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第53話 もらえたの

「お待たせしました。ショユを使った料理尽くしよ。召し上がれ」


アグネスたちが次から次へと料理を運んでくる。



余談だがジョージさんこだわりの言い方は、あの後も誰も言えなかった。


「もういいわ。ジョージ、言いやすいショユで決定よ」


言葉にこだわるジョージさんは我々を指導していたが、ヘレンが飽きたのか、我慢の限界だったのかわからないが、ジョージさんを黙らせて終わらせた経緯がある。



アグネスから料理について説明がされていく。


ホタテのバターショユ焼き、鶏肉と根菜類の甘辛煮、魚の煮つけ、キノコのバターショユパスタ、ステーキはショユソース掛け。


アグネスが勧めるホタテ料理から私は食べ始める。



「美味しい」思わず声が出る。


周囲からも「うまい」「酒がすすむ」などの声がしていた。


私の美味しいを聞いたアグネスは笑顔で言う。



「ケイティさんのお手柄ですわ」


「僕は?」


私の近くで食べているジョージさんが、レシピ教えたのは僕だと不満そうにアグネスに抗議をしていた。



「確かにショユと砂糖で煮込めばいい。セイシュ?ミリン?がないからどうだろうとか、ショユとバターでホタテを焼いたり、キノコパスタもいけたはずとか、大雑把なレシピでしたよ」


アグネスに反論されて、ジョージさんは不満顔だ。


「アグネス、ジョージの大雑把な話でここまで美味しい料理なんて。天才ね」


「ヘレン、ありがとう。使い方がわかったから、これからいろいろチャレンジしてみるわ」



このショユがどれだけの範囲で実っているのか。


種を植えればこの島なら育つのか調べようと、畑組や冒険者たちが意見を交わしている。


ケイティも嬉しそうに話に加わっていた。


またひとつこの島の特産ができたようだ。




「ジョージさん、この島に移住で本当にいいのですか?」


私は気になっていたことを聞いてみた。


「なんで?」


「いや、ヘレンの家で楽しそうに暮らしているようなので」


「今のままでもいいんだけれど、しばらくは煩わしくない島暮らしをしたいかな?」



ジョージさんは前の工房の辞め方が後味悪い辞め方だったから、先方から邪魔をされることを懸念しているのだろうか?


あとはヘレンの店のことを心配しているとか?


ジョージさんは自由気ままなに振舞ってはいるが、周囲のことはしっかりと見ている気がしていたんだよね。



「ジョージ、今のままでもって、我が家に居座る気だったの?」


ヘレンが料理を食べていた手を止め、わざと身震いをしている。


「ヘレンを口説くなら、一緒に住んでいた方が既成事実?で、将来諦めて一緒になってくれるかなって」


ヘレンが食べていた料理を口の中で詰まらせて、せき込み始めた。



「ジョージさん、しれっと告白するのではなく、きちんとするべきです!」


アグネスがヘレンの背中をさすりながら、ジョージさんを睨む。


私もなんとなくそーかなぁーと内心思っていたんだよね。


ヘレンに近づくために、私は都合のいい理由だったんだろう。



「冗談じゃないわ。あんたみたいに手がかかる奴を一生面倒見るなんて嫌よ。あんたをお守できる人を、さっさと見つけて家から追い出してやる!!」


「時間はたっぷりあるし、周囲から固めていけばいいしな」


ジョージさんはうんうん頷きながら、ヘレンの捨て台詞は気にしていないようで、今後のプランを言っていた。



ヘレンはジョージさんを無視して、ひたすら料理を口に入れている。


周囲も会話は聞こえていただろうけれど、みんな知らないふりをしてくれている。


大人の対応だね。


翌朝、ヘレンとジョージはハンスの舟で戻って行った。





1か月後、リカード隊長たちが王都から戻ってきたため、ラクトゥーワ王国よりの海賊のアジトへ行ったが、建物以外何もなかった。


リカード隊長たちが建物などを壊している間、私は島周辺の探索に行く。


海の中を泳いでいると光っている場所があり向かうと、赤い藻が密集している場所だった。


これは・・・・アグネスが欲しいと言っていた物かもしれない。



さらに赤い藻に近づくと、大きめの藻だけのある部分の茎が光っている。


もしかして折る場所まで教えてくれているのか?


自分のスキルだけれど感心してしまう。



折った藻はマジックバッグにしまっていく。


マジックバッグが増えたから、ひとつ海に潜るとき用にしたので便利になった。


島周辺を見たが変わったところは見当たらなかったため、子爵領へ戻ることにした。





島に戻るとミリアが砂浜で大きく手を振っている。


そばにはナディーヤがいるが、慌てた様子はないので緊急を要することではなさそうだ。


船から降りると、ミリアが走って私の傍まで来る。



「ダニエル様、私ね、テイムはできなかったけれど、芋虫さんたちと少し意思疎通ができたの!それでね、糸をたくさんもらえたのです!!」


よっぽど嬉しかったのか本当にたくさんなのよと念を押してくる。


ナディーヤも後ろで頷いている。



ミリアはラクトゥーワ王国からの移住者のひとりで、スキルがテイム。


スキルが使えるようになってから、自分の周辺にいた動物をテイムしようとしてできなかったらしく、自信を失っていた。


でもこの島に来て、巨大な芋虫がテイム出来たらという話を聞いたミリアは、ナディーヤたちと毎回芋虫に会いに行っていたのだ。



そして今回、ミリアが芋虫たちからついて来いと言われているような気がすると言い、また芋虫たちについて行っても糸を吐かれることはなかったらしい。


そして着いた場所は、木々に絡まった糸がたくさんあり、ナディーヤたちが糸を回収していても芋虫たちは攻撃してこなかったそうだ。



「数か所糸を切りましたので、いつもの糸より短くなりますから、価値は下がると思います」


ナディーヤからの報告だった。


「それでもお手柄だよ。ミリア頑張ったね」


「はい!!私もダニエル様と同じ年です。自分のスキルを信じて頑張りました」


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