特別
善は急げで書き始め、無事に1週間目を迎えます。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとう
ございます。
時雨と疎遠になった理由は
ケンカしたとかそういう大きなきっかけが
あったわけじゃなくて…。
ただ単純に、時雨を含め仲の良かったやつらが
別々の中学にいったのがはじまりだった。
俺ともう1人の友達、文人が中学受験をして、
時雨と他の2人は地元の中学に行った。
中学に入っても、最初の頃は予定を合わせて
みんなで会っていたりしたんだ。
でもそのうちに、
だんだんと集まりが悪くなって…
気づけば、誰も時雨と連絡がつかなくなっていた。
「花火、お前、時雨の新しい連絡先
知らないのかよ?」
俺なら時雨の連絡先を知っているだろうと
当然のように聞いてくる文人たちに
少し腹が立つ。
「さぁな。まぁ最悪、家に行けば会えるだろ。」
知らないと言うのも、時雨に教えてほしいと
連絡するのも、当時の俺にはなんだか格好悪い
と思っていた。
それがいけなかったのかもしれない。
高校生の時に開かれた同窓会で、
幹事から「時雨はどこかへ引っ越したらしい」
という話が偶然耳に入ってきた。
当時の時雨の住所に送った案内状が、
宛先不明で返ってきたのだという。
みんな、時雨の引越しに対して、
一瞬は驚いた反応をするが、すぐに
別の話題と笑い声で場は溢れかえっていた。
文人たちも、同窓会の帰り際に、
「連絡先も引越し先もわからないんじゃ、
しょーがないよな。」
と、俺に一言声をかけて終わりだった。
俺はずっと、「時雨とはもう会えない」という
事実を受け入れられなくて、
そしてそれを、みんなに悟られないように
するのに必死だった。
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でも、今日…、時雨に会えた。
ほんの少しの時間だけど、会えたじゃないか。
連絡先も住んでる場所もわからなくても、
諦めないで良かったんだ。
時雨と会えたことは、
文人たちにはまだ教えないでやろう。
少しくらい、俺だけが知っている時間を
楽しみたかった。
じわじわと込み上げてくる嬉しさを
噛み締めながら、次はいつ会えるかな…
という期待を胸に眠りについた。
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