMCを装備させているのだ! 君の魔術も無力化して――」


「ぶ!?」


「え?」


 皇が自慢話をしている間に、皇の近くにいる兵士に向けて弾丸を放った。兵士は、高速かつ超重量の弾丸をお腹に受けて、前のめりに倒れた。


「な、な、な、何をした!?」


 皇は、想定外の事態に戸惑っている。


「破壊する」


 続けて、もう1度弾丸を放った。また1人、兵士が腹に衝撃を喰らって倒れる。


 弾丸。――それは、黒いイヤリング――闇の力を使った、重力を圧縮したもの。


 奴らが使うEMCは、あくまでも魔力を拡散させるもの。すなわち、より圧縮した魔力だったら、拡散しきる前に倒すことができる。これに対して、


「で、で、で……電磁フィールドを最大限にしろ!」


 兵士らは、戦闘服に装備されている小型の機械を操作する。目には見えないが、身体にある魔力が次々と失われていくのを感じる。どうやら、彼らの持つ機械は、大気の魔力だけではなく、肉体にまで干渉してくるようだ。


 だが、この程度のことは問題にはならない。私の出力だと、今度は魔力が完全に拡散されてしまうので、無力化されてしまうだろう。今までのように破壊することはできない。


 でも、派手に魔術をぶっ放さなくても、こいつらを殲滅するなど造作もないことだ。


「一斉掃射!」


 皇が命じる。8人の兵士が、同時に弾丸の嵐を起こした。


「破壊する!」


 でも、私は動じない。身体の外に放つ魔力は完全に消し去られるけど、身体の中であれば、ある程度EMCの干渉は受けるものの、発動できる。


 なので、私は自らの内側に魔術を発動させる。全魔力を用いて、身体の強度と神経伝達速度を高め、常人ではあり得ない力と速度を、この身に具現化する。


 私の意識は活性化され、弾丸がゆっくりと飛んで来るのを認識しながら、私に銃撃が命中する前に、通路の右端に寄る。それを見た皇は、追い詰めたことで喜んだのか、醜悪な笑みを浮かべる。しかし、現実は、奴の思い通りにならない。


「何ぃ!?」


 私は、右端の壁を走っている。強化した脚力で壁を貫き、銃弾を掻い潜ってそこを走っている。その曲芸的な動きに、兵士は皆、茫然としている。その隙に、兵士たちと皇の間に入れた。ここならば、同士討ちの危険があるので、一斉掃射はできない。私は、一人の兵士を殴る。


「破!」


 身体強化にすべてを注いでいるので、他の魔術を使う余裕はない。そこで私は、単純な暴力に訴えた。ただ鳩尾を殴り、昏倒させる。死亡させなくても制圧はできるので、消費魔力の観点からも、これがベストだ。


 密集しているので、銃は使えない。各々の兵士はアサルトライフルによる銃撃を諦め、格闘技で臨んできた。


「壊!」


 肉弾戦の場合、1度に攻撃できるのは精々3、4人。こちらは格闘技の素人だけど、動きが見えていて、かつ速く動ければ、勝てないことはない。また一人、意識を失う。


「おらあああ!」


 でも、いくら速いと言っても、人間である私には、動きの限度がある。もう1人を殴ろうとしたところで、腕を掴まれた。でも、対策はできている。私は、瞬時に対処する。


「はああああああ!」


 全身に力を発動させる。肉体を強化するのではなく、神経伝達に使用されている生体電気の量を増やした。そして、増やした電気を、掴まれている箇所に集める。すると、


「ぎゃああああああ!」


 私を掴んでいる兵士は、感電して倒れた。


「あ、あ、うわあああああ!」


 その光景を見て、兵士は錯乱した。


 ある兵士は何も考えず向かってきて、ある兵士は状況を顧みずにアサルトライフルを乱射しようとした。


 私は怒りながらも、冷静に対処した。危ない乱射男を早急にダウンさせ、続けて素手で来る兵士を叩きのめした。それを繰り返していく内に、兵士は瞬く間に倒れていった。同時に、彼らが装備しているEMCも、壊されていく。

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