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二十二章 “ルヴィス皇室晩餐会 其の弐”

 帰りたい……心の叫びだ。


   「俺、浮いてるよな……確実に。」

   「わ、私もですよケント。」


 豪奢なドレスやタキシードを着込んだ紳士淑女が談笑しながら食事をしたり、中央でワルツに合わせて踊ったり……

そんな中世ヨーロッパ的な世界にポンと送り出された現代人たる俺。

格好だって白生地のTシャツにジャケット羽織って、下はデニム生地のパンツなんていう素晴らしき私服。

フィニの格好も到底周りの人間にマッチしているとは言い難い。


 結局、俺もフィニもそんな世界に入って行けず、適当に皿に盛って来た料理を隅っこで二人で食べている。


   「お飲み物は如何ですか?」


 ふいに横から声を掛けられた。

丸盆の上にいくつものグラスを乗せた若い男性だ。


   「えぇ……あぁ……あの、結構です。」


 しどろもどろになりながら断る。

だって……だって……なんか怖い。


   「そうですか。」


 それだけ言って去って行き、また別の人に声を掛けている。

丁度グラスの中の飲み物が空になっていた老紳士で、その老紳士は快く受け取った。


   「もう逃げようか?」

   「ケント、気持は分かりますが……」


 俺を窘めるようにフィニが言葉を紡ぎかけたところで、しかしフィニが口を噤んだ。

一人の端麗な顔をした若い男性が近づいてくるのが見えたからだ。


   「お初にお目に掛ります。ワタクシ、名をウェルストンと申します。」


 いきなりフィニの目を真っ直ぐに見てそんな風に自己紹介してくれた。


 見た感じ若くしてかなりのお偉いさんって雰囲気だ。

侯爵とか伯爵とか地位名は知ってはいるけど詳しくはよく分からないし、どれくらい偉いんだろう?


   「貴女のような美しい方がこの様な隅で粛々としていらしゃって、どうされました?」


 ここで気付く。

ウェルストンと名乗ったこの男の眼にはフィニしか映っていない。

俺なんて視界の隅どころか、脳内からも排除されている事だろう。


   「もしよろしければ、お名前を教えていただけませんか?」

   「……フィニ。」


 フィニはほんの少しの逡巡の後、控え目に答えた。

それがどうやらウェルストンの琴線に触れたらしく、フィニを見る目が情熱的な物に変わった。


   「なるほど。フィニ様ですか。変わったお召し物ですが、なるほど美しい貴女によく映える。今日この場で出会えた事を神に感謝いたします。」

   「ふえ!?///」


 ウェルストンは気障ったらしい口上を並べると傅き、何事かと思ったらフィニの手を取って何の躊躇いもなく手の甲にキスをした。


 ネルグラン伯爵に続いてまたぁ!?

何?貴婦人の手の甲にはキスをするのが貴族の嗜みですか!?

現代日本人たる俺だけが分かっていないだけなんですか!?


   「一曲お相手願えますか?」


 唇を話すと顔を真っ赤にしているフィニの目を真っ直ぐに見て、そして少し頭を低くしながら右手を差し出し、そう言った。


 Shall We Dance?ってか?……こいつ殴っても良い?


   「おやおや、またウェルストン卿ですよ。」

   「今度は異国の少女ですか。全くもって物好きなことですな。」

   「関わらずに居ればいい物を、自ら関わって行くとは……」


 そんな風にやり取りする声が聞こえた。

その話から察するに、このウェルストンという男は相当の女っ誑しな上に物好き男ってことですか……


   「え?でも、その……」


 フィニは困ったように俺とウェルストンの右手の間で視線を往復させる……何故こっちを見る?

そのフィニの視線を追って、漸くウェルストンは俺がいる事に気付いた。


   「おや?気がつきませんでしたな。女神と見紛うほどの美しい方がいらっしゃると思いきや、その傍らには羽蟲の様に汚らわしい男。」


 言ってくれるぜ……


 俺は右手に握りこぶしを作る。


   「お嬢さん、このような男は貴方に相応しくありません。是非、こちらの方でご一緒しませんか。」


 ついでにフィニを攫って行こうとしやがる……これはもう俺裁判的に死刑で構わないよな?


 そういうわけで、俺は握りしめた右腕に力を……入れなかった。


   「…とを………で……」


 フィニの呟きが聞こえたから。


   「え?」


 どうやらウェルストンには聞こえなかったらしい。御愁傷さま


   「ケントを馬鹿にしないで!!」


 同時に響き渡るパァンという快音。

そう、フィニがウェルストンの頬を張ったのだ。


 怒り心頭といった表情でウェルストンを睨むフィニ。

対してウェルストンは暫く何が起こったか分かっていない様子であった。


   「あーフィニ?俺は気にしてないから、そんなに怒らなくても……」

   「私が怒っているんです!ケントの事、何も知らないのに!勝手なことばっかり言って!!」


 フィニの優しさだな。

人の為に怒れるなんて、やっぱりフィニは優しい。


   「おお!あの少女、ウェルストン卿の頬を引っ叩きましたぞ。」

   「気に食わぬ若造ではあったのだ。清々する。」

   「しかし、由緒あるルヴィス皇室晩餐会であのような事をしでかして、皇帝陛下殿が何を仰ることやら……」


 会場内はざわついていた。

まあどこの馬の骨とも知れない異国の少女が、見た感じお偉いさんを平手で殴ったのだから当然だ。


 まいったなぁ……


   「この女……」


 漸く我に帰ったウェルストンが怒りで顔を真っ赤にしながら、フィニを睨み返した。


 う~む……ブチギレ状態だな。


   「下手に出ておれば付け上がりおって……許さん!高貴な私の顔を傷付けたその罪、万死に値する!!」


 いや、せいぜい傷害罪くらいかと。死刑にはならんよね。


   「私だって許しません!ケントに謝ってください!!」


 しかしフィニも頑として引かない。

どうやら譲れない一線がありそうだ。


   「まだも言うか!ならばその身をもって償え!!【精霊よ】【破壊を求める衝撃の理】」


 うわ魔術!?

短気過ぎだろウェルストン……


 でも、まあ問題ない。

なんたってフィニの言霊の方が圧倒的に速い。


   「≪止ま……」


 しかしフィニが言霊を言い切る事は無かった。

その前に、何者かの手がウェルストンの肩に置かれ、ウェルストンの魔術の詠唱(?)が止まったからだ。


   「へ、陛下!?」


 なんとビックリ皇帝でした。

こういう話を書くと常々自分の文章力の無さと知識の無さを思い知らされます(汗


なんたって、まず皆さんの服装の表現が出て来ない。

どんな服を着てるのかとか、そもそもどんな人達が集まっているのか、とか……

他には的確な固有名詞が出て来ない。

どんな風に書けばいいのか分からなくて適当に誤魔化した文章が三ヵ所以上あります。探さないでください(汗


文才もないですし読み辛いかも知れません。

こうしたら良いんじゃないか、みたいなアドバイスがある方は是非教えていただけると幸いです。

作品の感想も随時募集しておりますので是非よろしくお願いします。

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