表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/81

第79話 商談(中編)

ヘレンがまずは飲む。


「この飲み物はコーヒーと言います。苦いですが、慣れると癖になる味です。あと一口飲んだあとでケーキを食べ、また飲んでみてください」


私は一口飲んで苦くてもう無理だと思ったが、ヘレンに言われたように、ケーキを一口食べてから飲むと、口の中のケーキの甘みが緩和され、口の中の甘ったるさが消えた。



「コーヒーにミルクを入れると、味が変わります」


ヘレンが私にミルクが入った陶器を渡してくれる。


ミルクを入れると苦みが緩和されて飲みやすくなり美味しい。



「この飲み物は眠気覚ましによさそうだ。しかも香りもいいし、ミルクを入れる量を変えれば自分好みにできる。また口の中のケーキの甘ったるさを緩和できるのも、紅茶とは違っていいですね」


グレン会長の話は続く。


「いやぁー、思った以上の商品ですね。この話を受けて大正解でした」



私は気になったことを聞く。


「ナビア王家からどのような話がいったのでしょうか?」


「王太子殿下から、キャロラインの遺体を海底から引き揚げてくれた恩人との取引だ。先方は新興商会と取引がしたいと言っている。各国と取引があるからお前引き受けるよな・・・・でしたね」


グレン会長は笑いながら話してくれた。



今聞き捨てならない言い方をされたよな。


もしかして王家と関係が深い貴族か?


私がグレン会長を見ると苦笑いしている。



「私の母が現国王陛下の妹になります。ですから王太子殿下、キャロライン王女とはいとこの関係です」


グレン会長は公爵家の次男で元騎士らしい。


ただ王族の護衛で他国に行った際、世界が広いと感じたこと、また他の国にも行ってみたいと思う様になって、商売をするようになったそうだ。



「今は父が管理していた子爵領を譲り受け、グレン子爵になりました」


「失礼ながら、なぜご身分をお明かしなさったのでしょうか?」


私が聞きたかったことを、グレン会長にヘレンが聞いてくれた。



「長い付き合いになるのであれば、後で知られて信頼を落とすより、初めから明かした方が良いと判断しました」


確かになにかのきっかけで知った時、なんで教えてくれなかったのかとか、信頼されていないと思うような気がする。


「グレン会長、品物を見ればあなたが真剣に商売していることはわかります。教えてくれてありがとう」


私の言葉にグレン会長は笑顔になる。



「こちらこそ、素敵な品々を取り扱いさせていただけること、光栄です」


私たちは握手をした。


細かい商談はヘレンに任せるため、私は退出しようとしたら、グレン会長から呼び止められる。


「エインズワース様、多くの船を所有されているようですが、1隻か2隻、私が購入することはできないでしょうか?」



グレン会長の商船は、今回来た2隻しか所有していないらしい。


ただ新船だと納入に時間がかかり、中古船だと内部の損傷などの修理もあり購入に躊躇していたそうだ。


ただ子爵領に並んでいる船はどれも奇麗だが、実際に動かしている船は少ないのではと思ったらしい。



「ナビア王国の王太子殿下からの情報ですか?」


「バレましたか?もしかしたら購入できるかもしれないと教えて貰っていました。ただ期待以上に質のいい船のように思われます」


「腕のいい船大工がこの領内にいましてね、内部も新品同様ですよ」


私は譲れる船がどれになるかは、後日対象の船を見学してもらってから決めて欲しいと話して、部屋を出た。





廊下を歩いていたら廊下を行き来しているジョージさんにかち合う。


「ジョージさん、何やっているの?」


「なんで2人きりにするんです!部屋に戻って2人を見張っておいてください!」


ジョージさんは、私の背中を手で押して、部屋へ戻るように促してきた。



「ジョージさん、大丈夫だよ。商談の話しかしていないよ」


「ヘレンと気が合いそうな人じゃないですか。しかも男前だ!」


「確かに商談で盛り上がっているけれど・・・・」


「やっぱり!早く部屋に戻ってください。お願いです!」



ジョージさんが私を部屋へ戻そうとすると、部屋のドアが開く。


「ジョージ、大声で話すんじゃないわよ。恥ずかしいじゃないの!」


その後ろからグレン会長がニヤニヤしながら話しかけてくる。


「婚約者殿ですか。ご心配なら同席いただいてかまいませんよ」



「グレン会長、違います!それにエクラ商会員でもありません」


ヘレンが否定すると、ジョージさんが恨めしげにヘレンを見る。


「ずっとアプローチしているのに返事くれないじゃないか!」



「はぁ、いつあんたが私に告白したのよ。私の家族や周りには言っているくせに!!」


「へっ?!してなかったっけ?」


「このボケボケ、知らない!!グレン会長、失礼しました。商談を再開しましょう」


ヘレンはそう言ってドアをバンッと閉めた。




私はジョージさんを見ると、すごく嬉しげだ。


「ねぇ、ねぇ、あれって、脈あり?少しはほだされてくれたってこととみていいかな?」


「わからないよ。当たって砕けたら、島のみんなで慰め会するから」


「ダニエル様、ひどい。そこは上手くいくといいねとか励ましではないの・・・・ですか」


ジョージさんは急に思い出したかのように敬語を付け足していた。



「振られてジョージさんに私が上手くいくと言っていかなかったと言われても嫌だしね」


「もういいです。ダニエル様、僕が購入できる宝石を売ってくれませんか?」


急げとばかりにジョージさんは、私と一緒に子爵館へ来て、宝石3点ほどに候補を絞り、商業ギルドで私が買取価格を確認してから最終的にどれを買うか決めることになった。



そしてジョージさんは、これから商業ギルドに行こうと言う。


「僕の将来がかかっているんです。ヘレンの気が変わらないうちに・・・・。あと預金残高も確認しないといけないから行きましょう」



ジョージさんの迫力に押されて、商業ギルドに出向く。


出迎えてくれたギルド長は、意外な組み合わせに驚いていたが、話を聞き笑いだした。


そして宝石の鑑定を職員に指示してくれたが、かなり高級品だったみたいだ。



ジョージさんの目利き力はすごいな。


しかもジョージさんはどれも購入できるらしい。


ジョージさんってかなりのお金持ちのようでびっくりだ。


さすがはヒット商品を連発している人気魔道具師だと改めて思ったよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ