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第19話 スキル 継ぎ手

無人島にブレナンと知らない人がやってきた。


ブレナンから紹介されたジェイは【スキル:継ぎ手】を持つ大工さんだった。


ジェイは細身の体型で、年は20歳の若い男の人だ。ジェイからも呼び捨てでと言われたのでジェイと呼ぶことになる。


実家は材木商の3男で、実家の手伝いが可能なスキルではないからと父親に外で働けと追い出され、材木つながりで知り合いだった大工の親方に弟子入りしたらしい。



最近仕事をしている時に一部だけが腐っているけれど、他はまったく綺麗なとてもいい木の廃材が破棄されそうになっていてもったいないと思ったら、急に頭の中で2つの木を組み合わせればいいとイメージがわいた。


そして廃材を手に取ると勝手に体が動いて、複雑な形を作り上げ、出来上がった木材2つを合わせてみるとピタリと重なった。


さらに重なった木の2か所が光って見えて、また勝手に体が動き、穴をあけて別の木をさし込みまでしたそうだ。


実際に出来上がった木の継ぎ目部分に、自身が乗って全体重の力を加えても大丈夫だったから、親方に実際に見てもらうが使用は駄目だと却下され、ブレナンに愚痴っていたらしい。



しばらくしてブレナンから、無人島に家を建てる話を聞き、ここでならこの手法が試せるのではないかと考え、自分も参加したいとお願いしたそうだ。


ただジェイは本当にこれが自分のスキルなのかと自信なさげだった。


だから私は自分のスキルの話をして、ジェイの考えは合っているはずだと伝えると驚いた顔をしたが、まずは小屋を作って試したいと笑顔にかわった。



あとジェイはブレナンからメルとナナのことを聞いていたらしく、会っても驚いた顔はしなかったけれど、顔は青ざめていた。


ただ私たちが普通だし、メルが木材を運ぶのを手伝う姿をみて徐々に落ち着いたようだった。そしてジェイは継ぎ手で作った柱をマジックバッグから取り出し見せてくれる。


近くで見ると右端から1/4のあたりに継ぐ目があった。ジェイは私とセドに継ぎ目部分の2人で乗ってほしいといわれて乗るが、全然ビクともしない。これなら大丈夫だろう。


あと全部の柱に継ぎ手の木を使うわけではないそうだ。



ジェイには小屋と話していたけれど、みんなが寝泊まりできる家に変更してほしいとお願いすると、ブレナンも先に木造の家を先に作ってから、レンガ造りの家を建てようと言ってくれた。


やっぱりテントより家のほうが安心して寝られるからね。



あとメルとナナの家もお願いすると、メルとナナの食事場所をどうするのかと尋ねられる。


話し合ってメルとナナの家も母屋につなげることにした。食堂を広くとること、食堂とメルたちの家をドアで出入りできるようにする。


ただメルたちが外に出るドアは別につける。


話を聞いていたメルとナナはリアムに嬉しいと言い続けているらしかった。


今後の方向としてブレナンとジェイが木の伐採と切断、木造の家の設計、見積もりを、セドとリアムが枝を伐採し薪用に切断と木の皮を剥く作業を、私はいつものように海に潜ることになった。



それから3日後、ハンスと一緒にヘレンさんがやってきた。


大量の料理と果物と水をお土産としてくれる。今の私たちには一番嬉しいものだ。


「ダニエル様、依頼の品が完成しましたのでお持ちしました」


ヘレンさんが持ってきたのはチエリ貝で作った花柄のペンダントだった。


チエリ貝は高価なものなので、11歳の令嬢が髪飾りで使うのは目立つからやめた方がいいと、アドバイスをもらったからペンダントにしたのだ。



花びらはチエリ貝で、他の装飾品を作った際に出た破片を利用しているそうだ。


確かによく見ると薄いピンク一色ではなく白っぽいところもあり、逆にグラデーションになっていていいと思うが、価値的には下がるらしい。


アイリスは伯爵家の次女で姉上もいるし、上位貴族に目をつけられるのは嫌だから、ヘレンさんはその辺りに配慮してくれたのだろう。


書いた手紙と一緒にヘレンさんに届けるようにお願いする。



「ダニエル様、難破船の持ち主がわかりそうなのですが、その船を知っている方に聞くと一緒に2隻が難破したそうなのです」


「つまり、もう一つ難破船が近くにあるはずだと?」


「はい、2隻見つかって同じ紋章なら間違いないとのことです」


元の持ち主は2隻見つかれば、自分のところの船だと認めるとでも言ったのか?



「わかったよ、見つけた場所周辺で探してみるよ」


ヘレンさんに申し訳ありませんと深々と頭を下げた。


私はこちらが頼んだことだから気にしないでほしい、見つかったら連絡すると伝え、グロースシューレをどうするか聞くと、今日は1匹だけ受け取り、王城に納品する。


一気に渡すと簡単に獲れると勘違いされてしまうのではないかと言う。


確かに値切られると嫌だから、ヘレンさんの案に賛成して一匹を渡した。


ヘレンさんと一緒にジェイも子爵領に戻り、廃材と新しい木材など不足分を購入してくることになった。




翌日、私は難破船を探しに沖に出るが、前回見つけた場所周辺では見つからなかったので、範囲を広げてみること数日、


別の場所で難破船を見つけたのだが2隻なので、困惑してしまう。


この海域には難破船がこんなに多いのか?


違うかもしれないがヘレンさんに見てもらうしかないだろう。


2隻同時に運ぼうとしたけれど、船が大きすぎて両手に持つのは難しかったから1隻ずつ前の船の近くまで運んだ。



無人島にやってきたハンスにヘレンさんに連絡してほしいと話すと、翌日ヘレンさんはやってきた。


「えっ、1隻ではなく、2隻が同じ場所で見つかったのですか?」「そうなんだ、だから前の船とは違うかもしれない」


ヘレンさんが確認したいと言うので、私が一艘ずつ海面に持ち上げている間に、ヘレンさんはハンスの舟から映し球に撮影をする。


撮影が終わり私も砂浜に戻る。



「ダニエル様、1隻は前回の船と同じ紋章がありました。もう1隻は紋章部分が削られて判別がつきませんでした」


ただ一緒の場所というのが気になるので、3隻の管理をしばらくお願いしますとヘレンさんに頼まれる。


私が了承するとヘレンさんはまた急いで帰って行った。

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