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第3話ー3

 寮を後にした私は、徒歩で学校へと向かっている。


 寮から学校までは、だいたい徒歩で10分ぐらいの距離だ。短い距離だが、途中には学生向けの商店街があり、一通りの物はこの通りで買える。というのも、私のいる教育区――寮や学校には、他に買い物ができる場所がないからだ。


 新緑町は完全な循環社会を目指すモデルシティとして設計され、北から時計回りに工業区、居住区、商業区、教育区と円状になっている。さらに工業区の北には研究区があり、それぞれ役割が分けられている。


 なので、学校のある教育区には、基本的に教育に関連したものしかなく、買い物をするためには商業区に行かなければならない。ただ、それだと不便なので、教育区でも買い物ができるよう、学校近辺に商店街が設置されている。


 私はいつものように、愛用している栄養補助食品と飲料水を薬局で買い、学校へ向かう。




 今日の私は、はっきり言って、気分が良かった。ドタバタはあったけど、美味しい食事を食べて、油断すればスキップでもしそうなほどだった。


 でも、その途中で、私をイラつかせる存在を発見した。


「――だ、だからさー、団さん。少し離れてよ」


 守人が、涼姫に腕を掴まれながら歩いている。


「えー。いいじゃん、別にー。こうしてると暖かいでしょ?」


 涼姫が、いつものように守人にべったりとくっついている。


「僕はちゃんと着込んでるから、逆に暑いくらいだよ。だからさ、少し離れてよ」

「だったら、脱げばいいんじゃない? そうしたら、くっついてても問題ないでしょ?」

「いや、論点がずれてるから……」


 イライラする。他の方もそうだと思うが、公道で堂々とラブコメみたいなことをされていると、非常に腹立たしく思えてくる。


 特に、守人に対してイラつく。はっきりと拒絶すればいいのに、なぜそうしないのだろう?


 このままの速度だと、学校に着くまで延々と耳障りなノイズを聞かされる羽目になりそうなので、私は速足でその場を離れることにした。だが、


「あ、かいちょー」


 涼姫の呼ぶ声がした。


「……………………はあ」


 頑張って堪えようとしたけど、つい溜息が出てしまった。


「あれー、かいちょー。どうかしたんですかー? 微妙に顔が引きつってますよー」


 そう言う自分こそ、クスクス笑いながら、何を言うのだろう。明らかに、私が嫌がるのを楽しんでいるくせに。


「……別に。仲が良いのは結構だけど、そんなべたべたしながら歩いていると、遅刻するわよ?」


 公道の上である以上、私からは何も言うことはない。さっさと立ち去ろうとするのだが、


「ち、違うんです、会長! これは、彼女が一方的に絡んできてるだけで――」


 訳の分からないことを言って、守人が私を引き止めてくる。


「何が言いたいの、陣君? 別に、私はあなたたちを非難するつもりはないわよ。仕事をきちんとしてくれれば、他は何をしようが関係ないわけだし。その言いぐさだと、浮気現場を恋人に見られて弁解しようとしている情けない男に思えるけど、私と君とは幼馴染である以外関係ないんだから。別に、好きにイチャイチャしてくれて構わないわよ」


「そ、それは……そうなんですが……」


 何か言いたいようだが、彼は上手く表現できないのか、しどろもどろになっている。だが、彼が言葉を紡ぐのを待つつもりは、私にはない。


「言いたいことがないなら、私はもう行くから。遅刻しないようにね。陣君、団さん」


 私はその場を去った。

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