櫻井の授業
「この時間、新しい先生の授業らしいよ!」
「どんな授業するんだろうね」
「胡桃先生みたいなやり方かな」など、私が教室の前にたどり着くと廊下にまで声が聞こえていた。
その声を気にせず、私は扉を開け、閉め直したあと教壇に立つ。
「静かにしなさい!授業始めますよ」私が話し始めると私語が止まる。
「偉いですね。言われてすぐに直せるのは良いことですよ」話通り理事長は見に来ているようだ。
私は理事長に軽く頭をお辞儀をする。
「授業を始めます。日直は号令」
「はい!起立!礼!よろしくお願いします」日直の田中にた続いてクラスメイトたちが挨拶をする。
「着席!」
「それじゃあ、授業を始めます」
「ちょっと待ってください」始めようとした時、理事長に待ったをかけられる。
「話さないといけないことがありました」
「理事長、話ってなんですか?」
「このクラスの担任は櫻井先生です。あと、彼らの授業も全て櫻井先生が受け持ちます」
「胡桃先生が担任なんじゃないの?」
「椎名先生は副担任として櫻井先生をサポートしてください。櫻井先生は優秀です。学べることがあると思いますよ」
「分かりました」思うところはあるだろうが理事長には逆らえないため肯定する胡桃。
「話を遮って悪かった。授業を続けて」
「はい。続けます」と前置いて私は生徒に問いかける。
「突然だけど、これからする質問に答えて欲しい」
「質問ですか?」窓側の1番後ろの席の田宮恵が聞き返してくる。
「この中で恋人がいる人は挙手してください」
「ちょっと遥乃先生!生徒になんてこと聞いてるんですか」
「そうですよ!恋愛はプライベートなことだ!我々が干渉するべきでは無い!」
「大人がそんな考え方してるから子供はいつまでも恋愛に奥手なんですよ」
「理事長!こんな人間を教師にしていいんですか?」
「彼女は優秀な人間ですよ」
「私たちには、ネジの外れてる人にしか見えませんよ!」たまたま近くを通って話を聞いていた教師達が私の授業方針を反対する。
「静かに!」私は周りを静かにさせるため教卓を叩いた。
「今は授業中です。それに古い考え方は捨ててください」するとその時、数名の生徒が手を挙げた。
「私、彼氏います」「俺も彼女いる」
「ありがとう。答えてくれて!他は居ないのかな?」呼びかけるも誰も挙手しないため他には居ないらしい。
「今日はもう授業が終わるため、放課後教室に残ってください。今後の寮生活や学校での生活について説明します」
「はい!」
「お疲れ様でした。次の授業の準備をしていてください」
「櫻井先生。お疲れ様でした」教室をでて歩き始めると理事長に声をかけられる。
「まだ始まったばかりですよ」
「確かに。そうですね。これからも生徒たちと向き合いながら頑張ってください」
「ありがとうございます。楽しみながら頑張ります」
「そういえば、君は学校に来るのが初めてでしたね」
「新鮮なことだらけです。生徒として通いたかったとも思うくらいに」
「教師でも生徒と仲良くすることは出来ますよ」
「そうですね。話しかけてみます」理事長と別れると教務室で次の授業の授業をする。