明日はどこへ行く?
お手に取ってくださりありがとうございます!!
「さ、改めてこれからについて説明するからな。」
「はい。」
そこにいる全員が返事をした。
「ここクリュスタから次の目的地のドトタル市までは約10日ほどだ。途中補給で1度地上に降りるが…君らは船内待機なので気にしなくていいからな。」
「あ、テマ…お風呂…行けないね…。」
ネイアは私に小声で残念そうにそう囁いた。
「残念だね。」
「ドトタル市で行こうね。」
「うん、そうだね。
楽しみにしているね。」
そう私が言うとネイアは喜びを浮かべた表情をした。
私達がコソコソと小声で話をしていると、
「で、今からいつものブリーズからの予定表を配るぞ。」
と、そう言ってコール船長は
一人ひとりにそれぞれ違う紙を渡した。
「これは…?」
スターリィと私は口を揃えて言った。
「これは、ブリーズ社が用意している予定表だ。
これに、これからの各々の予定が書かれている。
次はどこでどのくらい働いて、どの港からどの船に乗るかというのが書かれている。」
「すごいですね…」
スターリィは目を輝かせて予定表を見ている。
「ああ、ブリーズの社員の管理能力はとてもすごいぞ。」
コール船長は自慢げに言う。
「これは船に君らが乗って、その船が次の目的地に出港する時に配られるからな。
よく覚えておくんだぞ。
仲良くなった友がいつ別れるかが分かるからな。」
これはよくできているな。
これらを管理できる人が本社にはいるんだろう。
それよりもそうか、友達と別れる可能性があるのか。
頭では分かってはいたけれど、嫌だなあ。
「じゃ、これから出港するから各自食堂の当番表見たり、予定表みといてね。」
そう言って
コール船長は私達のことを気にすることなく伝声管に声を乗せ始めた。
私とネイアとトマスとスターリィは当番表を見るために食堂に行く。
「テマ、いこ。」
と、ネイアに言われたのでコール船長のことは気にしないで着いていった。
コール船長side───
「カカラック、いけるか?」
「おうよ、バッチリだ。」
カカラックという、共にダンディライオン号に乗り整備士をしている男はそう答えた。
「んじゃまあ、行くかねぇドトタル市へさ。」
俺は周りの船を見ながら舵をきる。
「ドトタル市に会社の命令で来るのは、俺らは2回目か?」
カカラックがそう聞いてきた。
「そだな、懐かしいな。」
俺はテキトーに相槌を打つ。
「あそこの赤い街並み最近観光地として人気らしいぞ。」
「そうなん。」
「あと、一応俺らの故郷…だな。」
「…そうだな。」
俺は苦笑した。
「ふ、お前としては苦い思い出か?」
カカラックは誇らしげに笑った。
「ああ、そうだよ。」
はあ、と呆れていた時だった、
「懐かしいわね。」
綺麗な声が聞こえた。
「シェータリちゃん。」
シェータリちゃんはカカラックの妻であり…旧知の仲だ。
「カカラックがずーっと大声でうるさく話しているから気になって来ちゃったわよ。」
やれやれ、とため息をつく。
カカラックはどうしたのだろうか、と思ったが、考えるのを俺はやめた。
多分シェータリちゃんにお使いでも頼まれたか、いつも通りスパナで殴られて気絶しているのだろう。
「今度、ドトタル市なんだよ、行くの。」
「ふふ、聞いていたわよ。楽しみね。」
「そうなのか?
俺にとっては…」
お読みいただきありがとうございました!!
しばらくはコール船長視点+ドトタル市までの船旅編です。




