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第62話 亀

いつもお読みいただきありがとうございます。

お話しの年内アップは最終日になります。

また来年も引き続き、よろしくお願いいたします。

「あの、先ほどの声はあなたでしょうか?」


私は念のため、亀に近づき声をかけた。


『そうだ、つい珍しくてな。本当は結界で行き止まりにしているが、そなたを誘導してしまった』


「喋っているというよりは、私の頭に声が響く感じなのですが、合っていますか?」


『そうだ』



立ったままだとなんとなく悪い気がして、両膝を岩肌につき話を続ける。


しかし膝が痛くなく、岩肌がじんわりと暖かいから不思議だ。


「洞窟の入り口の封鎖は、魔道具ではなくあなたの力ですか?」


『それは違う。最近この島をうろうろする人間がいたから、ここには来られないように道を封鎖して、行き止まりにしている』



私はこの亀が幻獣ではないかと思った。


『そなた違うぞ、我は神獣だ!』


少しムッとした声だった。



どうも私が心で思っていたことを指摘されたようだ。


それなら私が以前読んだ本に出てきた神獣・・・ナナやメルは何になるのだろうか?


『面白そうな話だな。我に話してみよ』


また心の内を読まれたらしく、神獣だという亀様を怒らすのはよくないと思い、ナナとメルのことを話した。



亀の神獣様の話によると、女神に仕えていた元お気に入りの獣で間違いないらしい。


ただ大事になったイタズラとか、獣同士で頻繁に喧嘩とか、何かしでかして女神を怒らせた罰で、下界に落とされた獣だという。


ただし下界で真面目に生を全うすれば、再び女神の元へ戻ることが出来る。



ナナとメルの印は、目印として女神がつけたものだと教えてくれた。


あとスキル:獣語は、下界に落とされた獣が、真面目に生を全うできる手助けをするために、女神が選んだ人間だという。


なんでも女神の印があるため、能力が高いことに気付いた人間から、ひどい扱いを受ける獣たちが増えたための措置らしい。



「本当のことを教えていただきありがとうございます。リアムとメル、ナナが喜びます!」


私は亀様に向かって頭を下げた。


それから私は亀様に、この島を荒らしていた海賊のアジトを壊滅させたので、しばらくは落ち着いて暮らせるだろうことを話した。



『そうか、それでそなたは、どこからこの洞窟内に入ったのだ?』


私は海賊たちが何か隠していると思い、自分のスキルで滝つぼの裂け目を通ってきたことを話した。


『分かった、ならここまで来た褒美に洞窟の入り口の封鎖を解くから、そこから帰るといい』


亀様が顔で示した方向を見ると、先ほどまでなかった出入り口があった。



「ありがとうございます」


『あと我のことをむやみに言いふらすことは、しないでくれ。それと我はいつまでもここにいるとは限らない』


「分かりました。一部の口の堅い者のみにします。あとお礼といっても私が持っている物だと、料理くらいしかないのですが、食べられますか?」


『我は基本、食べることはしないが、供えてくれるのであればいただこう』




私は、ホタテショユバター、エビや野菜の天ぷらに塩を振りかけたもの、ヨウカンをマジックバッグから取りだした。


ヨウカンは、小豆という豆と、この前取ってきた海藻を使って作った甘いお菓子だ。


見た目は黒くて一瞬躊躇したが、柔らかく、なめらかで美味しかった。


ヨウカンという名前と料理方法はジョージさんから聞いたとアグネスが言っていた。


ただし前回と同じように、大雑把な調理方法だったから、アグネスが何度も試作して完成させたとのことだった。



どれも最近アグネスが作った新作料理で、私も好きな料理だ。


亀様も気に入ってくれるといいな。


私は亀様の前に3品の皿を置いた。



『今洞窟の入り口を解除した、そなたの仲間だと思われる者が入ってくるようだから、そこの入り口からは一本道だから出会うだろう。楽しい時間だった』


私は亀様に頭を下げて、出入り口に向かって歩きだした。


そして何か音がした気がしたから、後ろを振り向くと壁になっていて、出入り口は消えていた。





また歩きだすと辺りは暗くなりはじめ、照明魔道具で照らして進む。


しばらくすると反対方向から明かりが見えだした。


「おーい!私はここだ」


照明魔道具を高く掲げて左右に振った。



「ダニエル様!そちらに行きますのでお待ちください」


アラン副隊長の声だった。


私はアラン副隊長たちと合流する。



「ダニエル様、ご無事で何よりです。お怪我はありませんか?」


「大丈夫だよ。リカード隊長たちも心配していると思うから、誰か連絡に行って欲しい」


「先ほど2人を先に戻して、隊長たちの所へ向かわせました」


私はこの先は一本道で行き止まりになること、そして魔獣とかいないことを説明したが、アラン副隊長たちは確認したいと言う。


だから私と2名の騎士で先に洞窟を出ることにした。



同行の騎士に洞窟に入れるようになったときの状況を聞くと、「パリン」と音がして洞窟に入れるようになったとか。


洞窟内には剣やミスリル、鋼、魔鉱石などの素材も箱に入っていたらしい。


洞窟に入れないようにしていた魔道具も回収済みだと教えてくれた。



洞窟を出るとナディーヤとアウローザたちも戻って来ていたようで、目新しいものは見つからなかったそうだ。


しばらくするとリカード隊長たちが戻って来た。


「ダニエル様、ご無事でよかったです」


リカード隊長が私の顔を見てほっとしていた。


アラン副隊長たちも戻ってきたので、船に戻り島を離れた。


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