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二、下っ端のデビュー
陰陽師は己がもつ霊力で、社会を脅かすあやかしを祓っていく。
そのときにあらかじめ霊力を宿した道具が役立つ。
例えば、護符や霊符と呼ばれる札。
霊力を込めた札は、あやかしの動きを止め、一時的な結界をも作る。
強いあやかしなら、札に重ねて霊力をぶつけて祓うことだってできる。
「…よし」
道具屋の弟子として、最初の課題は霊符。
陽葵は一枚書き終えた霊符をまじまじと眺めた。
初めに比べると随分と様になった。
これで明日、師匠から合格をもらえれば、商品として並ぶ。
でも、まだまだだ。
「今日はこの墨がなくなるまで…」
下の階では、兄弟子達がこの時間も明日の在庫を作っている。
忙しいこの現場で、少しでも力になりたい。
孤児である自分を拾ってくれた、恩返しに。
* * *
「ん~……」
「……」
緊張した面持ちで、霊符を確認する師匠をのぞき見る。
上手に書けたと思う霊符十枚。
きちんと霊力を持っているか、霊力は保持されるのか、ムラはないか。
一枚ずつそれをチェックされている。
「……陽葵」
「はい」
「…ん、合格」
師匠を見ると、満面の笑み。
「十分な霊力。ムラもない。実際に戦わないオレ達が自信を持って道具を託すことができる――合格だよ」
「ありがとうございます!」




