温度
楽しくなっちゃって、もう1話投稿です。
明日以降の私も頑張って欲しいですね。
―――「ごめん……。」
そう呟いた時雨の声が頭に響く。
その辛そうな様子に
なんだか俺まで苦しくなって……
なんて、なるかー!!!
心の中でツッコミが止まらない。
ごめんってなんだ…!?
こいつ、久しぶりに会ったけど、
もしかして家が無いのか……?!?
だいたい、平均身長の俺よりも背が高い
ひょろ長のこいつを、遊具の中から出すのか…?
俺が……!?
一旦、俺の家に連れて帰るとしても、
そこまでの過程を、今から俺1人で取り組む
という現実に、気が遠くなっていった。
――――――
全身が重たく感じる…。
それは成人男性を背負っているからか、
はたまた全身の服が雨水を吸っているからか…
それとも、その両方か…。
誰もいない雨の街を歩きながら、
誰かに見られているかもしれないという
恥ずかしさをかき消すために、
目の前以外のことに意識を向けるようにしていた。
――ゴッ……!
「あっ…!ごめん、時雨!!」
時雨の頭をドアの淵にぶつけないように
細心の注意を払っていたら、
足が引っかかってしまったようだ。
意識のない時雨を背中に背負い、
というか若干靴先を引きずりながら
どうにかしてここへ連れてくることができた。
両手で時雨を支えなければならなかったので、
傘は公園のベンチの背もたれに、
引っ掛けさせてもらった。
次公園に行った時に、まだそこにあったら
連れて帰ってあげるからな……
心の中で傘にメッセージを送る。
雨の中、傘をささずに男1人を背負って運ぶ
非力男性一名……。
当たり前だが、お互いびしょ濡れで
ひどい姿だ。
唯一無事なのは、俺と時雨の間に挟まっていた
俺のノートPC君くらいだろうか。
「よっし!」
今度はどこにもぶつけないように、
頭と足の位置を確認して
時雨を廊下に寝かせる。
背中にあった体温が急に離れて、
一瞬の開放感と同時に、
なんとも言えない名残惜しさを感じた。
「とりあえず、時雨は着替えからだな。」
辛そうに息を吐く時雨に、
心配と若干の苛立ちの感情がわいてくる。
昨日、本当に予定、あったのかよ……。
俺は濡れた服から部屋着に手早く着替えて
時雨を担ぎ直し、部屋に運び込んだ。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
私は書いてて凄く楽しいですが、ふと
読んでくださっている方の感情が気になりました…笑
創作って面白いです。