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第34話 作戦

夜の海を泳ぐのは初めてで厳しいかなと思ったが、視界は良好で怖くはなかった。


ほんとにこのスキルには助けられている。


今回の作戦は、私が夜のうちに海賊船を子爵領の桟橋まで移動させること。


これが一番効率的ではないかという話になった。



船に海賊が乗っていなかったとしても、移動手段がなければどうしようもない。


その時はこちらが乗り込み無人島で戦うことになる。


冒険者ギルドにも応援を頼み、桟橋を明るくして私が帰って来るのを待つ手はずになっている。




無人島のアジトに着き、岩の影から様子を伺うと、船には明かりがなく、島側に明かりが見える。


これだと海賊は船から降りている可能性が高い。


せめて半分ぐらいは船に乗っていてほしかったが仕方ない。


船を移動させることにしよう。



私は海に潜り、海側の船の底を持ち引っ張ると、最初は何かに引っかかっているようで動かなかったが、もう一度引っ張ると船が動き出した。


そこからは全速力で泳いで子爵領へ向かい、桟橋に船をつけた。


急に船の揺れが激しくなった。おそらく船に海賊が乗っていたのだと思う。


だから私は少しでもセドや騎士たちたちが、戦闘しやすくなればいいとの思いから、船の揺れを軽減するため船底に移動して両手で船を支える。



しばらくして船の揺れが少なくなったように感じたから、船底から手を離すが大きな揺れはなかった。


戦闘が終わったと思うから、私は海からあがってセドたちがいる場所へ向かう。


セドが私に気づいて走って来る。



「ダル、船にいた海賊は全員捕らえた。あと誘拐された人たちがいて保護できた」


「それはよかった。リカード隊長たちは、今後どうするって言っている?」


「明日の早朝、こちらから無人島にいる海賊の討伐を仕掛けたいらしい」


「賛成だ、無人島内に入られると、ますます開発が遅れてしまうからね」



リカード隊長たちに私は剣の腕が立つわけではないから、船に乗ることを止められた。


だけどハンスも危険を承知で船の操縦をするし、海賊が船に乗り込んでいたら船を子爵領へ素早く誘導できると説得して同行を許可してもらう。


そして今回、協力してくれた冒険者の中に、盗賊をよく検挙しているパーティがいるらしく、海賊討伐にも力を貸してくれるそうだ。


子爵領の騎士たちは捕まえた海賊の尋問、誘拐された人たちへのヒアリングをお願いすることで話はまとまる。




翌日の早朝、まだ太陽はでていない暗い時間帯だが、ハンスは海のどこを通ればいいかはっきり見えるらしく、順調に島に向かっている。


ハンスのスキルには本当に助かっている。


甲板に出て海を眺めていると、セドとナディーヤが、2組の冒険者パーティを連れて私の所へやって来た。



「ダル、紹介するよ。今回協力してくれる冒険者パーティ、エスペランサとアウローザだ」


ダルの説明に反応するように、男女1人ずつ一歩前にでて、男性から話しかけてくる。


「挨拶が遅くなり申しわけありません。エスペランサのリーダーをしているシオンです。我々は男性4人のパーティで、右からグレイ、ブルーノ、チャドです」



エスペランサは20代半ばから20代後半の男性で、シオンさんとチャドさんは身長2メートル近い、がっしりとした体つきだ。


グレイさんとブルーノさんはシオンさんたちに比べて身長は低いが180cmはありそうだ。


シオンさんは狼の獣人、ブルーノさんは猫の獣人、チャドさんとグレイさんは人間の冒険者パーティだった。


彼らはCランクグループで、今はダンジョンよりも護衛の仕事を主に引き受けているらしい。



何故かというと、何度か窃盗団を捕まえたことで、指名依頼が増えたためだとか。


今回父上から、王都から子爵領までの護衛と、海賊討伐の助っ人を依頼されたそうだ。


父上そんなこと一言も言っていなかった・・・・。



「私たちも自己紹介をさせていただきます。アウローザのリーダー、ディアナです。右からドロシー、ケイティ、マリオンです」


こちらはまだ若く10代後半から20代前半の若い女性パーティだ。


ディアナさんは豹の獣人、ドロシーさんは犬の獣人、ケイティさんとマリオンさんは人間の冒険者パーティだった。


彼女たちはEランクグループと聞いたので、私は戸惑ってしまった。


ナディーヤが私の戸惑いに気づき口を開く。



「ダニエル様、アウローザの腕前は私が保障します」


ナディーヤの話だと、ダンジョンによく組んで一緒に行っていたらしい。


腕前はランク以上らしいが、魔獣の討伐数が未達で上のランクに上がれないようだ。


「わたしたち、ナディーヤにパーティ加入を勧めているんですけれど、断られるんです。でも諦められなくて、彼女を追いかけてきました」


なるほど、彼女たちはナディーヤ崇拝者なのね。



ナディーヤとアウローザ、アラン副隊長と騎士5人が船内に残り、あとは全員船を降りて戦うと聞いて、私は顔をしかめる。


「船内に人数が多いのは、私やハンスのせい?」


「ダル、違うぞ。海賊は船が欲しいはずだ。」


セドがすぐさま否定して、説明をしてくれたので私は納得した。


海賊の食料は船に置いてあったから、島にはあまりないはず、そして島から脱出したくても船がない。


むしろ船を奪うために、精鋭を送ってくる可能性が高いということみたいだ。



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