表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/81

第76話 決定かぁ

「ダル、アイリスと話をする時間、ほとんどなかったな」


王女様一行を見送っている際、セドが私に話しかけてきた。


「アイリスは王女様の付き添いだ。プライベートではないからね」


「でも何とか無事に送り出せてよかった」


「本当だよ。これもみんなのおかげだ。ただ一息つくにはやらないといけないことがある」



王女を見送ったあと、すぐにセドやナディーヤたちはフェリクスの船で島に戻った。


私たちがいない隙を狙って海賊が島にやってこないとは限らないからだ。


リカード隊長たちは、捕まえた海賊の尋問と所有する船の見張り。



子爵領には海賊から奪った修理済の船がそれなりにある。


海の中で息ができる魔道具がたくさん完成しているのであれば、奪いに来ることも可能だからだ。


そのため私一人で海賊の沈没船引き上げ作業をすることをみんなに納得させた。



3日かけて子爵領へ2隻の沈没船の引き上げが完了する。


今回、破損箇所が大きく、破損部分から木箱などが海底に落ちていたため拾っていたから時間がかかった。


船を騎士たちに引き渡した後は、子爵領の屋敷でアラン副隊長から海賊たちの尋問の報告を聞く。



「ダニエル様が捕まえた海賊は、やはり幹部のようでした」


アラン副隊長が悔しそうな顔をしていた。


意識が戻ると彼は、隠し持っていた毒を飲み亡くなったとのことだった。


捕まっている海賊たちの証言で確認したとのこと。



あと海に潜れる魔道具については、15分ほどしか持たないとのことだった。


「今は15分でも、改良を重ねれば時間は延びていく」


私の言葉にアラン副隊長もうなずく。



よかったことと言えば幹部の船だったため、部下の海賊たちから内部の詳しいことが判明している。


そして今回のような画期的な魔道具などを作り出している人は、一人の天才魔道具師だった。


「海賊側にも、ジョージさんのような天才魔道具師がいるのか・・・」



私がため息をつくのを見ていた、アラン副隊長が話し出す。


「今後のことを考えると、海賊のアジトを叩き潰さなくてはいけないと思われます」


「王女様が襲われたのだ。王家も討伐に本腰を入れる可能性がある。だが場所の特定が先だ」


捕まえた海賊からどこまで情報を引き出せるかだ。


あと捕まえた海賊引き渡しと、今後の相談でまた王都行き決定かぁ。





王都に戻ったわたくし――ルドヴィカ・アレクシオは、王城では病気療養中となっているため、極秘で父である国王陛下と宰相に戻った挨拶をした。


海で襲われたことを事前に聞いていたのか、2人は厳しい顔で出迎えてくれた。



「ただいま戻りました。ご心配をおかけしましたが、神獣様へのご挨拶無事に済ませて参りました」


「ルドヴィカ、ご苦労だった。神獣様の件は良かったが、そなたが海賊に攫われでもしたら、こちらからの依頼で同行していたマクファーソン伯爵たちに処罰を与えなくてはならなかったかもしれない」


「はい、申し訳ありませんでした」



わたくしは反省していると示すように神妙な顔で頭を軽く下げた。


彼らに何かあっても責任は問わないと言っていても、攫われたとなると非公式の訪問が、他の貴族が露見してしまい、何らかの処罰をしなくてはならないから素直に謝った。



「詳しい話は報告書を見るが、ペイントン子爵領はどうだった?」


陛下はわたくしが反省していると感じたのか、話題を変えてくれた。


結婚式の貸衣装に、暖かい生地、神獣様との会話、島では食べたことのない美味しい料理の数々、女神様のお気に入りの獣であるナナとメル、芋虫、ムームー、田畑で使われていた画期的な魔道具、船旅に海賊に襲われた時のことなど、話すことがたくさんあった。



「短い滞在日数で、よくそんなに体験できたものだ」


「父君のエインズワース伯爵から聞いていましたが、想像以上に急発展しているようですな」


陛下は少し呆れた感じで、宰相はダニエル様の手腕を褒めていた。



「はずれスキルと言われていた人たちが、子爵領ではイキイキと活躍しているのです」


世間でははずれスキルと言われている人たちが、笑顔で今は自分のスキルがこれでよかったと、スキルを誇りに思っていることが非常に印象的だった。


「ダニエル君の話を教会は広めております。今後は庶民のはずれスキルの者たちも活躍していると知ればもっと宣伝するでしょう」


「スキルについては、我々が使い方を知らなかったというだけだ。はずれスキルといわれる者たちが希望を持つ話だからよい。しかし長時間海に潜れる魔道具は脅威だぞ」


陛下の言葉にわたくしや宰相がうなずいた。


今後長時間海の中を泳ぐことが可能となると、商船の襲われる確率が上がる。


そうなれば貿易が縮小されて経済に打撃がある。「


しかももし他国との戦争となった時、海からの侵入についても警戒をしなくてはいけなくなるからだ。



「我が国が優位なうちに、海賊の本拠地を潰すことを考えなければならないようです」


「宰相、それもだが、今回の件が漏れた先を調べねばなるまい」


「陛下、すでに調査を始めております、数日中には必ず・・・・」


マクファーソン伯爵やダニエル様には迷惑をかけたけれど、わたくしにとっては王城では経験できない、もう二度とないだろう貴重な時間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ