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第16話 怪しい存在とは?

 午後の教室内。

 授業を受けている橋本悠一(はしもと/ゆういち)は、今日の昼休み時間に先輩から言われた事について頭を悩ませていたのだ。文芸部の部長――小鳥遊(たかなし)先輩から言い渡された課題というのは、街中の本屋を巡り、今流行りの本を調査すること。

 今週の休日は色々とやることが多くて、悩んでいる最中であったのだ。


 本の流行というのは、一か月もすれば大きく変わるものである。

 この前まで部活モノの小説が流行っていたと思えば、恋愛小説が流行り始めたりと、コロコロと変化し続けているのだ。


 悠一は壇上前に立つ男性教師の説明を聞きながらも、色々とモヤモヤと考え込んでいた。


 土曜日は如月さんと遊ぶとして、日曜日は莉愛さんと本屋巡りにした方がいいよな。


 悠一は机に広げているノートの端っこに、簡易的なスケジュールを書き出していく。


 同じ日に全部詰め込むなんて効率悪すぎると思う。

 だからこそ、分けて考えた方がいいに決まっている。


 本の流行については、書店に着いてから考えればいいという結論に至ったのだ。


 悠一は一度深呼吸をしてから、教室の前へと視線を向かわせた。


「今日の授業はこれで終わり。新学期から新しい内容を教えているわけだから、ここら辺の範囲はしっかりと押さえておくようにな。テストに出すかもしれないからな」


 教室の黒板前に佇む気真面目そうな男性教師が、悠一を含めたクラスメイトらに対して、真剣な目つきで言っていたのだ。


 皆、黒板に書かれている文字を見て、ノートに書き記していた。

 悠一も、真剣な姿勢で最後まで授業に望むのだ。


 男性教師はチャイムが鳴ると同時に、壇上机に広げられた資料をすべて片付け、振り返ることなく教室から立ち去って行く。


 教師がいなくなった教室は、途端にいつもの騒がしさになる。今日の授業から解放された事で、友達同士の笑い声や、これから部活へ向かう人らの話し声が聞こえてくるのだ。席に座っている悠一は帰る準備を始め、リュックに教科書を入れていた。


「橋本君!」


 隣の席の如月絃葉(きさらぎ/いとは)が席から立ち上がり、悠一の近くまで歩み寄ってくるのだ。


「あのね。今日の放課後の事なんだけどね。急に早く帰らないといけなくなって。だから、放課後は一緒に遊べないの。ごめんね、私、もう行くね」

「え、本当に急だね。何かあったの?」

「うん、実家の手伝いをしないといけなくて」

「そういうことね。そういう事情ならしょうがないね。でも、大変だね」

「うん、でも、両親のお陰で学校に通えているから、頑張らないとね。橋本君、また明日ね!」


 絃葉は机の上に置いている通学用のバッグを肩にかけると、悠一に背を向けて教室の出入り口付近まで向かう。教室にいる他の親しい友達らにも、また明日ねと言い、振り返ることなく教室を飛び出して行ったのだ。


 なんか、今日はタイミングが悪いな……でも、こういう日もあるよな。


 悠一は通学用のリュックを背負うと、廊下に出る。


 妹の月空詩(つくし)は新入生という事で、部活の見学に行っているのだ。

 今日は一人で帰宅しようと思った。


 悠一が一人で廊下を歩いていると、階段の踊り場にて、杉本莉愛(すぎもと/りあ)とバッタリと出会う。


「悠一君、今から帰るところ?」

「そうだけど」


 そこにいたのは、悠一と同じく図書委員会に所属している莉愛だった。

 彼女は自身のショートヘアな髪を触りながら、悠一の事を正面から見つめている。

 悠一からの返答を耳にするなり、新しく提案をしてくるのだ。


「だったら、一緒に帰らない? ついでに、小鳥遊先輩からの課題もやってしまおうよ」

「それもそうだな」


 悠一は少し考えた後、莉愛の意見に同意する事にした。

 休日にこだわる必要なんてない。早めに動けば、急な予定が入っても臨機応変に対応できるというものだ。


「悠一君、今日の放課後だけで全部の本屋を回るのは難しいと思うけど、とりあえず街中の書店に行ってみない?」

「わかった。よし、本の流行を探りに行くか」


 隣同士になって歩き始める二人は、軽快な足取りで階段を下り、校舎の昇降口へ向かうのだ。


 やる事は山積みなのだが、一つ一つ片づけていけば良いと思う。


 悠一は莉愛と漫画やアニメの事について話し始めると、気分が高まってくる。


 莉愛とは、妹同様に共通の話題で盛り上がれる仲なのだ。


 悠一は莉愛に対して笑顔を向けながら、この瞬間を楽しんでいた。


 だが、その時、二人の背後からジーッと視線を送る影があったのである。

 悠一は全く気付いてはいないが、その視線の主は――


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