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第10話 堪能

それからアグネスさんは、クラーケンとグロースシューレ、普通のイカと蟹で作った同じ料理を次々と運んできた。


調味料や料理の中に入っている野菜類は同じもので作ったらしく、食べ比べできるようにしてくれている。


イカ料理は唐揚げ、トマト煮込み、ガーリックバター焼き、イカ入りアーリオオーリオパスタ。


蟹は単純に焼いたものと茹でたものはレモンをかけて、あとはグラタン、トマトクリームパスタ、サラダとどれもおいしそうだった。



まずは、普通のイカの唐揚げ1個を食べてから、クラーケンの唐揚げを食べる。


「普通のイカも美味しいけれど、クラーケンの方が断然美味しい」


「ほんとうに、弾力はあるのに柔らかくて食べやすい。味も濃厚ですこし甘みもあるかしら?」


私の感想のあとにギルド長が食レポをしてくれる。


そういう感想をアグネスさんに伝えたかったけれど、自分で表現するのは難しい。



「くっ、この美味しい料理をちょっとしか食べられないなんて・・・・」ギルド長が呟いている。


そういえば交渉相手に試食してもらうっていっていたね。


セドとハンスが頷いたので「私たちだけでこれだけの料理は食べられませんから、我々の分を食べたらいいですよ」


「いいえ、けじめはつけなければいけません。余るのならば無人島で食べられたらよろしいと思います」


ギルド長、言葉とは裏腹に目では欲しいと訴えているよ。



「ギルド長、普通の料理もとても美味しいのですから、こちらで我慢してください」


副ギルド長がツッコミを入れながら、普通の料理のお皿をギルド長の近くへ寄せてあげていた。


「この我慢が、いい商売に結びつくのよ。絶対高く売りつけてやるわ!!」


ギルド長は独り言のようにつぶやいたあと、猛烈に副ギルド長が並べた料理を食べだした。



私とセドとハンスは、申し訳ないと思いつつクラーケンとグロースシューレ料理を堪能し、普通のイカ、蟹料理は持ち帰ることにした。


こういう場合、マジックバックは本当に助かる。


お腹も膨れて、ゆったりしているとアグネスさんがまた料理を持ってきてくれた。


「これは私からサービス、一生に一度の体験をさせてもらえたからどうぞ」


果物のゼリーだった。



「アグネスさん、ありがとうございます。どれもとても美味しかったです」


私はアグネスさんの感謝を伝えるが、別に今後も私が獲った魚を持ち込んだものを料理してほしいとお願いする。


「普段は受けないのだけれど、ダニエル様には今後も珍しい食材を獲って貰いたいから受けるわ」


「助かります。しかし白子熊という名前のお店だったので、獣人の方がされているお店だとばかり・・・・」


「私が人間だったから驚いた?実は臨時の雇とわれ料理人なの」



アグネスさんの話だと、この店の店主は足を怪我して療養中。


アグネスさんのスキル調合だから、お店の味を再現できるらしい。


「調合なら、薬剤師の方ではないのですか?」


「普通はそうね。実家も薬を作っているから。でも私は薬を作るより料理が好きなの。だから家族と喧嘩して家出中なの」


友人のギルド長に紹介されてこの店で働いていると笑っていた。



「ダニエル様、アグネス呼びなら私もヘレンでお願いします」


ギルド長が私とアグネスさんの話に割り込んできた。


「ギルド長、いいのですか?」


「ギルド長もあと数か月で任期が終わりますから、そのあとは商売人としてのお付き合いをお願いします」


「今後はヘレンさんと呼ばせていただきます」




翌日、ハンスに送って貰って無人島に戻る。


その日はテントを立て、周辺の木々をセドと一緒に切っていく。


セドと話合って、今回の報酬で小屋を建てることにしたのだ。


夏になれば豪雨や台風がやってくる可能性もあり、テント暮らしは大変だからだ。


ヘレンさんが組み立て式の家を注文したらいいのではないかと教えてくれたので、木材の加工はすべて大工に頼み、無人島では組み立てるだけにするというものらしい。


数日なら無人島で家の組み立てをしてもいいという大工もいるだろうともいうのでお願いしたのだった。




しかし私とセドは木を2本切っただけで疲れ果ててしまった。


「ダル、俺たちでは小屋を建てるための土地を開拓するのは難しそうだ」


「本当だね。私が海に潜って人を雇う資金を稼いだほうが効率よさそうだ」


「役立たずでごめん」


「セド、役立たずなんていうな。どれだけ助けられているか。1人だったらこんなにうまくいっていないと思う」


「ダル、ありがとう」




翌日からは、セドは周辺の木々の枝の伐採、少しでも木を倒しやすくするためだ。


私は海に潜って高級魚といわれている魚を狙って獲っていた。


今後無人島に一時的に来てもらうにしてもお金がいる。


今日はクーエという高い値段で買取してもらえる魚が獲れたからホクホクだった。



砂浜に戻っている途中でピカッと光って見える箇所があり、気になり近づくと淡いピンクに光る貝たちがいた。


この貝殻でアクセサリーとか作ったら可愛いかも、アイリスに贈ってもいいかもしれないと思い、ズボンのポケットに入るだけ詰め込んで砂浜に戻る。


早速セドに見せると「綺麗な貝だけど、見たことないな」


「食べるのは怖いからやめておくけど、この貝殻でペンダントとかにしたら綺麗だと思わない?」


「確かにな、それならまた商業ギルドに行くのか?」


「そうだね、魚も結構獲ったから換金したいし、小屋を建ててくれる人を紹介してほしいから、ハンスがきたら一緒に乗っていこう」




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