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第13話 歓迎会

翌日、商業ギルドに行くと無人島に来てくれる大工は、20代半ばのブレナンさんという人だった。


「丁寧な言葉遣いは難しくて」


「普通に話してくれてかまいませんよ」


「ありがとう」



ブレナンさんの体つきはがっしりとしていて、耳と尻尾が白い熊の獣人だと思ったら人間とのハーフらしい。


父親が白熊の獣人で、母親が人間だそうだ。


ブレナンさんのスキルは【建築】



だけどこの街はレンガ造りの家が多く長期で使用できるため、新築注文はほとんどなく、修復、増改築が主な仕事らしい。


だから新築を建てられると聞き、手をあげてくれたそうだ。


ただ条件として予算と外観は相談だけれど、自分が建てたいレンガ造りの家を建てさせてほしいらしい。


あと簡易小屋も作ってくれるという。


小屋代は増改築ででた廃材の木で作るから通常より格安でしてくれるそうだ。



「廃材ですか?」


「廃材といっても耐久性はある木だし、一部使えない部分があるが頑丈な木なんだ。そこは継ぎ手という技法を使って補うようになる」


【スキル:継ぎ手】を持った大工が手伝ってくれるらしい。


なんでも継ぎ手というスキルが知られていないことと、強度は強いと思おうが信用されないらしく、建築素材として使ってもらえないのだとか。


だから無人島で簡易小屋を建てて大丈夫か試したいとのことだった。



「無人島は木が密集していて、まだ建物を建てられる平地がまったくありません」


「・・・そこからなのか。なら一度無人島に行って現場を見たいがいいか?」


「テント暮らしになりますが大丈夫ですか?」


「そこは大丈夫だ。ただすまないが料理については、お願いできないだろうか?」



どうやら私が時間停止のマジックバッグを持っていることを教えて貰ったらしく、料理と水の心配がないのも来てくれる理由の一つみたいだ。


「料理は露店のものでもいいし、実家に言えば作ってもらえる」


「実家とは?」


「白子熊っていう料理屋をやっている」


「「白子熊!」」私とセドが声をあげると


「おっ、知っているのか、嬉しいな」ブレナンさんが笑顔で言う。



「アグネスさんにすごくお世話になっています」


「味付けは店主の味だと聞いています、どれも美味しいです」


私とセドが話すとますますブレナンさんが顔を綻ばせた。


体格は熊の獣人だから大きいけれど、笑顔は可愛い人だった。



打ち合わせでテントや木を倒す道具、必要と思われるものを持参してくれるらしい。


あと一部の道具のレンタルを勧められ、ヘレンさんも便利だというのでお願いした。




翌日無人島に戻った私たちは、私たちの横にテントが建てられるように、木の枝の伐採をして、目途が立ったところで、セドが掃除と片付けは自分一人でできるといったので、私は海に出ることにした。


翌日も海に出たが、魚以外は獲れなかった。


セドに愚痴るが「今までがツイていたんだよ。グロースシューレを収めるまでには時間がある。気負い過ぎないほうがいい」



家を建てるにしても、人を雇うのにお金がいるから、自分ではわからなかったが焦っていたのかもしれない。


あと簡単にグロースシューレを仕留めたから、見つかれば楽勝と内心思っていたのでセドの言葉で反省する。





2日後、ブレナンさんが私たちと同じぐらいの少年と、ハンスの舟でやってきた。


ブレナンさんたちが舟から降りて、私たちのところへやってきた少年を見た私たちは「「あっ」」と言ってしまった。


子爵領都で雇い主と喧嘩していた少年だったのだ。


私たちが少年を見ていたのでブレナンさんが勘違いして紹介をはじめる。



「この子は助手として雇ったリアムだ」


「助手ですか?」


「あぁ、木が密集していると聞いたので、枝の伐採や将来の建築に使える木なら、木の皮を剥いだりする作業だね」


木は大まかに製材用に裁断した後は、乾燥させるので今回の建物には使用できないのだとか。


昼食を取りながら、今後の行動予定を確認する。



私たちのことはダルとセドでいいと言ったが、貴族でしかも雇い主だからとブレナンさんが拒否をしてきた。


自分のことはブレナンでさんはいらない、あとダニエル様、セドリック様と呼ぶが、丁寧な言葉遣いはできないからそこは許してほしいと強く言われ妥協する。


昼食後ブレナンたちが寝泊まりするテントをたて終わると、今日は周辺の木々を切るため、テントからは少し離れていた場所にある木々から倒していくことになった。



「しかし本当に木々が密集しているな」


木を1本倒したところでブレナンが言った。


「これでも枝を落としたのだけれど・・」


「そのおかげで伐採がはかどっている、2人でよく頑張ったよ」


「「ありがとうございます」」



ブレナンはとりあえず伐採をしてから切断するという。


ブレナンが使用しているのは、のこぎりのようなものが自動で動く魔道具だ。


これはブレナンの物ではなく、商業ギルドでレンタルした物だ。


聞いたレンタル料はまぁまぁ高い値段だったけれど、伐採と切断もできるらしいので、斧よりも効率よくできると提案されて了承したのだ。



しかしブレナンが使っているのを見ると、ほんとうに便利そう。


こんな魔道具が出来ていたなんて知らなかった。


今はお金に余裕があるし、無人島の開拓期間も3年と決まっているから、効率を考えれば有効な手段だ。


やはり開拓を本気でするなら専門家に任せる方が進むから、もっと稼いで人材を呼ぼうと決めた。



ブレナンのおかげで伐採は進み、私とセドとリアムは伐採した木の枝を切り落としていく。


そして夕食は、串肉も出したが、昨日私が獲った魚のハーブ塩をまぶして焼いたものを出した。



「食べていいのか?この魚は結構高いはずだ」


「今日は2人の歓迎会だから、私のスキルで魚は獲れるから心配しなくていい」


「では遠慮なくいただくよ」



「ブレナン、リアム後ろ、あぶない!!」


セドが急に叫んだ。

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