第37話 契約
アラン副隊長、誘拐された人たちは何人いたの?」
私の問いにアラン副隊長が教えてくれる。
「全部で26人、そのうち帰国希望者は5名です」
「少ないね」
「はい、特に女性が帰国を望んでいません」
それからアラン副隊長が2名ほど怪しい人物がいて、その2人は帰国希望者らしい。
なんでも夫婦と言っているが、夫婦に見えないらしく、注意人物として警戒するそうだ。
父上に至急手紙を書くことは了承、あと就職希望者は商業ギルドへ紹介、下宿先や身の回り品など援助をすることを指示した。
セドが船から戻ってきて金庫の鍵を見つけ、金庫にはやはりマジックバッグが1つ入っていたと、私に渡してきた。
マジックバッグを受け取りながら、セドに話しかける。
「嬉しいんだけれど、海賊がなんでマジックバッグをたくさん保有しているんだろうね」
マジックバッグ・・・・時間停止の物は貴重で高価なもののはず。
「今回のも今までと一緒だから、製作者は同じだと思う。製作者から盗んだのか、一味に製作者がいるかだろうな」
セドは私の呟きに、考えられる可能性をあげていった。
「一味でないことを祈るよ。せっかくのスキルが勿体なさすぎる」
これも冒険者ギルドに申請しないといけない。
今回父上に迷惑をかけたから、中身は私が受け取るが、伯爵家にこのマジックバッグを渡すか。
ヘレンさんに頼んで持って行ってもらうことにしよう。
翌日、エスペランサとアウローザの冒険者パーティが屋敷に来てくれた。
応接室で対応したが、貴族の屋敷の中に通されたことは初めてらしく緊張しているのか、居心地が悪そうだった。
ここにはセドとナディーヤも呼んでいる。
結論からいうとエスペランサは契約を2か月間、そのあと延長か打ち切りをまた話し合う。
一方、アウローザはナディーヤがいる限り一緒にと言っている。
ナディーヤをパーティに加入させたいようだから、口説くためなのだろうが、こだわり過ぎるのもよくないと思うんだがね。
「私はありがたいが、冒険者ランクが上がらなくなるよ」
「エスペランサと同じ2か月契約にして、島開発に携わってもいいと思えば、契約延長したらいいと思うわ」
私の指摘をすると、ナディーヤからも同じように慎重になった方がいいとアドバイスされ、アウローザもエスペランサと同じ契約でいくことになった。
契約は冒険者ギルドで明日正式に契約を交わし、3日後には無人島に行くことで合意する。
冒険者たちが帰った後、今度はリカード隊長から報告があった。
海賊たちは本拠地に言ったことがない者がほとんどらしい。
今回の海賊たちはは、刑罰軽減をちらつかせたら、喋ったそうだ。
海賊グループは、各地に散らばっているアジトに幹部が見回りで来るらしく、武器や食料と交換で誘拐した人たちや戦利品を持っていくそうだ。
またアジトは2~3週間程度で移動することを義務付けられていて、同じ拠点を使い続けることはできないそうだ。
ただし自分たちの船が使えるアジトは5つ。
海賊同士がかち合った場合、1隻しか泊められるなら、あとから来た船に譲ること。
2隻泊められる場合は、どちらかが数日以内に移動すればいい。
そして活躍し続ければ幹部として本拠地に行けるらしい。
「いったい、いくつ拠点があるのか。最初の報告書では6グループとの話でしたが、実際はもっと大きな組織ではないでしょうか?」
リカード隊長が私見だと言いながら感想を言った。
私は報告を聞いた後で思ったことを口にする。
「あと海賊の頭はよほど用心深いようだね」
「側近かもしれません。ですが5か所全部アジトは聞き出せましたので、早急に潰したいです」
「すべて我が国かい?」
リカード隊長からの返事は、ラクトゥーワ王国内に2か所、ラクトゥーワ王国近い無人島、ナビア王国に近い無人島、あとここから2日ほど行ったところにある無人島とのことだった。
「ラクトゥーワに拠点が多いね。これも父上経由で両国へ報告だね」
「はい、そうしていただけるとありがたいです」
私の意見にリカード隊長も同意してくれた。
私が書いた手紙と捕まえた海賊たちの引き渡しをどうするか父上と相談するため、2人の騎士が伯爵家に戻る。
ただリカード隊長としては、父上からの指示を待たずに我々の島に近いアジトを、海賊が気づく前に潰したいとのこと。
だから3日後、私たちは島へ戻るのではなく、海賊討伐に変更してほしいとのことだった。
「ダル、リカード隊長の意見を採用した方がいい。ここから近いアジトを海賊がいなくても潰せば、開発している島に近寄ってこないだろう」
セドもリカード隊長の案に賛成するので、予定を変更することにした。
ナディーヤにエスペランサとアウローザに変更を伝えるようにお願いして、私とセドはブレナンやアグネスさんに変更を伝えに行った。




