2人きりって気まずいよね。
お手に取ってくださりありがとうございます!
私達はシェータリさんとカカラックさんに仕事を教えてもらいながら、なんとか仕事をしていた。
どのくらいの時間が経っただろうかは分からない。
仕事をしている途中思い出すかのように
「じゃあ、私これから夕食作らなきゃだから食堂行くね。テマ、仕事は覚えたでしょ?シェータリさんとカカラックさんと頑張って!」
そう言ってネイアは急いで食堂へ向かった。
そういえば今日はネイアが夕食担当だった、と私も思い出した。
そして、シェータリさんとカカラックさんと私だけになった。
その時、ふと伝声管から声が聞こえてきた。
「カカラック?いるか?」
「?コールか?」
カカラックは伝声管の相手と何か話し始め、
「あ、ごめん、俺ちょっと操縦室に用事あるから2人で機関室ちょっとお留守番しててくれ!」
そう言ってカカラックさんも操縦室へ出かけてしまった。
シェータリさんと私の2人きりになってしまって、少し気まずい。
「ねぇ、テマちゃん。」
シェータリさんに急に話しかけられた。
「は、はい。」
私は少し緊張してしまった。
「テマちゃんはどこで生まれ育ったの?」
「えっと、私は先程までこの船が滞在していたクリュスタ生まれクリュスタ育ちです。」
「あら、そうなの?
じゃあわざわざ遠くの市からクリュスタまでやって来て、この船に乗ったとかそういう訳じゃないのね?」
「…そういうこともあるんですか?」
そんなの効率が悪そう、と思ってしまった。
「たまにあるのよ。
私もなんでこんなに効率悪いことをするのだろうと思っているわ。」
「へぇ…。」
「ダンディライオン号だけじゃなくて、他にも船は沢山あるというのに。」
「……そんなにたくさんあるのですか?」
私はブリーズのことを何も知らない。
「ええ、そうよ。
ダンディライオン号はブリーズと契約している民間の船なのだけれど、他にもそういう船は沢山あるもの。」
「え、この船民間なのですか?」
「そうよ。
これは元々コールが所有していた船で
最初は3人で乗っていたただの船だったのだけれど、ブリーズとの契約で配達員を運ぶ船へとなったの。」
「そうなんですか…。」
「ええ、そうなの。」
「というより、なんでコール船長はこの船を所有していて、尚且つあなた方を乗せていたのですか?」
「さあ、なんでだったかしらね?」
そうすっとぼけるシェータリの顔は、どこか、浮かない顔というのか…なんというか、感情がよく読み取れないような顔をしていた。
2人の間に、なんとも言えないような沈黙が流れた。
「シェータリ〜帰ったぞ!」
その沈黙を破るようにして、カカラックは大声で入ってきた。
「おかえりなさい、あなた。」
シェータリは頬笑みを浮かべてカカラックに向き合った。
───それからどのくらい経っただろうか。
突如カンカーンと鐘の音が鳴り響いた。
「あら、もう夕食の時間なのね。」
「早いな!」
「じゃあ、食堂に行きましょうか。」
「ああ、そうだなと言いたいところなんだが…。」
カカラックさんは申し訳なさそうな表情をした。
その視線の先には、シェータリさんがいた。
「俺はシェータリのサポートするからよ、先にいっててくれ。」
「あ、はい。分かりました。
では、お先に。失礼します。」
そっか、シェータリさん義足付けているとはいえ、少し歩くのは大変だからカカラックさんに支えてもらっているんだ。
シェータリさんが杖を持てばいいと思うのだが、そうしないで、支え合うのがこの夫婦なのだろう。
ちょっとこの夫妻の関係に尊みを覚えながら、夫婦の邪魔にならないよう
私は食堂へ急いだ。
お読みいただきありがとうございました!
次、コール以外の全員集合です。
可哀想なコール船長。どんまいです。
20時に更新あります。




