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第75話 滞在記(8)

「お前か、今までさんざん邪魔してきた奴は!!」


海上に顔が出ていた私に向かって、もうひとつの海賊船の甲板から叫ぶ声がした。


そして数人の海賊が海に飛び込んで私に向かってくる。



私が海に潜っても追いかけてくる。


どうやら私への対策で、海の中にいても息ができる何かを持っているみたいだ。


だったら相手をするしかない。



ふと海底を見るといいものを見つけ、私はそちらに向かって泳いだ。


私は細長い海藻に触れるギリギリまで近づき反転して待っていると、追いかけてきた奴らが私に向かって剣で切りかかってきた。


剣も特殊なものか彼らは軽々と振り回している。



私はそれを難なく避けて奴らの背後に回り、奴らの背中を細長い海藻に向かって思いっきり蹴ったり押したりした。


海賊たちは私の思惑どおりに海藻に絡めとられ、剣で海藻を一生懸命切っている。


しかし細長い海藻がさらに彼らの体に巻きつき、海藻の主が砂から正体を現した。


それを少し離れたところで確認した私は、急いで浮上する。




どうやら戦闘が始まってしまったようだ。


味方の船を確認してから、また潜り海賊船を味方の船から引き離して、先ほどと同じ方向に海賊船をぶん投げた。


海賊の何人かが海に落ちていく様子が見えた。



その中に先ほど私に向かって叫んでいた男も海に落ちたようだったので、追いかけ海の中に引きずり込み殴って気絶させた。


気絶させた男は、海賊の幹部ではないかと思ったからだ。



海上に顔を出すと、味方の船に乗り込んだ海賊たちとの戦闘は終わっていたようで、セドが叫ぶ。


「こっちも片付いた、みな無事だ!」


「一人海賊の幹部らしき男を捕まえた」


私もセドに向かって叫んだ。



するとセドの近くにいた船員がロープを海に投げてよこす。


私は意識を失っている男を縛って引き上げてもらった。


私も船から降ろされた縄梯子を使って戻り、セドとフェリクスと早速話をする。



「海賊たちはダル対策をしてきていたということか?」


「そうだと思う。海の中で息ができる魔道具や、剣も海の中関係なく軽々と振っていたから、こちらも魔道具のような気がする」


セドの疑問に、私が思っていることを話した。



「ダニエル様、その魔道具は海底にあるのでしょうか?」


フェリクスは魔道具を回収したいようだった。


「海藻もどきの海の生き物に、海賊たちは食べられたと思うから無いと思う」



私が以前グロースシューレを持ち帰る際に、ロープ代わりで使用した時に対峙した生き物だ。


もしかすると海賊たちは逃れられたかもしれないが、あれだけ海藻もどきに絡めとられていたら、普通は無理だと思う。


王女様やアイリスを助けに行かなければいけなかったから、最後まで確認できなかったのだ。



「しかし厄介なものを作り出しましたね。今後は海の中からも狙われることを考えなければいけないとは」


フェリクスが気難しい顔をしていた。


「王女様たちが子爵領を出立したら、私が投げた船の回収をして、今回使用された魔道具がないか確認しよう」


私の提案に、セドとフェリクスがうなずいた。



私はリカード隊長の船に乗り移り、王女様たちのところへ向かう。


王女様やアイリス、マクファーソン伯爵は船内の奥の部屋に避難していた。


「危ない目に遭わせてしまい申し訳ございません」


私は王女様たちに向かって頭を下げた。



「こちらが無理を言ったのです。エインズワースが責任を負うことはありません」


「ありがとうございます」


そこから私はフェリクスたちと話し合ったことを王女様に伝える。



最初に現れた船は、王女殿下が乗る船を海賊が隠れている島側へ誘導するための囮の可能性が高いこと。


あと海賊たちが私対策で、海の中で息が出来る魔道具らしきものなどを開発していた可能性があることも話した。


「なんですって!それでは海賊側にわたくしの情報が流れていたというの!」


王女様の顔が青ざめていた。



この海域に来ることは、王女様が子爵領へ到着してから私は聞いたのだ。


この数日間で海賊に情報が行き、待ち伏せできるとは思えない。


ならば王城から情報が海賊たちに流れたと考えるべきだ。



「ルドヴィカ王女様、情報がどこからか漏れた可能性は高いです。申し訳ありませんが、早急に王城へ戻っていただかなければなりません」


マクファーソン伯爵は事態を重くみて、王女様に子爵領滞在を繰り上げるように進言した。


「わかりました。国王陛下たちにお話ししなければなりません。残念ですが、明日、出立しましょう」


このまま子爵領に戻り、翌日王女様たちはマクファーソン伯爵領へ向けて出立した。


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