年下先輩
お手に取って下さりありがとうございます!!
「あ、あなた誰ですか。」
私は訝しげにその男の子に聞いた。
「誰って、お前の先輩だよ。」
「あ、なるほど…。」
自称先輩のことを下から上まで見てみるが、どう見ても弟と妹くらいの年齢の子だろう。
それか少し童顔なのだろうか。
だが、少し筋肉が分かりにくいがついていて、ギャップがある。
「…おい、早くそこをどいてくれないか。」
「あ、すみません。」
「というか、お前誰だ?」
「あ、私はテマといいます。
今日から入社しました。」
そう言うと、自称先輩は何かを考え出し、
何か思い出したような顔をしてこちらを向く。
「なるほど、よろしく頼む。」
意外と礼儀はいい人…なのかな?
「お前が、噂の体力がやべぇやつか。」
「え、失礼。」
ネイアがぴしゃりと言い放った。
「事実だろ、コールから聞いたぞ。」
「た、体力おばけって。
もう少しましな言い方ありませんか、先輩。
というか、コール船長が1番悪いんでしょうけど。」
ネイアが少し言い返す。
というかネイアも少し私の事ディスっているような気もするのだが…。
というか、ネイアが先輩呼びするくらいだから2ヶ月前より先にはこの自称先輩は入社したのだろうか。
「まあいい人材が入ったんじゃないか。」
「話聞いてないですね先輩。」
ネイアはもう諦めて冷ややかな目で自称先輩を見た。
「まあ、とりあえず俺はもう寝る。
出航して、夕食が出来たら呼んでくれ。」
「…わかりました。
おやすみなさい。」
ネイアは渋々そう言った。
そう言って、自称先輩は去っていった。
自称先輩が去った後、ネイアに聞いてみた。
「ねえねえ、ネイア。
あの自称先輩、名前なんて言うの?」
「ああ、あの人はね
トマス先輩っていう人なの。
そういえば名前も名乗らずに行ったわね。」
「なるほど…トマス先輩か。
ちなみにいくつか知ってる?」
「さあ…本人から聞いたことは無いから知らないなあ。
でも、明らかに結構年下よね。」
「そうだよね。」
「この会社に入社したのが2年前というのを前にコール船長から聞いたから…。」
「え、じゃあめっちゃ先輩じゃん。」
「そうなのよねぇ。
私も驚いたわ。」
そうトマス先輩が去っていった方向の廊下を2人で見つめていた。
「あ、というか、テマの部屋まで連れていくって話、忘れてた!
今から行こっ。」
ふとネイアがそれを思い出して、私の手をつかみ、廊下を駆け出した。
案の定
「うるさい」
とトマス先輩がコール船長に愚痴をこぼしていたのは、あとから聞いた話。
お読み下さりありがとうございました!
トマス、コール、ネイアどんどん船の仲間達が分かっていきますね。
まだまだ増えるのでしょうか。
増えないのでしょうか。




