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盗剣転性~盗んだ剣でメスになる!?~  作者: kadochika


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9.影沼と火祭

 声の方角に見当を付けて廊下を走るウルスだったが、候補はすぐに見つかった。

 角を曲がってすぐの所で、扉が開いている。

 警戒をしつつ、腰の腱を抜いて入り込むと、そこには。


「ハウカ、踏ん張れ……!」

「あっ、無理……レイお兄ちゃん……!」


 そこは壁のランプに照らし出された、広い個室だった。

 匂いや華やかな内装から判断して、ハウカの部屋なのだろう。

 だが、その中心には何か、暗い影が広がっているように見えた。

 ランプの明かりで生じた家具の影ではない。

 これは――


(邪神の眷属!?)


 それはヘルキュステスと呼ばれる、さらさらと粘度の低い液状の身体をした、平たい眷属だった。

 その面積は一抱えほどで、人間一人をすっぽりと落とせる落とし穴と同じ程度でしかない。

 しかし邪神の加護か、その肉体は自然法則を破っており、平たい体で人間の足元に無音で入り込み、その直下内部に作られた液状の空間へと引きずり込んで溺れさせる。

 そこで死んだ人間は分解され、生きて這い上がってくることはない。

 その中へと落ちたハウカを、兄のレイクスが引っ張り上げようとしている。


「フィプリオ! 来てくれ!!」


 ウルスはフィプリオを呼びつつ、レイクスの元へと駆け寄り、加勢した。

 溺れそうになっているハウカの上半身に手を添え、同じように引っ張り上げようと試みる。

 すると。


「うわ!?」


 ヘルキュステスは突如、ハウカを引きずり込むのをやめた。

 影の沼から解放された彼女の身体は勢いよく引き上げられ、逆にレイクスとウルスは体勢を崩す。

 邪神の眷属は、今度は別の獲物に狙いを定めたらしい。

 絨毯の上に広がった半透明の液体から凄まじい速度で触腕が伸び、ウルスの足へと巻き付く。


「――!?」


 剣を抜く間もなく、ウルスはヘルキュステスの本体へと引きずり込まれ、沈んでしまった。


(この……!)


 だが影の水の中に沈められても、生きている内は抵抗が可能だ。

 ウルスはなおも深くへと引きずり込まれながら、暗く重い液体の中で剣を抜く。

 内部で剣を振るっても邪神の眷属には傷一つ付けられないが、それでも無抵抗でいるわけにはいかない。


(フィプリオ……!)


 自分の判断ミスとはいえ、邪神の眷属を相手にフィプリオと分断されたのは痛かった。

 泥男(どろおとこ)獣土(じゅうど)程度であれば、『涙の剣』の強度に任せてある程度の数を捌くことが出来るが、このような超自然型が相手となると、ウルスだけでは分が悪い。

 このまま抵抗虚しく死ぬか、剣に変化して状況が好転することに望みを託すか。

 諦めかけたその時、上方の水面――ヘルキュステスの開口部だ――から、水音が聞こえた。

 何か、あるいは誰かが飛び込んできたのだ。

 そして、ウルスは自身の意思に反して、自らの身体が剣に変化するのを感じていた。


「――!?」


 次の瞬間、邪神の眷属の内部に光が溢れた。


* * *


「フィプリオ! 来てくれ!!」


 ウルスの声を聴き、フィプリオは弾かれたように客室を出た。

 薄暗い廊下を走って迷わずにハウカの部屋へと駆け込むと、水たまりのごとき黒い影が見える。


「ウルスは!?」


 そう尋ねると、レイクスが答える。


「こ、この影の中に……!」


 それを聞くと、フィプリオの身体は勝手に動き――そうとしか思えなかった――、影へと飛び込んだ。

 冷たく粘りつく液体の中へ沈み込みながら、彼女は念じていた。


(我が朋友よ、剣となりて、我が手の中へ!)


 すると、液体の中を凄まじい勢いで突進してきた剣——ウルス――が、フィプリオの右手へと迫る。

 ともすれば誤って手が切り落とされかねない速度だったが、しかし、彼女は自然と、その柄を正確に掴み取っていた。

 そして、理性では不思議に思いながらも、こう動けばよいのだと思えるやり方で、身体が動く。

 まるで、フィプリオの中に何かが潜んでいて、それが彼女に手取り足取り教えているかのように。


(……ま、いっか……)


 彼女は、その動きに身を任せた。

 フィプリオの身体が涙の剣を頭上へとかざすと、その刃が光り輝き、液体で満たされた世界を照らし出す。

 同時、粘り付く液体が無数の気泡を生じ、ざわついた。

 剣から生じているのは、女神の加護だ。

 フィプリオの身体を通して、この世界へと生まれ出る力。


(――ッ!?)


 それが暖かい衝撃となって、体を通り過ぎると。

 結果として邪神の眷属は内部から破壊され、彼女はぬめぬめのずぶぬれになった状態で、ハウカの部屋の床に吐き出される形となった。


「ぶは!?」


 止めていた呼吸を再開するべきだと気づき、息を吸うと、フィプリオの肺に酸素が送り込まれていく。


「はぁっ……はぁっ……!

 ん……!?」


 手の中に握った剣の姿のウルスが急激に重さを増し始めたため、フィプリオは剣から手を放した。

 人間になったウルスが、抜き身の剣を鞘に収めながら立ち上がり、礼を言う。


「ありがとう、フィプリオ……!」


 彼も、全身が粘度の高い液体で濡れていた。

 フィプリオはなおも軽くせき込みながら、頷く。


「けほっ……つか何かもう、無我夢中だったけどな……」

「ウルスさんっ!」


 ハウカが名を呼びながらウルスにしがみつく。


「怖かったぁ!」

(こんガキゃあ……昔っから色気づきやがって……)


 それを見たフィプリオは胸中で毒づきつつ、立ち上がってレイクスに尋ねた。


「何が起きたんだよ……屋敷の中で邪神の眷属とか普通、考えられねぇぞ」

「すみません、私にも何が何だか……」


 困惑を見せるレイクス。対してハウカが、フィプリオに答える。


「あたしの部屋にあの影が入り込んできたの、ドアの下からスーって。

 そんで近くまで来たと思ったら、飛び出してきた水柱に引っ掴まれて、引きずり込まれちゃった」

「よくレイクスが間に合ったね」

「家庭教師が風邪を引いてハウカの授業が繰り延べになったので、それを伝えようと来たんですが……

 いやはや、驚きました。父に報告しなくては。

 兄さんとウルスさん、すみませんが、妹を頼みます」

「おう」「わかった」


 レイクスは早足に部屋を出ていき、フィプリオはふと、気づいた。


「ていうかハウカ、お前何ともないか?」

「うん、大丈夫。それより着替えないと……」

「……他に眷属はいねぇと思うが、気を付けろよ。俺とウルスも着替えてくる」

「うん」


 そう言って、フィプリオたちも部屋を後にした。

 二人で客室に戻ると、フィプリオはウルスを指さし、口にした。


「えーと、我が朋友よ? 剣になれ!」

「…………」

「あれ? 剣になれ!

 ……おい! さっきは確かなっただろ剣に!

 何でならねぇんだよ!」

「僕は君の召使いじゃないし、巫女の力の使い方も分かっていない状態じゃ、強制遷移なんて無理な話だ」

「むっかー。ていうか着替えるんだから剣になれよ!?」

「あ、そうか。ごめん」


 そう言うと、ウルスはテーブルに寝転がり、剣に変化する。


「ったくどいつもこいつも……」


 フィプリオは口に出して毒づき、冷たく濡れた上着のボタンを外し始めた。


* * *


 邪神の眷属が、街の中に位置する貴族の屋敷に侵入した。

 これは、人間社会にとって大きな問題となり得る。

 まず、邪神の眷属は基本的に、女神の加護の弱まる夜間にしか行動しない。

 フィプリオたちは先日、昼間に街道を移動している最中に泥男の群れに襲われたが、これはまだ偶然、あるいは例外と考えることもできる。

 だが、邪神の眷属はまた、基本的には人口の密集した地域には近づかない。

 人間自体が女神の被造物であり、さほど強力ではないが女神の加護を受け、夜の間もそれを発しているためだ。

 よって、夜間とはいえ、仮にも大都市であるカナイドに邪神の眷属が入り込むのは、ひどく考えにくいことと言える。

 にもかかわらず、邪神の眷属、それも都市近傍での目撃例に乏しいヘルキュステスが地方長官の私邸に侵入するなど、通常ならばあり得ない。

 異常事態といってもいいことが起きたのだが、しかし、レイクスから報告を受けたジャオは翌日、これを公表しないと発言した。

 それを聞いたフィプリオは、ジャオに直接理由を尋ねた。


「何でだよ……さすがにやべぇだろ?

 ハウカが襲われたんだぞ」


 ジャオは紙にペンを走らせながら――恐らくは政治文書だろう――、尋ね返す。


「ならば、どのように対策する?

 公表したならば、眷属の侵入した経路を特定し、侵入に対策を立てねばならん。

 動揺した市民を安堵させる必要が出るのだ。

 お前たちならばできるのか?

 あるいは、それにかかる大金を工面してくれるのか?」

「う……」


 フィプリオはうめきつつ、それに返答した。


「……あれから屋敷を見て回ったけど、それらしい痕跡はなかった」

「夜が遅かったので、使用人たちも寝ていた。

 ならばハウカには気の毒だが、たまたま、酷く運が悪かったのだと考えるべきではないか?

 職人を呼んで、扉と枠の噛み合わせを見直しはするがな」


 納得は行かないが、とはいえジャオの理屈は、フィプリオには間違っていないと思えた。

 これから先、人が街中で邪神の眷属に襲われる事態が多発するならば話は変わってくるが、今の段階ではそうではない。

 地方長官の娘が自室で邪神の眷属に襲われましたなど話しても、まともな証拠が残っていない。

 作り話か粗末な事件と笑われて終わる、あるいは、どうにかして対策をせよと地方議会に要求されるだけだろう。

 笑われるだけならばまだいいが、有効な対策は現時点では立てようがない。

 ウルスが剣になった状態で、フィプリオがその刀身を発光させながら警備し、邪神の眷属を遠ざける――というのは、範囲を考えれば非現実的だ。

 ジャオは文書の最後にガリガリと署名を結んで、そこに吸い取り紙を押し当てながらフィプリオに告げた。


「それよりも、昨日話していた件だ。出かける準備をしておけ」

「もしかして、研究所か」

「そうだ」


 フィプリオは用件に見当がついて、やんわりと抵抗した。


「ウルスのやつはああ言ってたけど、俺に神託が読める保障なんてねぇよ?」

「試さなくては分かるまい。黙って支度をしろ」

「クソ、すりゃいいんだろすりゃ」


 かくして、フィプリオはジャオによって馬車で屋敷の外に連れ出され、少し離れた街中の研究所へと来ることとなった。

 『女神の歴史と遺産の研究所』、通称・メレイ研。

 彼らは研究所に着くと中へと入り、部屋から廊下へ、廊下から廊下へ。

 奥へ奥へと案内され、フィプリオはその奥で、材木を組み合わせた頑丈な棚が立ち並ぶ部屋へと入った。

 棚の中には、布を被せられたさまざまな大きさの、物体が収まっている。

 フィプリオも、かつてよく出入りしていたので知っていた。

 あの覆いの下には、金属を多量に含んだ岩石――神託鉄が置かれており、そこには神託文字が刻まれている。

 神託文字は、文字といっても画に近く、複雑で、人間が解読できたことがない。

 読み解けるのは、女神の祝福を受けた女神の巫女だけだ。

 フィプリオは不安だった。


「見せてくれ」

「はい」


 ジャオが研究官たちに告げると、彼らは物体を覆っている布を取り除く。

 そしてフィプリオの目に映ったのは、予想通り、一抱えほどの大きさの神託鉄だった。

 以前実物を見た時は、そこに刻まれた模様のような文字を読むことなど考えもしなかった代物だが、しかし、今は違った。


「……ん?」


 フィプリオには、表面に刻まれているその模様の意味が、理解できた。

 思わず、言葉にして読み上げてしまう。


「子供たちへ。あなたたちの繁栄を(よみ)する。

 新たな火の祭りに感謝する。豊穣を約束する……?」

「……!?」


 それを聞いたジャオたちの顔色が変わり、研究官の一人が口にする。


「……記録の内容と一致します」


 彼らに、ジャオが命じた。


「内容が判明しているものを、他にも読ませてみてくれ」

「はい」


 研究官たちはそそくさと神託鉄に覆いを被せ、次の覆いに手をかける。

 神託文字には謎が多い。

 古代の記録では、石膏などで複製したものを巫女に見せても、それを読むことはできなかったという。

 紙とインクによる複写でも、当然ながら失敗する。

 しかし、現物を見ることさえ出来るなら、隔離された別々の巫女が、ほぼ同一の内容を読み取る。

 そうして人語に翻訳された神託の記録をフィプリオも読んだことがあったが、自分の目で直接見て意味が理解できたのは初めてのことだ。

 彼女は言われるまま、神託を読み上げ続けた。


『子供たちへ。あなたたちが相争うことを悲しむ。平穏であるように』

『子供たちへ。病の荒れ狂うことを悲しむ。豊穣を祈る』


 それらは、人類を思いやる高次の存在からのメッセージと言えた。

 何か構造上の限界があるのか、さほど長い意味が書かれていることはない。

 だが、フィプリオはそこに、筆まめな母親の愛情のようなものを感じていた。

 感じつつ、読み上げ続ける。


『近く、地の底から邪神の血が溢れ、眷属が大地を席巻するであろう。

 あなたたちに破局が迫る。警戒せよ』


 そこまで読むと、研究官たちが補足した。


「……言語に訳した記録が残っているのはここまでです。

 これ以降の神託は、『破局』以後のものになるため、翻訳の記録が存在しません」


 それは、大災害によって人類が一度衰退し、巫女が死に絶えたためだろう。

 フィプリオは、その後巫女が生まれることはなかったと歴史の講義で聞いている。

 ジャオが、彼女に告げた。


「以降の神託も今まで通り、見たままを読め」

「分かってるよ……」


 フィプリオは眉根を寄せつつ、神託を読み上げていった。

 ここからは『破局』後の、女神から送られてきた一方通行の神託になるわけだ。


『子供たちへ。私はあなたたちの身を案じ、息災を祈る』

『死した子供たちに祈りを。生き延びた子供たちに賞賛を。

 巫女は生きているか? 返答の火の祭りを求める』

『あなたたちの強かなることを嘉する。火の祭りを求める』


 恐らくこれらは、『破局』によって人類が大きく衰退し、年月の経過に伴って復興してきた歴史を反映しているのだろう。

 何度か言及される『火の祭り』とは、神託に対して人類が行う祭事だ。

 各国は神託を受け取り巫女に読ませた後、それを了承した旨を女神に報告する。

 その際、草木灰から抽出された聖粉を焼いて、広範囲に渡って紫色の炎を焚く。

 それを女神が――恐らくだが――観測し、また人類に対して神託を送る。

 人類が一度衰退し、また神託を読める巫女もいなくなったため、返信行為である火の祭りも行われなくなったのだ。

 女神はそれを求めて、神託を送り続けたということになる。

 ジャオが顎髭(あごひげ)を撫でながら、感慨深げにつぶやく。


「お前の読んだ内容が事実なら、女神は便りの絶えた我が子に、それでも手紙を送り続けたわけだ」

「何が言いてぇ」


 含意を感じたフィプリオはうめきつつも、次の神託を読んだ。


「『子供たちへ。邪神の蘇る兆しがある。邪神を信じる者たちを警戒せよ』……?」

「……昨年リカントに落下した、恐らく最新の神託だ」


 それを聞いたジャオの発言に対して、フィプリオは思い当たった所を口にする。


「これ、大地の同盟のことじゃねぇか……?

 あいつらが何か、企んでるってことじゃねぇのか!?」


 興奮しかける彼女を手で制止して、ジャオが言った。


「……本来ならば、隔離された二人以上の巫女による判読が必要になるが……

 嘘は言っていまいな?」

「いやだって、言われた通りに読んだだけだし……」

「いいだろう。同盟との関係を私の方で洗う」

「じゃあ……!?」


 ようやく理解されたか。

 そう安堵しかけた矢先にジャオが続けた言葉は、彼女の期待に反していた。


「その代わり、お前は今後、ここで生活しろ。外出は基本的に禁止する」


 フィプリオは懸念を口にした。


「いや、ハウカはどうすんだよ。また邪神の眷属が襲ってきたら、俺が対処してやらねぇと……」

「しばらくは年の近い女中を同じ部屋に寝泊まりさせる。

 一人よりはましだろう」

「同盟もここに出入りしてんだろ……!?」

「お前が引きこもっていれば問題ない。頼っておいて文句を言うな」

「俺の権利は!?」

「辛抱しろ。元々盗掘犯だったお前を庇うのだから、それなりの不自由は受け入れるべきだろう」

「俺が神託文字を読めたからって、兵器級の遺産を使わせようってんじゃねぇだろうな!」

「国益のためだ、罪を許されたければ従え」

「ざけんな! 俺は男に戻るんだよ!」


 食って掛かろうとすると、ウルスが彼女の肩を掴んでそれを留めた。


「フィプリオ、僕もお父さんに賛成だ。君は安全な所にいるべきだよ」

「お前までそんなこと言うのかよ!?」

「二人を案内してくれ」「はい、こちらです」


 ジャオが命じると、所員がフィプリオたちを案内しようとする。


「この…………クソ!」


 フィプリオは憤慨したが、へそを曲げてもどうにもならない局面ではあった。

 そう悟り、肩を怒らせながら所員の後について行く。

 そして、割り当てられた宿泊室のベッドに寝転がりながら、うめいた。


「暴れてもしょうがねぇから居てやるけどさぁ……!」

「フィプリオ、落ち着いて。お父さんの仰ることは正しいよ」


 ウルスの言葉に、フィプリオは口を尖らせた。


「やけに親父の肩持つじゃん……」

「大地の同盟は邪神信仰者とはいっても、人間なわけだろう。

 帝国ともいい関係にあるなら、社会的な認知も良好と見える。君と僕だけでどうにかできる相手じゃない」

「だからって親父に任せてたら、いつ戻れるか分からねぇだろ!

 見つかるのかよ復原の秘宝が! このまま待ってりゃあ!?」

「……まぁ、保証されてるわけじゃないけども。

 だからって僕らが直接、大地の同盟という集団に潜り込むのは難しいと思うよ」

「怖えーんだよ! 日に日にこの身体に慣れてく自分が!

 女の裸を想像しておっ勃たなくなった虚しさが分かるか!?

 理屈じゃねぇんだよ……何か、変な夢も見るし……」

「夢?」

「……どうでもいいだろ……」

「……フィプリオ?」


 剣になったウルスを振るって邪神の眷属を蹴散らした時もそうだったが、何やら眠い。

 フィプリオは枕に顔をうずめ、そのまま眠ってしまった。

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