第1話ー3
会議は、おおよそ1時間ぐらいで済んだ。
今回のお題は、応募のあった人員の派遣先の決定と、具体的な作業内容の確認だ。
人員は、総勢千人ほどの新緑高校の内、3割近い人が参加してくれることになっている。
それから、作業については、瓦礫の撤去は既に完了しているので、主に産業の復興の手伝いである。産業については、ソーラーパネルの設置と、石油を造る藻の培養プラント建設の手伝いである。共にパワードスーツの使用ができるので、企業の専門家の指示があれば、学生である私たちにも手伝いができる。
「それでは、以上で会議を終えようと思いますが、何か意見はありますか?」
最後に、私は意見を募った。
「特にありません」
3人は同じ回答をした。
「では、これで終わります。この件については今回で最後になります。明日からの活動でもよろしくお願いします」
会議の終了を告げると、守人は逃げるように生徒会室を後にし、涼姫は彼を追いかけて行く。
「お疲れ様でした、美奈陽」
メイが、コップを差し出してきた。そこにはコーヒーが入っている。
「ありがとう、メイさん」
コップを受け取り、1口……熱くて、私は息をかけて冷ましながら、ゆっくり飲んでいく。
「ちょっと、聞いても良いですか?」
「何かしら?」
「会計と書記の2人のことです。なぜ、あの2人を生徒会に置いておくんですか? 美奈陽もあの2人に対しては、嫌気がさしてるんじゃありません?」
いつも私のサポートに徹している彼女にしては、珍しい発言だった。私は少し驚くが、すぐに納得した。私が動くにあたって、彼らは私を苛立たせていることに違いない。そのまま置いておくのは、確かに不思議に思える。
「まあね。ただ、陣君や団さんは、それなりに働いてくれているからね。それに、私とはまったく違ったタイプの人間がいた方が、私だけでは見えないものが見えることもあるだろうし」
「そういうものですか」
「ええ、そういうもの」
「なるほど。とりあえず、納得しておきます。ですが、もう1つ、よろしいですか?」
もう1つ? 今日の会議で他に何かあったかな?
「美奈陽は、どうして会長をしているんですか? 美奈陽の能力でしたら、この学校でくすぶっていなくても、飛び級してバリバリ活躍できると思うんですが。それに、さっきの話に戻りますが、あの2人のような人を相手にすることが多くて、気苦労が溜まるんじゃありませんか?」
「過大評価だよ」
メイの評価は、大変ありがたいものだ。だけど、私はそれほど大した人間ではない。
「確かに、あなたの言う通り。会長なんて面倒な仕事をやる人は、物好きだとは思う。だけど、ただ勉強しているだけでは、成長できない」
「成長?」
「そう。たとえ勉強ができたって、それだけじゃあ面白くない。様々な他事にも興味を持って力を出す。それでこそ、私は成長できると思う。よく言うでしょ? 社会に出て学校の勉強はあまり役に立たないって。社会で求められているのは、抽象的であまり好きじゃないけど、熱意なんだって」
「……確かに」
「色々な経験をして――学ぶ。そうして人間として大きくなることで、ようやく?神様?と話ができる。私はそう思うよ」
「? 神様??」
「ううん、何でもない。それじゃあ、お疲れ様」
そう言って、私は生徒会室を後にした。




