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第17話 探索

「ヘレンさん、ハンス、今から紹介する動物なんだけれど、大丈夫だから怖がらないでほしい」


「何か重大なことが起こったのですね。わかりました、覚悟を決めて会いましょう」


ブレナンと私の思わせぶりな言葉に、ヘレンさんが返事をして、ハンスもうなずく。



「メル、ナナ出ておいで。この2人は大丈夫だ」


私は木々に隠れていたメルとナナを大声で呼ぶと2匹が出てきた。


「クマではないの!」「・・・・」


ヘレンさんは片手を口に当てて悲鳴をあげないようにしていて、ハンスは声を出さなかったが顔は青ざめていた。



「クマっぽいのがメルで、リスっぽいのがナナ。この子たちはリアムとは会話ができるんだ」


「えっ?!」「・・・・」


私の説明にハンスは驚きの声をあげて、ヘレンさんはまだ立ち直れていないのか無言だ。




私はリアムの【スキル:獣語】と、メル、ナナは神獣と呼ばれるものに該当するのではないか。


2匹の亡くなった元の飼い主の話と、メルとナナがこの島に連れてこられただろう経緯を話す。



「メルのおかげで無人島の開発が進んでいて、高級魚が少ないのは、メルのご飯の魚を獲っていたからということですのね」


私の話を聞いている間にヘレンさんは復活したようで、私に確認してきた。


「そう。だけどメルもナナも働き者なんだよ」


ヘレンさんはリアムのスキルが気になるようで、ナナとメルに近づいて話しかけては、リアムに返事を聞くことを繰り返している。




「ダニエル様、これはすごい発見ですよ。あと神獣のことが書いてあった本の題名わかりますか?」


ヘレンさんは、私のところへ戻って来て、興奮しているのか早口だ。


「ごめん、思い出そうとしたのだけど、思い出せなかった。でも実家にある本だよ」


「わかりました。なんとしてでも、その本を探してみましょう」


「ヘレンさん、ナナとメルを見世物にはしたくないんだ。調べるのは構わないが広めるのはやめてほしい」


ヘレンさんは私の言葉にがっかりしたようだが了承してくれて、ハンスとともに帰って行った。





さらに4日後、ハンスはマジックバックに果物とハーブ塩と水を大量に持ってきてくれた。


時間停止のマジックバッグではないらしいが、舟の木箱に入れて持ってくるよりは新鮮だということで、ヘレンさんが用意してくれたものらしい。


あとこの前の大きな魚はピストリーで間違いないという結論になったらしく、買取契約書も持ってきてくれた。


ブレナンはハンスと一緒に子爵領に戻り、建築に必要な材料を持って再び来ることになった。



それから毎日海に潜りグロースシューレを探すが見つからないので、今まで行ったことがない島の反対側を潜ったが、見慣れた魚ばかりだった。


だから今日はいつもより深く潜るとグロースシューレ3匹と遭遇、すぐにモリを投げると1匹に命中して砂の上に倒れた。


仲間が倒れたことに怒って、私の方に向かってきたグロースシューレも光っている部分にめがけて殴るとあっさりと倒れた。



もう一匹はどこにと周囲を見回すが逃げたようでいなかったから、倒した1匹を片手で持ち、最初に倒したグロースシューレを空いている手で持とうとしたら、砂の中に隠れていたもう一匹が私に飛びかかってきた。


驚いたが難なく避けるのと同時に、またしても体が勝手に動きグロースシューレの光る部分に回し蹴りがヒットして倒れた。


大きいのにどうやって砂に隠れたのか不思議だし、俊敏なのは驚いた。


しかしどうやって3匹持って帰るか。




見渡すと細長い海藻の密集地帯が見えたので海藻を1本抜こうとすると、海藻が私の体に巻き付き、私を食べようとする大きな口が砂から出てきた。


海藻ではなく触覚か何かで、どうやら生き物のようだった。


私の体に巻き付いている触覚?をほどこうと左右の腕に力を入れると、私に巻き付いていたものが粉々になり、また別のものが巻き付いてこようとしたのを両手で掴み、体が勝手に動いて生き物を遠くへ投げた。


手には触覚かひげのようなものが3本残っていた。



急いでグロースシューレのところに戻り、触覚かひげのようなものを一本ずつ3匹の体に巻き付けて手に持ち引っ張ると、3匹を難なく持つことができた。


さっき襲われそうになったものの正体はわからないが、体が勝手に遠くへ投げたということは価値がないからだろうか?


考えてもよくわからなかったから、そういうことにしておいた。




翌日、グロースシューレの最低限のノルマは達成したので、さらに遠出をしてみることにする。


セドたちに昼に戻らないこと、島の反対側のもっと沖のほうにいくことを伝える。


セドたちに心配はされたが、最近海の中を進むペースも早くなったような気がするので確認したいと話すと「無理はするなよ」と海に出るまで何回もセドに口酸っぱく言われる。



沖に出たが大物には出くわさなかったから、深く潜ってみると大きな影が見えてきたので近づくと難破船だった。


さすがに難破船を動かすのは無理だろうと思ったけれど、試しに先端部分を持つと船が動く。


マジでと思いながらも引っ張ると船が動くので、砂浜に近い海底に船を移動させて戻った。



翌日、難破船をセドとリアムが見たいというので、海の中で船の底を持ち、船を海面まで持ち上げた。


しばらくそのままでいたけれどやっぱり重くなかった。


私のスキルは海の中なら万能すぎないか?


そろそろいいかと思い船を海の中に戻し、砂浜に戻る。


セドとリアムがすごく興奮していて、もっと近くで見たい、ハンスが来たら舟で難破船を間近で見ようと2人で盛り上がっている。



「難破船、ヘレンさんに投げるしかないかな?」


「そうだな。もしかしたら元の持ち主がわかるかもしれない。船員の白骨遺体もあるだろうしな」


セドに言われてそっちもあったかと思ったよ。


何かお宝があるかなって期待のほうが大きくて、海の中で船内に入るのもいいかなと考えていたから、まったく頭になかった。


白骨遺体は見たくないので船内に入るのはやめておこう。

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