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第20話 真相

翌日ジェイがハンスの舟で戻ってきたから、木造の家の建築が本格的に進みだす。


ジェイは廃材や木材集めをしながら空いた時間で、木材の加工をしてくれていたので、早く進んでいるようだ。



また2週間ほど経ったある日、ヘレンさんが急にやってきた。


難破船の話だろうけれど早くないか?持ち主がわかっていたのだろうか?


「ダニエル様、早くお知らせした方がいいと思い参りました」


いつものようにお土産として、アグネスさんの料理とハーブ塩、露店の串肉にパンや水が大量にあった。


さすがに毎回、お土産としてもらうには多すぎるのでお金を払うと申し出たけれど、ヘレンさんはチエリ貝が予定よりも高く売れたのでお礼ですと固辞するので、素直に受け取ることにした。


ヘレンさんのおかげで、料理の買い出しに子爵領に出向かなくていいから本当に助かっている。



ヘレンさんは2通の手紙を私に差し出した。


裏返すと父上とアイリスからだった。


父上の手紙から読み終え、ヘレンさんを見ると頷かれ、私はもう一度父上の手紙を読み直すが、書いてあることは事実のようだ。


心の中では嘘だろーと大騒ぎしているが、みんなの前ではできないので平常心を保つ努力をしている。


セドが近寄ってきたので父上の手紙を見せると、読みながら「まじかー」と驚いている。


私が平常心を保つ努力をしているのにセドひどいよ。



「ダル、やべぇーやつ引き上げたんだな。国家間レベルかよ」


「セド、言わないでくれ。現実逃避をしたいのに、ズバッと核心を突かないでくれる?」



父上からの手紙には、8年前に王太子殿下に嫁ぐ予定だったナビア王国の第2王女が、乗っていた船の可能性が高いことが書かれていた。


天候が悪化した際に難破したことはわかっていたが、我が国内にこの縁談を阻止したいグループがいて、その者たちの仕業で難破したのではないかとナビア王国側から疑われていること。


表面上、難破で不運だったとなっているが、実際は国同士の関係は悪化していたらしい。



そして最初の映し玉をナビア王国側に見せたところ、国際会議の前に派遣団と我が国からも立会人が、難破船を確認するためやってくるそうだ。


そして子爵領に滞在するため子爵家の館を使うらしい。


だから王家から執事、侍女、護衛が準備で派遣されることなどが書いてあった。


つまりナビア王国の王族が最初から乗り込んでくるということだよな。




「ヘレンさん、最初からわかっていたんだね」


「申し訳ありません。私も確証がなかったので、伯爵様を頼らせていただきました」


今後の予定としては、あと3週間ほどでやってくるナビア王国の派遣団が船内などを確認するために、子爵領の桟橋の拡張工事がすでに始まっているそうだ。


これは王家が資金を出してくれるらしい。


桟橋の工事が終わり次第、難破船を移動。


これは私の仕事になる。



「父上は子爵領へ来るのか?」


「はい、ナビア王国の方々の出迎えで来られます。あとダニエル様、セドリック様も一緒に出迎えをするようにとのことです」


「はぁー」「俺も?」


私は事情聴取もあるからやっぱりと思い、セドはまさか自分も出迎えをしないといけないと聞いて驚いていた。


私たちは父上の命令で明日、子爵領に行き、急いで服を仕立てることになったが、セドの分も父上が払ってくれるようなのでよしとした。


王族の出迎えなのに正装でないのは不謹慎だ、しかも国家間のわだかまりを解消できるかどうかのきっかけになりそうな話だ。


本当に私はとんでもないものを見つけてしまったなと、ため息をついた。



ヘレンさんは子爵領に帰って行き、明日、子爵領のヘレンさんの店へ案内してくれるそうだ。


なんでも王都から服を仕立てるために、デザイナーが子爵領にすでに滞在しているらしい。


お針子は子爵領の人間がするが、貴族の服をデザインできるものはいないためだそうだ。


ヘレンさんがデザイナーの接待を引き受けてくれているということだろう。




アイリスからの手紙は、便りがなくてすごく心配したこと、ネックレスを気に入ったこと、ヘレンさんから私が獲ったチエリ貝だということや、私の近況を聞いて少しだけ安心したことが書いてあった。


無理はしないでほしい、今後はヘレンさんがアイリスからの手紙を届けてくれるから、自分からも書くという内容だった。




翌日ハンスの舟で子爵領に行く道中、ハンスと話をして船頭料金を7,000レルから1万レルへ引き上げることで合意した。


最近、ハンスが無人島に来る回数も増えているし、今後開拓するなら人材が子爵領と行き来する可能性が高い。


最初は固辞していたが、その分漁師の仕事ができなくなるからと説得した。



ヘレンさんが無人島に来るときの料金は、ヘレンさんが支払ってくれているから不要だとハンスがいうので、ヘレンさんと同じ料金にすると交渉したが、これはすごく固辞された。


ただハンスが、ヘレンさんはいつも当日か前日の夕方に依頼が来るので、その分上乗せしてくれているらしいということまでは教えてくれた。


だからヘレンさんはハンスに気前よく払っているような気がする。



あと無人島の帰りの漁の調子はどうかと聞くが、あまり芳しくないようだった。


場所を変えて漁をしているらしいが、魚がいる場所を読むことができないようだった。


ただ全然網にかからないわけではないらしく、白子熊で買い取ってもらっているらしい。


なんでも夕方前に新鮮な魚が届くから、白子熊としても喜んでくれるとか。


食堂だから冷蔵や冷凍の魔道具があるだろうけれど、カルパッチョとかなら新鮮な方が美味しいからね。

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