表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/73

第6話ー7

「な……」


 どうして? 私は、あなたを助けるために来たのに。こいつらを殲滅できれば、EMCを壊して治療ができるのに。


「もう……君の泣くところを、見たく……なく、て。ごめん……ね」


 小さな、微細な大きさだけど、私の耳にはその言葉が聞こえていた。多分、彼は、私が撃たれることを確信していたのだろう。だから、最後の力を振り絞って立ち上がり、助かるかどうか分からない自分を犠牲にして、より可能性のある私の盾になった。


「も……り……と……」


 倒れていく守人を、私はじっと見ていた。1秒にも満たない時間の中で、私は自分に、ある感情が湧き上がってくることを強く感じていた。


 その感情は、両親に対して持っていたものと、微妙に近かった。そして、両親を失ったことによって生じた感情と、まったく同じものだった。


「も……り……と……」


 彼は、ようやく地面に伏した。その時、湧き上がった感情が、一気に爆発した。


「守人おおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 涙が止まらない。これまで流したものとは比較にならないくらいに、大量の雫が床に落ちた。




『あなたも、気づいているでしょう?』




 ああ、そうだよ。分かっていたよ。私が、こんなにも彼のことを想っていたことは。


 私が他人を寄せ付けなくても、彼はそれでも、私と触れ合おうとした――手を差し伸べてくれた。その行いを、嬉しく思っていたことも。


 ただ、あの人のことも想っていたから、私にはその感情が、何であるか理解できなかった。だから、手を取れなかった。




『君が大きくなったら、私の願いを叶えて欲しい。君が世界を肯定するなら、私は世界を護ろう。でも、君が世界を否定するなら、君に……壊してほしい』




「決まったよ……ミナハ」


 私の答えは、決まった。大切なモノを壊す、醜悪な世界に対する答えが。目的のためには手段を選ばず、利益のために何でもする世界に対する答えが。


 私は、この場にいない彼に、依頼に対する答えを告げた。




「破壊する」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ