伝声管の夫婦は多分仲睦まじい。
お手に取って下さりありがとうございます!!
「おい!コール反応しろや!!直ったぞ!!いつでも船出していいぞ!!!」
そう伝声管から大音量の男性の声が聞こえる。
「ああ聞こえとるよ!うるさいなぁ!
カカラック!!!」
コール船長は頭を掻きながら、伝声管にめいいっぱいの大声を出して言う。
「なんだあ!聞こえてたのか。
それならよし、出せ、船。」
「今、今日から船に乗る新人2人とその他で案内してやってたんだ。少し驚かせちまうから、音量下げてくれ。」
「ああ、そうだったのか。
すまん、そこにいる人たち。うるさかったな。」
カカラック、と呼ばれた男性の声の主は私たちに謝った。
「多分トマスも居るんだよな?
トマス!直ったぞ!さっきはありがとな!!」
そして、トマス先輩にお礼を言った。
トマス先輩はダルそうにしながらも
伝声管に口を合わせ
「はいはい、どういたしまして、カカラックさん。」
とぶっきらぼうに言った。
「お!ほんとだ!トマスじゃないか!
あとで機関室に来いよな!
お礼に干し肉分けてやるから!」
「要りませんから…。」
トマス先輩は珍しく敬語を使いながらそう言った。
「あ、シェータリもお前にお礼言ってたぞ。
ありがとうな。
あとで機関室来いよ!!!
干し肉がお前を待ってるぞ!!」
「だから要りませんって!!」
ため息をつきながら伝声管から身体を離した。
「あの、トマス先輩。」
私は思いきって、トマス先輩に話しかけてみた。
「なんだ?」
少し不機嫌そうな感じで私に言ってきた。
「あ、はい。
カカラックさん?とシェータリさんってどなたですか?」
「ああ、そいつらがさっき言ってた夫婦だよ。
機関室に引きこもってばかりいて、俺のことがだーい好きな風変わりな夫婦だよ。
ちなみに、カカラックさんが夫で、シェータリさんが妻な。」
トマス先輩は先程の相手方へ持っていた硬い雰囲気は捨てて、ぶっきらぼうに私に言う。
「な、なるほど。」
「なんであいつらに俺は好かれてんだ…。」
トマス先輩の顔からもわかる通り、少し相手をするのには疲れる方なのかなという、少し失礼なことを思ってしまった。
でも、実際に会ってみたさもある。
「ま、多分しばらくしたらまたこっちにメンテナンスのお手伝いの連絡が来るだろうから
その時は連れてってやるよ。
お前と、そこのお前もな。」
トマス先輩は私とスターリィを指さしながらそう言った。
「は、はい。」
私は気圧されてそれしか言えなかった。
「…まあ、ともかくこれで船が出せるらしいし、そろそろ出発するか。」
コール船長は指をポキポキと鳴らしながら偉そうに言った。
「そうだな、補給地とドトタル市のことを考えるともう出るべきだろ。
機関室はいつでもいいぞう!!」
またもや伝声管から大きな声が聞こえてきた。
「ああ、でもその前に一応配達員が全員いるかの確認と、これからのことについて説明したいから、少し待ってくれ。」
コール船長は操縦室にある籠から大きな地図とペンを取り出してそう言った。
お読みいただきありがとうございました!
これで今回のダンディライオン号の乗船員は全てとなります。もう出ません。
Xの方にて最新エピソードの更新時間を発表しております、ご確認ください。




