27 和やかなムードが一転、絶望。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
和気あいあいとアルト殿下にプレゼントが渡されていく。
ひとり気まずいまま、端っこのほうで静かに微笑む。
でも、アルト殿下はシエル殿下からのプレゼントをとても喜ばれた。
「あのね、ここにね、アルト兄様の名前を彫ってもらったの」
シエル殿下が嬉しそうにアルト殿下に話しかけている。
2人の笑顔が見れただけでも、ここに来てよかったかもしれない。
リリアーヌ嬢が焼いてくれたらしいマドレーヌをいただいて、せっかくだからプレゼントされた乗馬鞭を使ってみようということになった。
シエル殿下は大喜びだ。
アルト殿下は連れてこられた馬に乗る。
文句なしでかっこいい。
馬を軽く歩かせて、走り始めた。
私は乗馬をしないけど、気持ちいいんだろうなと思う。
アルト殿下がシエル殿下からのプレゼントである乗馬鞭を使った瞬間、馬が突然、暴れはじめた。
乗馬をしない私でも、馬が異常なことはわかる。
アルト殿下が馬を落ち着かせようとしていたけれど、落馬してすごい勢いでアルト殿下が地面に叩きつけられた。
そこからは騒然となった。
回復魔法を使えるものがワラワラと集まってきて、宮廷医がよばれ、馬が馬小屋に引っ張られていった。
馬はしばらく暴れていたけれど、少ししたら落ち着いた様子になったらしい。
「なに…これ…」
さっきまでの和やかな雰囲気が消し飛んだ。
「いったん、お部屋にお戻りください」と言われて部屋に戻る。
アルト殿下の状態がわかったら教えてほしいと伝えて部屋に戻った。
部屋でウロウロしながら待っていると、侍女が部屋にやってきた。
なんだか雰囲気が変な侍女だ。
「こちらを」と言って手紙を渡される。
そこには、ルージュリス家の家紋が入っていた。
嫌な予感がした。
手紙には「よくやった」としか書かれていない。
私は何もしていない。
侍女を見るとニタっと笑った。
「アルト殿下は頭を打って重傷とのこと。乗馬鞭に興奮剤を仕込んだ甲斐がありました。これもひとえにヴェロニカ嬢のおかげです」
そう言われて、血の気が引いていく。
乗馬鞭…シエル殿下がプレゼントした乗馬鞭のことだろう。
プレゼントの提案をしたのは、私だ。
でも、こんなことを望んで提案したわけじゃない。
「こ…このことは、シエル殿下も…ご存知なの?」
声が震える。
「いいえ。シエル殿下は、何もご存知ありません」
そう言われて、膝から崩れ落ちた。
シエル殿下はご存じないならよかった。
そう思ったのは確かだ。
でも、それよりも大きかったのは…
もしこの事故にルージュリス家が関わっているとバレたら私は処刑だという絶望感。
せっかくゲームの破滅エンドを回避したのにどうしてここにきて…。




