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第67話 第2王女殿下

3日後、私はアイリスと一緒に王城に来ている。


通された部屋にやって来たのは、王家の末子のルドヴィカ王女だ。



「一度、アイリスの婚約者殿にお会いしたかったのよ。わがままを言ってごめんなさいね」


ルドヴィカ王女の髪の色はレヴァンス王太子の藍色の髪とは違い、淡い金髪でふわふわの髪だが、顔はよく似ているから兄妹だとわかる。


ルドヴィカ王女は第2王女で、同じ年のアイリスとは仲がいいらしい。


頻繁には会えないけれど、手紙のやり取りをしているとのことだった。



ルドヴィカ王女は、レヴァンス王太子、第2王子、第1王女とは年が離れていている。


王太子、第2王子は結婚しているし、第1王女も他国へ嫁いでいて、すでにいない。


ルドヴィカ王女は私が外れスキルと言われながらも、そのスキルを活かし、活躍していること。


またアイリスから私が無人島の開発をしていて、特産品を作っていることを聞いていたらしく、詳しい話を聞きたかったそうだ。



そこからは王女の怒涛の質問に答える時間だった。


しばらくして王女は満足したのか、お茶を一口飲んだ。



「本題に入るわ。わたくしとアイリスが王家からの代理人として、極秘に神獣様へご挨拶をするために、あなたの島へ伺うわ」


「えぇー?!」


まさかの話に私は、王城なのに驚きの声を上げて、慌てて口に手を当てた。


「すごく驚いているわ、やったわね!!」


作戦成功ね!王女とアイリスは私を驚かせたことを喜んでいた。



「しかしルドヴィカ王女様が、極秘に来訪というのは難しくないでしょうか?」


私は宰相様が言っていた代理人が、王女様だとは思わなかった。


さすがに王族が立て続けに子爵領に来るのはよくないだろう。



「大丈夫よ、不在の間、わたくし体調を崩していることになるから」


王女様は、とても嬉しそうに弾んだ声だ。


私がそれでもあきらめてもらうために口を開きかけると、気づいた王女様が話し出すのが早かった。



「わたくし、この機会を逃したら、友人と旅行なんてできないと思うの?」


それを言われたら、何も言えない。


お立場上、王都から出る機会などなかなかないだろう。


外出も孤児院などの訪問など公務だけだと思う。


国王陛下や宰相様たちが認めているのだから、警護もしっかりつくはずだ。



「それでね、わたくし、子爵領でやりたいことがたくさんあるの。最初で最後の友人との旅行を楽しみたいのよ」


私にやりたいことリストと書かれた紙を差し出してきた。


王女様、亀様への挨拶が目的ですよね、いつの間にか友人との旅行に変わっていますが・・・・。



私はリストに書かれている内容を読んでいくが、よくこれだけ思いついたものだと私は感心する。


しかしリストの中に、ムームーと芋虫の見学という一文を見つけたため確認する。



「島の滞在期間を勝ち取ったのよ!」


ルドヴィカ王女は誇らしげに言った。


なんでも子爵領での滞在日数を、7日間、しかも島での滞在を含むことを陛下や宰相様たちに交渉したらしい。


最初は難色を示されたけれど、粘り強く説得して許可をもらったとか。


「最後は泣き落としまでしたのだけどね」


ルドヴィカ王女のつぶやきが聞こえたが、聞かなかったことにしよう。




「残念ですが島での宿泊は難しいです。おそらく日帰りになるとご了承ください」


「そんな、わたくしの努力が・・・・」


「楽しみにしていたのに・・・・」


王女様とアイリスは意気消沈している一方、私は驚きを隠せない。


島の建物は貴族が宿泊できる施設なんてない。


相当不便だと思うのに2人は、島に滞在する気だったのか。



私は芋虫に会いに行くなら、野営になるし、足元が悪い場所をずっと歩くこと。


そして島には宿泊施設がなく、島の住人が住む集合住宅も定員で余裕がないと説明した。


「大丈夫よ、野営も了承済よ。わたくしは王城の生活しかほとんど知らないわ。島での体験はわたくしにとってためになると思うのよ!!」


王女様、どこまで手回しがいいのか?



「わかりました。ただ宰相様たちに確認させてください」


私は気持ちを切り替えて、ルドヴィカ王女から旅の行程を聞く。


ルドヴィカ王女は嬉しそうに話し出す。



まずはアイリスの実家、マクファーソン伯爵領へ行く。


アイリスが実家に帰る設定で、アイリスの侍女に化けて同行するとのこと。


友人設定だと、他の貴族に気づかれる場合があるため、用心してとのことだった。


そしてマクファーソン伯爵同伴で、子爵領にアイリスが訪問する。


アイリスが単独で子爵領に来るのは難しいから、マクファーソン伯爵同伴が無難だろう。


伯爵も王家からの依頼だ、断れなかったのだろうな。一度謝りに伺おう。




「あとね、レヴァンスお兄様がね、あなたに本当に感謝しているとおっしゃられていたわ」


ルドヴィカ王女は話を急に変えてきた。


亡くなられたナビア王国のキャロライン王女様は、レヴァンス王太子と婚約が決まっているにもかかわらず、求婚してくる人がいたらしい。


あまりのしつこさに相談をうけたレヴァンス王太子が結婚準備を理由に、我が国に早く来るのはどうかと、キャロライン王女やナビア王国に提案したそうだ。


そして陸路は危ないから海路でとなり、嵐にあって亡くなったため、悔やんでいたみたいだと教えてくれた。



「少しでもレヴァンス王太子殿下のお心が晴れたのならよかったです」


すでに結婚して、お子様もいるレヴァンス王太子だが、亡くなった婚約者に罪悪感があったのだろうな。


ナビア王国のルパート殿下が来たから、子爵領に案内兼見届け人として王太子殿下が対応したと思っていたが、そんな理由が隠されていたとはね。



あれ?そうなると、もしかしてナビア王国以外の船も沈没していたのって……。


私が考えることではないし、知らなくてもいいから、宰相様たちが話さないのだろう。


国同士の話だ、今でさえ、島の開発でいっぱいいっぱいなのだから、深入りしない方がいい。

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