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第25話 頷けない

「しかし私はこの領内に知り合いはいません。いくら引き継いだと言っても、お客様が来てくださるでしょうか?」


「そこはダニエル様ですよ。ダニエル様のお抱えだと宣伝すればいいのです」


あと生活が安定するまで、ヘレンさんの商会で仕入れた生地の鑑定や、仕入れで王都に行った際に、生地問屋で掘り出しものを見つけて購入してきてほしいらしい。



「少し考えさせてください。婚約者が一緒に来てくれるかどうかもありますから」


婚約者さんはデザイナーで女性の服が担当らしい。


「でしたら、この糸で作った生地に興味を持たれるかもしれませんね」


至急、ヘレンさんが工房にお願いして布にするように手配するようだ。


ヘレンさん、ダスティンにこの布が独占できるよと、婚約者をそそのかせとささやいているように聞こえるのだけれど・・・。



「ヘレンさん、この子爵領にも女性服の工房はあるでしょう」


「ダニエル様、ありますが、ダニエル様がこの子爵領を継いで、奥様やお子様たちの衣装を注文するような店は今のところありません。ですが王都ばかりで作られるのはよくありません」


「いや、私がこの子爵領を継ぐかは不明だよ」


「いいえ、これだけ貢献されたのです。継がないとなると色々と問題が起こるかと・・・・」


ダスティンがいるからヘレンさんは言葉を濁しているが、何か知っているような口ぶりだ。



父上と今回しっかり話をした方がよさそうだ。


ダスティンはヘレンさんに、一度領内の紳士服店主と話がしたいと言う。


店舗や店主と話してから決めても遅くはない。


ダスティンが服の微調整をするために出て行ったあと、ヘレンさんに今度は私が見つけた真珠っぽいものを見せた。



「ダ、ダニエル様、こ、これ」


ヘレンさんは相当慌てている。


「真珠に似ているけれど、大きさがね」


「こんな大きな真珠、見たことがありません」


ヘレンさんは真珠を手に取って角度を変えて見ているが、顔がほころんでいる。売りつける先を算段しているのか?



「イエローとピンクの真珠で間違いないと思われます。もちろん鑑定しますが・・・」


「父上、案件?」


「そうされた方がよいかと思われます」


「わかった、ところで父上や王城からの立会人はいつ頃来られるのかな?」


「伯爵様は2日後にいらっしゃるそうです。ダニエル様たちには子爵領の屋敷で待っていてほしいとのことです」





「父上、お久しぶりです」


「ダニエル、セドリック元気そうでよかった。セドリック、チャンドラー子爵から便りがないと嘆かれていたよ。時間を見つけて手紙を送ったらいい」


「伯爵、父がご迷惑をおかけしたようで申し訳ございません。ここにいる間に実家に手紙を送ります」


セドの言葉に父上は頷いた。


「話したいことがあるから、1時間後に応接室で会おう」


父上は玄関で出迎えた私たちに声をかけると屋敷に入って行った。




1時間後、応接室に3人で集まる。


父上からナビア王国と我が国の両王太子殿下がこの地に来られるという。まさかの両王太子殿下がここまでやってくるとは!!


私とセドが驚いているにもかかわらず、父上は今後の予定を説明しだす。


船は事前に島から、この領地に近い場所まで移動しておくこと。


全員が見ている目の前で3隻を引き上げるらしい。



「それと食事に出す魚は領内から買い上げる予定だが、人数が多い。王族の方々には高級魚の料理を召し上がってもらいたい」


「父上、今回獲った魚はマジックバッグに入っています。買い取っていただけたら、うれしいです」


「わかった。あとで調理場へ持っていきなさい。足りないようなら、追加で頼む」



私は小箱を父上の前に置く。


父上は訝しげな顔をしながら小箱の蓋を開ける。


「なんだ、これは!!」


「真珠に似ているのですが、大きさが違うのでわかりません」



「・・・預かろう。確認してからになるが、おそらく王家が買い取ってくれるだろう」


「それで構いません。よろしくお願いいたします」


父上はふっーと息を吐いてから口を開く。



「お前のスキルは、この領地を発展させるために与えられたのだろうな」


「父上」


「お前がオーガストのせいでここを継ぎたくないと言っているが、継いだ方がいい。今後のことを考えたならな」


「父上、それはどういう意味でしょうか?」


「無事に今回の件が終わってからだ」



父上は料理長に魚が足りるか確認して、明日からしっかり準備するようと言った後は、私たちとの話を終えた。


私の部屋にセドと戻る。


「セド、父上の話どう思う?」


「両方の国の王太子殿下がここへ来るんだ。それだけ今回の件は両国にとって重要なことなのだろう」


それはわかるがなぜこの子爵領を継ぐ話になるのだろうか?



「ダル、今回の件、貴族の間で話題になっているはずだ」


両国の関係性が改善されたとなると、私を取り込もうとする貴族が増えるということか?


王太子殿下の覚えがよくなるし、もしかしたらナビア王国からも覚えが良くなるかもしれない。


私がここを継がないと言えば、高位貴族が父上に好条件の縁談を持ち込むということだろうか。



「伯爵はダルのこと心配しているようでよかったな」


セドに父上が本当に伯爵家のことしか考えていないのなら、グロースシューレとか全部自分の手柄にするぞと言われた。


そうかもしれないけれど、ずっと父上は家族に興味がないと思っていたから素直には頷けない。



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