表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/52

第27話  新たな依頼

「待たせたな。船の引き上げを頼む」


レヴァンス王太子の言葉で、私は海の中に入っていった。


まずは1隻目を桟橋付近まで移動させ、一度海面に顔を出す。


桟橋にはセドがロープを持って待っていて、私に向けて投げてきた。



「ダル、先端部分にロープをくくりつけてくれ。船が動いたらこちらもロープを引っ張る」


私はロープを受けとり、海に潜り船の先端部分にロープを取り付けた。


そしてまた船を動かし始め、桟敷に寄せ、船から手を離したが沈まないので成功したのだろう。


また海面に顔を出すとセドが次の桟橋で待っているからと移動していった。



あとの2隻も上手く桟敷に接続が出来て、私は海からあがった。


「ダニエル、見事だ。あと見る限り服がまったく濡れていないようなのだが・・・スキルのお陰かい?」


レヴァンス王太子が私に声を掛けてきた。



「はい、海に入っても服はまとわりつきません」


私の返事にそうかと頷いた後は、難破船の検証に戻っていかれた。


セドが私に近寄ってきて、私が普段着のまま、何も装着もせずに海に入ったこと、まったく海面に顔を私が出さないことで、みんな驚いていたらしい。



私とセドは父上のところへ行き、今後の指示を仰ぐと屋敷に戻っていいそうだ。


昼食になっても誰も戻ってこず、夕方父上たちが戻ってきた。


夜間の見張りで護衛騎士の1/4がそのまま船着き場に残っているらしく、明日も朝から出かけるそうだ。



王女殿下と思われる遺体も見つかったらしい。


なんでも王女殿下が生前身につけていた宝石類、骸骨化した首にネックレス、指に指輪がそのまま残って、ナビア王国の紋章がついた船の遺体を回収したそうだ。



「憶測で話はできない。結論が出てからすべて話す」


父上は私たちに検証が終わるまで屋敷内で、大人しくしているように指示があったが、両王太子から呼ばれる。



私とセドが応接室に急いで行くと、すでに両王太子殿下は部屋にいらっしゃった。


「「申し訳ありません。遅くなりました」」


「急に呼び出して悪かった。実は協力してほしいことができたのだ」



レヴァンス王太子の話は、私が見つけた3隻目は紋章が削られた後に、新しい紋章を付け替えした形跡が残っていた。


だから私に難破船を見つけた周辺に、新しい紋章が落ちていないか確認してほしいとの依頼だった。



「紋章ですか?しかし・・・」


私が言い淀むとルパート王太子が口を挟む。


「レヴァンス、ダニエル君はその紋章がアレクシオ王国のものだったらどうするのかと、心配しているのではないか?」


「伯爵からこの事件の経緯を聞いているのか」


「はい」


「我々が求めているのも我が国の偽の紋章だ」


「偽の紋章・・・」


「そうだ、見つからないかもしれないが、確認してほしい」



期限は2日。見つからなくても結果を伝えに戻ってくるようにとのことで、王太子殿下たちの滞在が、あと2日だからだそうだ。




島にいるみんなには、難破船の破片が残っていないかの確認で戻ってきたということにした。


セドは明日の昼までには戻れるからと、芋虫と遭遇した場所にナディーヤと再度行くことになった。



私は早速海に潜り2隻の難破船があった場所周辺を泳いで確認するが、木の破片がバラバラとある程度で、金属製のものは見当たらなかった。


砂に足を突くと、砂の中から平べったい2メートル以上の生き物らしきものが現れ、私に襲いかかってきたが、あっさりと避ける。


どうやら私は生き物の上に乗ってしまったようだ。



また勝手に体が動き、生き物の尻尾みたいな部分を思いっきり足で踏むと、私に再度向かおうと反転しようとしていた生き物が、動けなくなり左右に体をくねらせている。


生き物の目と目のあいだ辺りが光って見えたので、尻尾らしきものを踏むことをやめ、光っている部分を腕で殴ると砂の上に倒れた。


見た目はグロテスクだけど、今回は倒したからお金になる部分があるのかもしれないと思い、持って帰ることにした。



生き物の尻尾らしき部分を片手で掴むためにかがむと、岩だと思っていたものが違う様に見えたので拾うと、金属性のものだった。


ただ海藻らしきものが付着していてわからなかったのだ。


海藻の一部を取り除くと紋章らしき形が見える、とりあえずこれも持ち帰って洗ってみよう。



砂浜に近くなり海面に顔を出すが、セドがいないことに気づいた、マジックバッグ持ってきてくれる人がいない。


ナナが私に気づき、メルに声を掛けてくれたようで、メルが海に近寄ってくる。


リアムも気づいたようで、メルを追いかけて私の方へ来てくれる。


今回、私一人で引っ張り上げるのは無理で、メルにメル自身の体半分ぐらい、海水に浸かるところまで来てもらって、家の前まで運んでくれた。


メルは毛がベタつくからと小川に水浴びに出かけると言う。



「ありがとう、そしてごめん」


メルに向かって言うと、いつも美味しいお魚ありがとうと言っているとリアムが教えてくれた。


いい子だよ、ホントに。



アグネスが家の中から出てきて、大きな生き物を見て驚いている。


「アグネス、この生き物何かわかる?」


「エーグラーに似ているのですが、大きさが違います」



アグネスが知っているエーグラーは80センチ前後らしいが、見た目は一緒だそうだ。


ちなみにエーグラーは滅多に獲れないらしく、唐揚げが絶品だとか。


またヘレンさんに相談だな。



エーグラーに似たものをマジックバッグにしまって、私は拾ってきた金属を海水で洗うと、我が国の王家の紋章らしきものが見えた。


海藻をある程度取ったが、強く磨くと錆びているから紋章部分が削れる怖れもあり、これ以上自分でするのはやめた、あとは専門家に任せればいい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ