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第71話 滞在記(4)

和やかな歓談は終わり、王女様たちは退出された。


一緒に部屋を出ようとした私を、亀様が呼び止めたため、そのまま部屋に留まる。


亀様はテーブルにいるから、私はソファに座り直した。



『出来た王女だな。本来なら色々と我に聞きたいはずだ』


「尋ねたら教えてくださったのですか?」


『内容によるな』



私は宰相様から聞いた、北の国々で人々と触れ合っていた神獣様は亀様かと尋ねたら、否定も肯定もしなかった。


やはり亀様で間違いはないようだ。


「今も北の国々では、亀様を崇拝している人が多いそうです」


逸話や物語が多く残っているそうですよと私は伝える。



しばらく無言だった亀様が話し出す。


『1か所に長く滞在すると、我に期待をする者が増えるのだ』


「何かあれば亀様が助けてくれるみたいな・・・ですか?」


『まぁ、そうだな』



アグネスにしている新作料理のようなアドバイスを、料理以外でも各地でしていたのかも。


亀様が気に入った人たちにアドバイスをして、それが上手くいき豊かになったことを知れば、周囲の人間たちも自分たちも・・・・となる。


例えば貧しい村を助け豊かになっていく過程を見ていた周辺の村々が・・・・そして領主や国にまで噂が広がって・・・・という感じだろうか?



それを北の国々でしていたのだろうが、結果はいつも同じになり、嫌気がさして最終的に無人島に住み着いたと考えられる。


「ここに飽きたら移動されればいいですよ。それまではここでみんなと楽しく過ごしましょう」


亀様は基本、人が好きなのだろうが、欲深い人間も多いから仕方ないと思う。


でもルドヴィカ王女様の亀様への対応のお陰で、亀様の我が国への印象が良くなったということだ。





翌日、私も初めて芋虫会いに行くため、早朝に出発する。


私は今まで収入を稼ぐことを優先して、海に潜っていたためだ。


早朝出発なのは、足元が悪い道を初めて歩くだろう、ルドヴィカ王女様とアイリスの歩調に合わすためだ。


まぁ、私も2人と同じようなものだけれどね。



芋虫に会いに行く道中に、危険な動物や魔獣がいないことはわかっているので、まだ安心して移動できる。


今回の私側の同行者は、セド、ナディーヤ、ミリア、冒険者パーティのアウローザ、リカード隊長の隊員だ。


平民のミリアには申し訳ないが、芋虫の所へいくのなら、スキル:テイムを保有しているミリアが行かないわけにはいかない。



だから何かあれば頼れる女性がそばにいる方がいいと思ったこと。


ルドヴィカ王女様とアイリスもいるため、女性が多い方がいいだろうとの判断もあり、アウローザに同行をお願いした。


最初は固辞されたが、ミリアのためにもとお願いして、しぶしぶという感じだ。



先頭はセド、ナディーヤ、リカード隊長とリカード班の隊員の半分。


その後ろをミリア、アウローザ、そしてルドヴィカ王女様とアイリス、マクファーソン伯爵、私を囲むように前後左右に王女の護衛騎士たち。


最後はアラン副隊長とリカード班の半分の隊員という大所帯での移動だ。



何度か休憩を取りながら、午後2時くらいに目的地に着く。


ルドヴィカ王女様とアイリスは弱音を吐かなかったが、到着してホッとしているような感じがするため、きつかったのだろう。


到着した場所は、高さ3メートルほどの木で、細い枝に葉っぱが生い茂っていて、どこに芋虫がいるのか不明だ。



大きな芋虫と聞いているが、外敵になるような魔獣や動物もいないから、安心して住めるのだろうな。


「芋虫さん、ミリアよ。糸をいつものようにもらってもいい?」


ミリアは木の密集地ギリギリまで近寄り、大きな声で話し出した。



すると木の奥からガザゴソと何かが動く音がだんだんと大きくなっている。


セド、ナディーヤ、アウローザのメンバーが平然としているので、おそらく芋虫がこちらに向かってくる音なのだろう。


すると木の間から、一匹の巨大な芋虫が顔を低木の隙間から出す。


ルドヴィカ王女様とアイリスが悲鳴を上げそうになり、口に手を当てて耐えている。



「今日はね、芋虫さんにお礼を言いたいと、初めての人が来ているから大勢でごめんね」


ミリアが芋虫に語りかけている。


私はマジックバッグから布を取り出し、ミリアに近づいて芋虫に向かって話す。



「この布は君たちの糸で織ったものだ。私たちにとってはとても素敵な物になる。いつもありがとう」


私は芋虫に見せるように布を広げると、太陽の光で輝いている。


ミリヤも続けて芋虫に語りかける。


「この布はね、私たちが来た時に芋虫さんが吐く糸で作ったものなの。低木に張り付いた糸はここまで光らないけど、そちらもいい布になるのよ」



『キュ』


芋虫の声か?


「芋虫さんがついてきなさいって」


ミリアが私たちに向かって説明してくれた。


私はセドやナディーヤたちを見る。



「大丈夫です。いつも木に張り付いた糸があるところへ案内してくれるだけです」


「私たちが糸を取り終えてこの場所に戻ると、芋虫たちが吐いた糸が置いてあります」


セドとナディーヤが補足してくれた。


セドはルドヴィカ王女様たちがいるため、丁寧な言葉遣いだ。



ミリアたちを先頭に葉っぱがついた木の枝をかき分けながらついていくと、木々がない場所についた。


周囲を見渡すと葉っぱのない木々に白色の壁のようになった場所が、糸が固まっている場所らしい。


最初は糸を切っていたが、糸に水を撒くと切らなくても剥れて簡単に回収できると、ナディーヤが私たちに説明をしてくれた。


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