第6話ー7
「な……」
どうして? 私は、あなたを助けるために来たのに。こいつらを殲滅できれば、EMCを壊して治療ができるのに。
「もう……君の泣くところを、見たく……なく、て。ごめん……ね」
小さな、微細な大きさだけど、私の耳にはその言葉が聞こえていた。多分、彼は、私が撃たれることを確信していたのだろう。だから、最後の力を振り絞って立ち上がり、助かるかどうか分からない自分を犠牲にして、より可能性のある私の盾になった。
「も……り……と……」
倒れていく守人を、私はじっと見ていた。1秒にも満たない時間の中で、私は自分に、ある感情が湧き上がってくることを強く感じていた。
その感情は、両親に対して持っていたものと、微妙に近かった。そして、両親を失ったことによって生じた感情と、まったく同じものだった。
「も……り……と……」
彼は、ようやく地面に伏した。その時、湧き上がった感情が、一気に爆発した。
「守人おおおおおおおおおおおおおおおおお!」
涙が止まらない。これまで流したものとは比較にならないくらいに、大量の雫が床に落ちた。
『あなたも、気づいているでしょう?』
ああ、そうだよ。分かっていたよ。私が、こんなにも彼のことを想っていたことは。
私が他人を寄せ付けなくても、彼はそれでも、私と触れ合おうとした――手を差し伸べてくれた。その行いを、嬉しく思っていたことも。
ただ、あの人のことも想っていたから、私にはその感情が、何であるか理解できなかった。だから、手を取れなかった。
『君が大きくなったら、私の願いを叶えて欲しい。君が世界を肯定するなら、私は世界を護ろう。でも、君が世界を否定するなら、君に……壊してほしい』
「決まったよ……ミナハ」
私の答えは、決まった。大切なモノを壊す、醜悪な世界に対する答えが。目的のためには手段を選ばず、利益のために何でもする世界に対する答えが。
私は、この場にいない彼に、依頼に対する答えを告げた。
「破壊する」




