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第43話 開発再開

セドが実家から戻ってきたので、子爵領に戻ることにした。


子爵領に戻って島の開発を急ぎたい。


私がかかりっきりで出来るのは、あと1年と区切られてしまったからな。


本当はすぐに、次期伯爵としての振る舞いや、今後のことなど、父上としては教育を始めたいのだろうけれど、猶予をくれたということだろう。


セドが以前言っていたように、多少は親としての感情もあるということだろう。


成人したらすぐ伯爵っていうのは戸惑いが大きいし、兄上の出方も気になるが、今は島の開発に全力を尽くそうと思う。




「船で島に行くなんてすごいわー」


アグネスが船首で景色を見ながらはしゃいでいた。


「大人数で行くし、海賊のアジトの確認もあるからね」


ちょうどアグネスさんの声が聞こえたので、私が話しかけると、バツが悪そうにしていた。



アグネスは大きな船に乗るのは初めてだろうから、はしゃぎたくなる気持ちはわかるし、隣にいたナディーヤに話しかけていたのだろうな。


逆に悪いことしちゃったな。


「時間は短いけれど、楽しんでね」


私はアグネスたちに声を掛けるとそばを離れた。



今回船で行けるのは、リカード隊長たちがいるからだ。


私とセドが子爵領に戻ると父上に報告に行くと、リカード隊長たちと一緒に行くように言われたのだ。


父上からリカード隊長たちの班は、子爵領の騎士たちで3年ごとに1年間、私の護衛を兼ねた王都や、伯爵領勤務になっていたそうだ。



私が子爵領を継ぐことが決まったし、海賊の残党がいるかもしれないから、一緒に戻ってよいとのことだった。


知らなかったので驚いたが、リカード隊長たちが一緒なら、島に行く全員を船にのせて行けるし、あと回収していない海賊船もあるからよかったよ。




島に着いたが、セド、エスペランサ、アウローザが海賊の残党たちがいないか確認後、私、ハンス、リカード隊長たち騎士以外は全員が降りた。


「こっちにも桟橋作らないと不便だね」


最後だったアグネスとナディーヤが小舟に乗って島に行くのを見送りながら、私は隣にいたリカード隊長に意見を求めた。



「はい、今後この海域の見回りの際に立ち寄ったり、島の開発が進むと人の往来も多くなりますから早急にした方がよろしいかと思います」


私たちは船でこの島にあったアジトを確認に行く。


リカード隊長たちが、船から降りて破壊したアジトを確認しに行ったが、人がいる気配や、来た形跡はなかったそうだ。



報告を聞いた私は船から海に飛び込んで、リカード隊長たちと別れた。


私はこれから魚を獲りながら砂浜に、リカード隊長たちはこのまま子爵領へ戻る。


本当は2日かかる場所に沈めた海賊船の引き上げと、海賊の残党を確認したかったが、島の開発が遅れているため、2週間ほど家の建設を優先させてから行くことになったのだ。





「「「かんぱーい」」」


大人はお酒のエールで、私やセド、飲めない人はジュースで乾杯をした。


今日はエスペランサ、アウローザの歓迎会兼島の開発再開を祝って、アグネスさんが事前に料理をたくさん作ってくれていた。


そして今日、私が獲った魚もアグネスさんが急いで追加で料理してくれて、テーブルにこれでもかというぐらい並べられている。



私は料理に舌鼓を打っていたら


「キャー」


「クマよー」


アウローザの2人が窓の方を指している。


その声に反応するように、エスペランサのメンバーが剣を手にする。



「メルとナナ!!」


「メルか?」


私とセドが同時に叫ぶと、リアムが走ってナナとメルの小屋と繋がっているドアを開け


「ナナ、メルいるのか!!」と叫んでいた。



私はエスペランサとアウローザのパーティに、一緒にここで暮らしていること、リアムがスキルで彼らと会話できることを話して大丈夫だと伝えた。


リアムの声に反応してメルがドアから顔を出す。


リアムが大丈夫だとメルたちに伝えるとこちらにやって来た。



私の側に来たナナとメルを連れて、エスペランサとアウローザに紹介に行く。


みんな剣を握って警戒心はあるようだが、ナナとメルが彼らに軽く頭を下げると、彼らを代表してシオンさんが口を開く。


「我々はしばらくこの島に滞在する。よろしく頼むよ」



リアムも私たちの近くにいてナナとメルの通訳をする。


「ナナから見張りの仕事をしている、よろしく。メルからはブレナンさん、ジェイさんの手伝いをしているからよろしくと言っているよ」


リアムの言葉だけでは半信半疑だろう、メルたちが私たちの言葉を理解していることを、実際に見てもらうほうが早そうだ。



「メル、この椅子を自分の胸辺りまで持ち上げて」


私が指さした椅子をメルが両手で抱えて持ち上げた。


「ありがとう、もう椅子を下ろしていいよ」


メルは椅子を元の場所に戻した。



「本当に我々の言葉を理解していて、リアム君とは会話できるということですか?」


エスペランサとアウローザの人たちは信じられないという顔をしているが、シオンさんは私に確認してきた。


だから私はメルとナナは以前一緒に暮らしていた人が亡くなって、この島に連れてこられたこと。


おそらく亡くなった人はリアムと同じスキルだったのではないかと思っていることなどを話した。


エスペランサとアウローザも落ち着いたようなので、メルとナナを交えて改めて食事を再開することにした。



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