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第40話 残った者たちでの会話

ダニエルとセドリック君が退出した後、私は王太子殿下に頭を下げお礼を伝える。


「殿下、この度はご配慮いただきありがとうございます」


「伯爵、私としても成人前の子息を国の争いに巻き込みたくはない」



ナビア王国のキャロライン王女の件、クラトゥーワ王国の使節団が海賊に襲われていた件、どちらもナビア王国の隣国、アルム王国が絡んでいるようだった。


アルム国は土地が痩せており、作物が育ちにくく、豊かなナビア王国によく戦争を仕掛けている。


いったいどこに資金があるのか不思議ではあった。



今まではナビア王国の弱体化を狙った国々からの資金援助かと思われていたが、今回海賊団を支配して他国から資金を巻き上げていたことがわかったのだ。


アルム王国は海軍に力を入れていなかったから、完全に裏をかかれていたとしか言いようがない。


私も最初に王太子殿下から話を聞いた時にはひどく驚いたものだ。



そしてナッカリア王国も貴族が、第1王子派と第2王子派に分かれて水面下で争っているらしい。


ナッカリアの王太子は優秀だが体が弱い。


第2王子は側妃の息子だが、側妃は国王からの寵愛を良いことに、王妃と張り合っているらしい。



そして今回、我が国に船で来たのには裏があり、国際会議の帰りに遭遇した海賊を退治して、誘拐されていた自国民を助けたと大きく宣伝して凱旋する計画だったとか。


海賊も捕まるから割に合わないと思ったが、仲間割れで不要な海賊を処分したいからと第2王子派には話していたようだ。


ただこれは嘘で、側妃サイドから契約資金を巻き上げたうえで、我が国へ行く途中で第2王子を乗せた船を襲い、身代金をナッカリア王国から巻き上げるつもりだったようだ。


契約した海賊とは別の海賊が襲えば、何とでも言い逃れできると考えたらしい。



その契約書はダニエルが海賊討伐で手に入れた海賊船のマジックバッグから見つかった。


子爵領に着いた翌日、冒険者ギルドでマジックバッグの解除に立ち会うと出てきたのだ。


私が立ち会うことができてよかったが、契約書を見たときはダニエルの引き当ての良さに何と言っていいかわからなかった。



そしてその契約書を王都に着くとすぐに宰相にお渡しして、詳細がわかったのだった。


しかし契約書を海賊とかわすとは、第2王子派の接触した者は間抜けとしかいいようがない。


我が国はナッカリア王国の第1王子に証拠品を渡すので、おそらく第2王子派は処罰されるだろう。


王都に来てからの2日間も本当に忙しかったが、ダニエルには契約書については話していない。


立ち会った冒険者ギルド長たちにも固く口止めをした。



「殿下、ナビア王国とアルム王国は戦争になりますでしょうか?」


「伯爵、おそらくなるだろう。今まではアルム王国を吸収しても旨味がないから、ナビア王国は仕掛けられたら対応するぐらいにしていたが、潰すだろうな」


私はそれ以上詳しい話は聞くことは控えた。私は国の政策に携わっているわけではないからな。




王太子殿下が退出された後、、チャンドラー子爵が口を開く。


「セドリックの騎士爵、伯爵が王太子殿下たちに進言してくれたのではありませんか?」


「子爵、どういうことかね」


「ダニエル君は伯爵ではなく侯爵へという話もあったのでは?」


「なぜそう思うのだ」


「今回、ナビア王国とナッカリア王国の悩み事を解決したダニエル君です。伯爵位だと他国への体裁が悪いのではないでしょうか?」



痛いところを突いてきた。実際そういう話はあったが、成人後侯爵となっても苦労することが目に見えている。


肩書が上がれば体裁も整えないといけない。


それに国内貴族からの嫉妬や妬みがひどくなるだろう。



私は外れスキルといわれているダニエルを教会が称える可能性が強く、侯爵になると他から潰されてしまうことを訴えて、伯爵位と褒賞金とセドリック君への爵位を提案したのだ。


このことは以前、宰相に言われたことだからな、王家側もわかっていることだろう。


そしてダニエルがセドリック君のことを気にしていることを伝え、今回海賊討伐ではダニエルの次に活躍していたと報告が上がっていることも訴えて認められたのだ。


セドリック君がダニエルについていくことを許した子爵だ。周りをよく見ている。



「確かにそういう話もあった、しかしダニエル一人の力ではない。みんなが協力したからこその結果だ。セドリック君も大活躍だったと報告が上がっているからだろう」


子爵はそれ以上、何も言ってこなかった。


そして我々も王城を後にした。



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