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第69話 滞在記(2)

次はダスティンさんの服飾店に2台の馬車で向かう。


ルドヴィカ王女様の希望リストに、既製服とレンタルドレスの見学と、暖かい生地で普段着るドレスや部屋着を作りたいとリストに書かれていたのだ。


王女様は子爵領の新しい事業内容まで知っていたので、アイリス以外からも情報収集していたことを知り、私は驚きを隠せなかった。


一方で始まったばかりなのに、どこからの情報を仕入れたのかと疑問も湧いたが、王家の情報能力を甘く見てはいけないと私は今後も気を抜くことなく対応しなければと改めて思ったのだ。



ダスティンさんの店の前に馬車が止まると、ダスティンさんと奥さんらしき女性が、店から慌てて出てきた。


建物は3階建てで、思ったよりも大きなお店だった。


2人を見ると、とても緊張しているのがありありとわかる。


ダスティンさんたちは王都に住んでいたし、王族の顔を知っているようだったから正直に話していた。



お店の中に入ると2階に通される。


2階は女性服とレンタル服を扱っていると説明があった。



「本日はお越しいただきありがとうございます。店主のダスティンで、隣は妻のカリナです」


ダスティンさんは自己紹介すると、夫婦2人で私たちに頭を下げる。


今日は貸し切りにしてくれているらしく、店のドアには休業のボードが掛かっていた。


そのため護衛の人たちは、店内の1階の表ドアと裏口ドア付近、2階の私たちがいる部屋の前に分かれて警備に当たるらしい。



まずは既製服の説明らしくカリナさんが、女性用の同じ柄のブラウスで4種類のサイズを持ってきて、王女様側にブラウスの表が見える形でテーブルに並べてくれる。


王女様とアイリス、私とマクファーソン伯爵が対面するような形でソファに座っているからだ。



カリナさんが緊張しながらも、ブラウスについて説明を始める。


サイズはS、M、L、LL。


SサイズとMサイズのブラウスを重ねると、MサイズがSサイズよりも少し大きいのがわかる。


SサイズとLLサイズを重ねると大きさの違いがはっきりとわかる。



この4種類の中で、自分が一番合うサイズを買うということらしい。


オリジナリティを出したい人は、生地、色の変更、ボタンの色、柄変更、襟に刺繍をするとかを案内しているそうだ。


王女様とアイリスは、自分の目の前にあるブラウスを手に取り見ている。



「この服の縫い目が細かいのに均一だわ。しかも表裏ともですよ!!」


アイリスが裾を表裏何度も見返している。


「本当ね。服の縫い目、全部が均一よ。いくら腕のいい職人でも、ここまでできるものなのかしら?」


ルドヴィカ王女様の問いに、カリナは話してもいいのかと目で訴えてきたから、私はうなずいた。


ジョージさんには了承を取っている。



「新しい魔道具で服を縫っています。この魔道具を使えば、1人の職人でブラウスを1日、2枚は確実に作れます。料金はオーダーメイドのブラウスより4割安く販売しています」


「なんですって!!」


カリナの説明に王女様は驚きの声をあげ、私たちを見てしまったという顔をする。



「ごめんなさい。続きをどうぞ」


カリナが話を続ける。ただ今見せている服限定になるらしい。


この生地を大量に購入して生地の単価を下げたこと。


毎回型紙を作らなくていいことで実現したとのことだった。。



試しに各サイズ5枚ずつ販売したが、すぐに完売したとか。


別の色の生地のブラウスにしたとしても、型は同じものを使うため、オーダーメイド料金より2割程度は安くなるそうだ。



「いつも既製服は置いてあるの?」


私はカリナに尋ねた。


「いいえ、魔道具が1台しかありませんから、各サイズの数が揃うと販売しています」


オーダーメイドの服も出来るだけ魔道具が使えるところは使うようにしているらしく、オーダーメイドの服の注文がない時に作っているそうだ。



「その魔道具は量産しないのかい?」


マクファーソン伯爵が口を挟んできた。


「今は魔道具の試作段階で、どこが壊れやすいとか、不便とか調べているのです」


「このレベルで試作品なのか?」


カリナの回答にマクファーソン伯爵が驚きつつ、私に話しかけてくる。



「ダニエル君、この魔道具を作った者は、この子爵領にいるのかね」


私は王都から最近引っ越してきた有名な魔道具師が作ったこと。


この領内にいることを聞きつけた商人たちからの依頼は、断っているらしいことを話した。



「服の量産は喜ばしいですが、職人たちの仕事を奪うことになりませんか?」


アイリスの問いにカリナが口を開く。


「職人さんに魔道具を使いこなしてもらうことで、両方対応可能になっています。完成品が増えることで手取りが増えていますから、不満はないようです」


厚手になる部分や、レースやリボンなどの飾りつけ、ボタン穴などは、魔道具ではうまく縫えないらしく、職人たちの高度な技術部分はそのままということみたいだった。


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