第3話ー9
話をしていると、生徒会室に着いた。私はドアを開け、アンを招き入れる。
「ここが、生徒会室ですか」
生徒会室に入ると、アンは物珍しそうに中をジロジロと見て回っている。
「もうしばらくすると、残りのメンバーが来るから、しばらく待ってて」
「何か用事でも?」
「ちょっと、忘れ物をしてきたから」
そう言って、私は生徒会室を後にしようとする。しかし、
「忘れ物って、何かあった? おねえちゃん」
背後から、声が聞こえてきた。ミナハだ。
「……なんで、そこにいるのかしら?」
「え? 一緒に入ってきたじゃん。ねえ、アンおねえちゃん?」
「ええ。その方なら、私が入室した直後に入って来ましたよ」
……訳が分からない。
私がアンを招き入れた時、彼はここにはいなかった。でも、アンは、彼女に続いてミナハが入ってきたという。まったくもって、訳が分からない。いや、気にしたら負けなのだろうか? とりあえず、肝心の人物は見つけたんだ。話をしよう。
「いたならちょうど良いわ。帰ってちょうだい」
「唐突だね、おねえちゃん。昼休みの時に約束したでしょ? せめてそれぐらいは守ってくれないと、おねえちゃんの秘密を暴露したくなるよ? たとえばスリーサイズとか、体重とか」
「はあ……」
微笑を浮かべながら、私を攻めてくるミナハ。こちらには武器がない以上、従うしかないか。
「それじゃあ、君はどこで私を観察するつもり?」
「もちろん、ここでだよ。ライブに勝るものはないでしょ?」
あっけらかんと、問題のあることを言ってくれる。
「ここには、アンさんだけじゃなくて、他にも3人来る。特にある女は、口が軽いから君のことをすべらしかねない。だから、せめてどこかに隠れててくれない?」
「仕方がないね。ワガママなおねえちゃんの、精一杯の妥協案だから、飲んであげるよ」
どっちが我儘だ、と突っ込みたくなるが、ここは堪えよう。
彼を隠す算段を考えていると、足音が聞こえてきた。残りの生徒会の役員らだ。
「マズイ、もう近くまで来てる! ミナハ君、早く隠れて!」
そう言ってミナハの方を見ると、既に彼はいなかった。
「ミナハ君?」
周りを見るが、彼の姿はどこにもない。探そうかと思ったが、入口のドアが開かれた。
「おまたせしました、会長」
メイが入ってきた。守人、涼姫と続く。
「会長? どうかしましたか? キョロキョロと目を泳がせて」
「いえ、何でもないわ。それじゃあ、人も揃ったことだし始めましょうか」
「その前に、かいちょー」
珍しく、涼姫が尋ねてきた。普段なら必要なこと以外には口を開かないくせに、どういうつもりだろうか。
「そこにいる人は、どなたですかー? 役員じゃないですよねー?」
内容を聞いて私は少し驚くが、すぐに落ち着いた。彼女が聞きたいのは、アンのことだった。
「彼女は、今日編入してきた不知火アンさん。生徒会の仕事に興味があって、見学したいそうだったから、私が見学を許可したの。何か問題でもあるかしら?」
「いいえ、べつにー」
「なら、始めましょう」




