歓談中
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ネイアside
そんな昔話に花を咲かせていた私とコール船長だったが、流石に私もお腹が空いてきた。
「じゃあ、私そろそろ戻りますね。」
名残惜しくはあるが、皆のいる食堂へ帰ろうとした。
「あいよ。こんなおじさんと話してくれてありがとうね。」
コール船長は穏やかな顔でこちらを見ながら言った。
「…いえいえ。私、コール船長と話すの楽しいので。」
そう私が言うとコール船長はびっくりした表情をした。
「嬉しいこと言ってくれるねぇ。そんなおだてても何も出ないよ?」
「ふふ、事実ですから。」
私とコール船長は軽口を叩いた。
そういえば、このコート返さないと。
少し返すのが嫌だけれど。
「あ、コート、ありがとうございました。
おかげでかなり身体冷やさずに済みました。」
そして、私は操縦室を出て行こうと思って操縦室の扉へ向かった。
「では、失礼しました。」
「うん、ありがとうね。」
そう言って扉を閉めようとした時、コール船長が操縦室から小さく手を振っているのに気がついた。
…私はニコッと軽く笑ってそれを返した。
「変な顔してなかったかなぁ…。」
私は少し廊下を進んだところで座り込みながらそう言った。
「コール船長…。」
少し服にコール船長の匂いが残っている気がした。
───テマside
ネイアが先に食べててと言ったので、私とスターリィとトマス先輩とカカラックさん、シェータリさんはご飯を食べ始めた。
「スターリィお前は何飲む?」
トマス先輩は豆のトマト煮を食べているスターリィに話しかけている。
私はというと…
「テマちゃんはクリュスタ出身って聞いたけど、オムレツはよく作ったの?」
シェータリさんに話しかけられていた。
「いえ、あまり…。卵高いっていうのもありますし…昔は貧乏生活だったので。」
「あら、一緒だわ。」
「そうなのですか?」
「ええ、私も昔貧民街で過ごしてたから
あまり生活に余裕は無かったの。」
「わー、すごい親近感…。」
「ふふ、なんだか私達少し似ているのかしら?」
「かもしれないですね。」
シェータリさんのお隣を見るとカカラックさんがオムレツを頬張っているのが見えた。
「カカラック、豆もちゃんと食べなさいよ?」
「ああ、忘れるところだった。
ありがとうなシェータリ。」
「いえいえ。
あなたったらいつもお肉とか卵に夢中になって食べるの忘れそうにするんだから。」
「そうだったか?」
「そうよ。昔から変わらないんだから。」
そうシェータリさんとカカラックさんの会話を私は聞いていた。
そう考えたら、カカラックさんとシェータリさんの生まれ育った世界はかなり違うものだったのだろうか?
どうやってお2人は今に至ったのだろうか。
お読みいただきありがとうございました!
今回はシンプルな回になっていた気がします。
でも平和な時間って有限ですよね。




