御徒町樹里の西遊記(番外編)
少しでも皆様の癒しになればと思います。
御徒町樹里はある国の僧です。
樹里は夢で観音様のお告げを聞きました。
「御徒町樹里よ、ありがたい経典を授かるため、天竺に旅に出るのだ」
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。
「明日にも旅に出るのだ。頼んだぞ」
「はい」
樹里は更に笑顔で答えました。
翌朝です。
樹里はいつものように寺院に行き、お経を唱えます。
「こらこら!」
観音様が現れました。
「早く天竺に旅立たんか!」
観音様は切れました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。
「では旅に出ます、御手洗様」
「誰がキヤノン会長だ!」
観音様はまた切れました。股が切れたのではありません。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
「頼んだぞ」
観音様はそう言って消えました。
樹里は天竺へと旅立ちます。
馬に揺られて進むと、山賊が一人現れました。
「金を出せ」
山賊が言いました。
「はい」
樹里は鐘を出しました。
「ふざけるな、その鐘じゃねえよ、銭だよ!」
山賊は怒りました。
「はい」
樹里はジェニー人形を出しました。
「いつの時代のおもちゃだ!」
時代設定のいい加減さに山賊は切れました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
「坊主、俺を舐めるなよ!」
山賊はまた切れました。股は切れていないのでご安心下さい。
「舐めたくないです」
樹里は笑顔で応じます。
「このヤロウ!」
山賊は樹里を馬から引き摺り下ろします。
「きゃ!」
樹里の帽子が脱げて、長い髪がサラサラと広がります。
山賊は樹里が女の子だと気づきました。一目惚れのようです。
「これをお持ち下さい」
山賊は自分の持っていたものを全て樹里に渡しました。
「お金はいくらあっても邪魔にはなりませんよね」
山賊は自分の財布を樹里に差し出します。
「そうなんですか」
樹里は旅の資金を手に入れました。
ファンファーレが鳴った気がします。
「どうかご無事で」
樹里が見えなくなるまで手を振る山賊です。
めでたし、めでたし。
お読み下さり、ありがとうございました。