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第26話 準備

翌日からは、新設された桟橋近くに難破船を移動させるため、ハンスの舟でセドと一緒に島に戻る。


難破船移動途中で、大物と遭遇したらマジックバッグに入れてもらうためセドにも同行してもらっているというか、セドが退屈だから一緒に行くといったのだ。



「もう戻ってきたのか?早くないか?」


ブレナンがからかい半分で私たちに声を掛けてきた。


「難破船の移動だよ」


私は1日1隻の移動になるから、何か必要な物があれば買ってくると尋ねると、アグネスさんに聞いてくれとのこと。



「あら、どうしたの?早い戻りね」


アグネスさんに説明をして買い物があるか尋ねた。


「最終日にお肉とお魚をお願いします」


私はアグネスの希望を了承した。


アグネスからお菓子を食べて少し休憩をしてはと誘われ、お茶とクッキーをごちそうになった。


はやり、料理人がいてくれるのはいいな。



3日間、毎日1隻ずつ移動させて終わると、難破船を移動させた場所周辺で魚を獲ってから子爵領へ戻るを繰り返した。


難破船の移動が終わると、マナーの練習をするくらいで、ゆっくりと過ごすことができた。


ずっと働き詰めだったから、休みはいい気分転換になった、ブレナンたちにも休暇を取ってもらおう。





ナビア王国と我が国の両王太子殿下は、今日子爵領に到着予定だ。


はじめは我が国の王太子殿下が前日入りの予定だったが、途中で一緒に来ると連絡があった。父上いわく、同じ条件で難破船を見たいのだろうとのことだった。


我が国の王太子殿下と他国の王太子殿下も一緒に子爵領に来るなんて、最初で最後だろうな。



侍女が呼びに来たのでセドと一緒に玄関へ向かう。


「正直俺は、おまけだと思うが緊張する」


「セドにも話を振られると思うよ」


セドと雑談していたが、父上が来たので黙って両殿下たちが来られるのを待つ。



しばらくすると先頭の護衛たちが見えてきた。


玄関前に豪華な馬車が2台止まり、ドアが開くと我が国の王太子殿下が、後ろの馬車からはナビア王国の王太子殿下と思われる方が降りてこられた。



我が国のレヴァンス・アレクシオ王太子殿下は28歳、今年第二王子が生まれたため、近いうちに王様が譲位され、王になるのではないかと噂されている。


いつも冷静沈着な方で、我が国は新しい王になっても安泰だと評判も高い方だ。藍色の長い髪を後ろに括っている。



一方、ナビア王国のルパート・フォルティス王太子殿下は25歳、金色の短い髪で体格がよく、体を鍛えていることが服の上からでもわかる。


顔は無表情を装っているが、とても鋭い目だ。


すごく値踏みをされているように思う。


王太子殿下みずから他国に乗り込んでくるくらいだ、腕にも相当自信があるのだろう。



ナビア王国の建国名はフォルティス、ナビアは建国の女王陛下の名前だ。


女王陛下が30代の若さで亡くなった後を継いだ弟の国王陛下が、女王陛下を讃えて国の名前をナビアに変更したためだ。


父上が2人の王太子殿下に挨拶をしているのを私とセドは、父上の後ろで聞いている。



「今から例のものを見たいと言いたいところだが、引き上げたら夜だ、その夜の間に何か起こってしまうのは避けたい。明日の早朝から引き揚げてほしい」


父上はレヴァンス王太子殿下言葉を受けて、今度はルパート王太子殿下の方を見ると、ルパート殿下も頷かれた。


一緒に来たから、その間に打ち合わせ済なのかな。


両王太子殿下は父上の誘導で、それぞれの滞在部屋へ移動していった。



私とセドは黙ったまま、私の部屋まで移動して、部屋に入った途端に2人でふっーと息を吐く。


「ダル、やっぱり王族のオーラすごかったな」


「ほんとだね、タイプは違うのにどちらも迫力があった。この屋敷がバカでかくて助かったよ」



子爵家なのにこの屋敷は実家よりも大きい。


私とセドと父上は離れと呼ばれている建物に寝泊まりしていて、本屋敷とは繋がっているが奥まった場所にある。


しかも本屋敷は東館、西館に分かれていて、中央に食堂や玄関、応接室、執務室などがある。


なんでも領主夫妻と嫡男夫妻の関係が悪い時に増築した名残だそうだ。


離れは離婚して出戻った女性が、慰謝料で建てたものらしい。



だから2か国の王太子殿下を同じ屋敷に泊めることができるのも、この屋敷の構造上できたのだと思う。


過去の話だけれど、よくこんな大きな屋敷を作れるぐらいの資金があったんだと思うよ。




翌朝、私は両国の王太子殿下が来る前に、海に潜り3隻の難破船を桟敷近くにさらに寄せる。


今日は漁が禁止されているため小舟が通らないことと、時間短縮の意味で進めている。


準備ができたので海から上がると、父上とセドが来ていた。



「準備はできたのか」


「はい、終わりました」


父上は頷き、両国の王太子殿下もまもなく到着されるだろうと教えてくれた。


20分ほどして伯爵家の家紋がついた馬車1台を護衛の騎士たちの馬で囲んで桟敷にやって来た。



私の視線に気づいた父上が渋い顔で口を開く。


「どちらの馬車で行くか揉めたのだ」


「両殿下が同じ馬車に乗ってもよいのですか?」


「お止めしたのだが、両殿下とも場所的に1台で行くと仰せになられてだな・・・」


何かあれば父上の責任問題にもなるからな、でも押し切られたのだろう。

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