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気軽に聞いてはいけない話題、からの異世界の神秘




どうもこんにちわ!

皆様いかがお過ごしでしょう?


私は今日も今日とて元気一杯にジャングルの中を疾走中です!

途中見かけたキャララという、ウサギの様な見た目に羽の生えた可愛らしい動物の親子に癒されながらオヤツを貰いに絶賛急いで帰宅中であります!


今日のおやつは何かなぁ~。

この世界、意外と食が進んでいる。

異世界特有のよく分からない野菜や肉は勿論あるけど、前世に劣らずどれもとっても美味しくて、毎日とても満足である。

ここ、ジャングルだけど!


所で、私は今世の家族とは全くと言っていいほど似ていない。今世の私の家族は両親と年の離れた双子の兄と姉がいる、5人家族である。

因みに、兄は放浪の旅へ出かけ、姉は最強の婿を探す旅に出ている。2人とも1年に2.3度戻ってくるか来ないかくらいなので兄や姉と言われてもさほど実感がわかなかったりする。

寧ろネネの方がお兄ちゃんしてる。

とはいえ、嫌われてる訳では無いらしく会う度に猫可愛がりしてくるから嫌いでは無いが少し苦手だ。


母はモッフモフな雪なような見た目に蒼眼の持ち主。父は大きな白狼の様な姿だが手足だけは硬い鱗で覆われている、瞳は翠眼。

兄と姉は両親譲りのモフモフな体に瞳の色は両親の色を受け継いだ左右対称のオッドアイ。

双子な事もありとてもよく似ている。


それに比べて、私は一切モフモフはしていない。

ベースは獣ではなく人型である。

髪の色なんて黒いし、瞳も金だ。

どこにも両親の遺伝子要素がない、先祖返りと言われても信じられるわけが無い。

だからといって冷遇されている訳では無い、寧ろ滅茶苦茶愛されている自覚はあるが気になるものは気になる。


ということで、直球で聞いてみることにした。


「ママー」


「あらぁ、どうしたの?おやつ食べる?」


「食べる!!今日はなんのおやつー?」


「ふふっ、今日はねぇマサムネちゃんからブパリタを沢山貰ったからブパリタのゼリーよ」


「やったー!!」


ブパリタとはイチゴのような見た目の桃風味の果物である。

因みに大きさはサッカーボールより一回り小さいくらいであり、ハエ捕り草を5m程に大きくした様な凶暴な食虫植物が抱える希少な果物である。

そして、マサムネちゃんとはゴリラな見た目の集落で評判な美人さんである。

某有名な歴史的日本人の名前にとてもよく似た響きのお名前が不思議っちゃ不思議だがここは異世界。

そういうこともあるだろうと、無視している。


自分の名前もアコだしね!

正式名称はもっと長いし、ちゃんと西洋風だけど。

まぁそこは割合で…だってオヤツ優先でしょ!


「美味しい?」


「美味しい!!」


「あらぁ、良かったわぁ」


オヤツを頬張る私をニコニコと微笑みながら見つめる雪豹な見た目のとても可愛らしいママ。

料理上手でとても優しい彼女が私は大好きである。

特にモッフモフなそのお胸に抱っこされるととても幸せな気持ちになる…決して私が変態だからでは無い。

ないったら無い!


「はっ!じゃなくて」


「あらぁ、おかわりかしら?」


「え?!まだあるの?やったー!おかわり!…じゃなくて!」


「まぁまぁ、食べてからになさいな」


「あい」


オヤツに釣られたわけでないが、ママの言葉通り大人しく食べる事にする。食べながら喋るのはお行儀が悪いからね!


「ただいまー。お、美味そうなもん食ってんな」


「あらぁ、お帰りなさい。マサムネちゃんから沢山ブパリタを貰ったからゼリーにしてみたの。今度何かお返しなくちゃねぇ」


「ブパリタか。また凄いの取ってきたなぁ」


「流石よねぇ~」


おやつに夢中になっている間に、どうやら白狼な見た目のとてもかっこいい自慢の父が帰っていたようだ。

狼と言うだけでカッコイイので父はとてもカッコイイ存在であるのは持論である。実際とてもイケメン狼さんだしね!


「パパ!おかえり!」


「おぅ、俺の可愛い娘よ!今日のおやつは美味いか?」


「超うまい!!」


「そうかそうか、そりゃよかったなぁ。俺のもあるか?」


「ふふっ、勿論よ」


そう言って、母が父の分のおやつを取りに台所へ向かったところで聞こうと思っていた事を思い出した。


「ねー、パパ?」


「ん?なんだ?」


「アコはパパのママの子供じゃないよね?」


確信を持ってパパに問いかけると、途端父は吹き出し驚いた顔をした。まぁ、確かに子供に急にそんなこと言われたら驚くか。唐突過ぎたかな?なんかごめんね。


「ぶふっ!!はぁ?!だ、誰がそんな事…!!!」


「誰っていうか」


「アコ?大丈夫だから、な?…パパがちゃんとぶっ殺して来てあげるから教えなさい」


おっと、何故か父の目がギラギラと光だしたかと思うと黒いオーラが吹き出し始めてしまった。

あれ?パパって白狼だよね??なんでそんな黒いのかな?


「あらぁ??あらあら、今なにか聞こえたのだけど…?」


かと思いきや、父よりもどす黒いオーラを醸し出す母がいつの間にか背後に立っていた。


「え、ま、ママ…?」


「誰にそんな事を言われたのかしらぁ?アコちゃん、パパとママがちゃーんとお説教してきてあげるからねぇ」


「お、おぅ。勿論だ!で、誰に言われた?」


父もビビる母のどす黒いオーラと静かな剣幕に恐れ戦く。


「え、べ、別に誰にも言われてない、よ…?」


「じゃあ、何で急にそんなこと…!絶対誰かに吹き込まれたんだ!可愛いアコが急にそんなこと言うわけない!!」


「そうよねぇ、何かきっかけがないとそんな言葉出てこないものねぇ」


「誰がなんと言おうとアコはちゃんと俺たちの可愛い娘だぞ!!」


え、いやぁ。だって明らか似てないし…。

え?これそんな気軽に聞いていい話じゃなかったの?? (※それはそう)


困惑する私をよそにどんどんと話が進んでゆく。

曰く、最近やってきた行商人に何か言われたのか?

曰く、いじめっ子に何かされたか?そもそも誰かに虐められてるのか?!大変だ!うちの可愛い娘が!!


「ちょ、違うってば!!」


「何が違うんだ?!アコ、正直に言ってご覧」


「大丈夫よぉ?ママとパパは味方だからねぇ」


「別に誰にも虐められてないよ!!」


「でも、アコはネネ君が居るとはいえよく一人で遊んでるしな…」


「アコちゃんと歳の近い子って居ないから仕方がないと思ってたけれど…本当はいじめだったのかしら」


「違うって!誰からも虐められてないよ!寧ろ皆凄い優しいし、凄い構ってくれるし!!1人で遊びに行くのが寂しいとかも別にないよ!寧ろお一人様を満喫して遊びまくってるだけだよ!!」


「そ、それもそれでどうなんだ…?」


「…上の子とは歳が離れてるものねぇ。あの子達も個人主義なとこあるし、あまり気にしてなかったけれど…」


「もぅ!誤解だってば!!」


何故にここで両親に向かってボッチ最高宣言せねばならんのだ!可哀想な子かよ?!いや、違うよ?!べ、別に友達がいない訳じゃないんだよ?確かに同年代の子はいないけど!!

私にはネネがいるし!…友達ってよりお兄ちゃん枠だけど。

前世から友達が少なかったのも別に関係ないし??!


「とにかく!虐めとかないよ!!大丈夫!」


「じゃぁ…なんで急に…」


「そうよ、そんな悲しいこと…」


漸く虐めでは無いとわかってくれたのはいいが、どうやら両親を酷く悲しませてしまったらしい。

自分的には、何となく疑問に思ったことを聞いただけのつもりだったのだが…


「え?悲しい…?ご、ごめんなさい…」


「いや、それより…どうしてそう思ったんだ?」


「怒らないから、言ってごらん?ね?」


「え、だって…私だけ見た目が違うから…何でかなって、思っただけで…だから、その…ごめんなさい」


自分の何気ない疑問が、大好きな両親を傷付けてしまった事実に戸惑い俯いてしまった私の前で両親は困ったように顔を見合せていた。


「あぁ、確かに…まぁ、そうだな。んー…」


「どうしようかしらぁ…」


「誰に言われてって訳ではなく、自分で疑問に思ってって話なら…なぁ。遅かれ早かれ知ることだ、今話してやった方がいいかもな」


「そう、ねぇ…アコちゃんにはまだ早いと思ってたんだけど」


「アコ、顔を上げなさい。大事な話をしよう」


そうして、両親が語ってくれたのは…

まさに異世界ならではといった話だった。


結論から言おう。

私は両親の子であり、両親の子ではなかった。

どういうことかって?

まず、この世界で子孫を残す方法は2通りあるらしい。


1つ、前世と同じくオスとメスが交配する方法。

同種族や似た種族間であれば子はできやすいが、他種族同士というのはどうしても子ができずらいものらしい。 特に、長命な種族ほど子は出来にくい物らしい。

あとは、稀ではあるが同性同士でも子ができる方法があるらしい。また、雌雄同体の種族もいるとか。

それはまた別の話として…


もう1つ、絶対に子ができる方法がある。

それは、聖樹と呼ばれる不思議な樹に夫婦で願いを込めて魔力を注ぎその枝に夫婦縁のもの…指輪やネックレス。リボン等…を結ぶ。夫婦の願いが届けば、枝に実がつき子が生まれる。ただし、実がついてもいつ産まれるかは、夫婦の願いの強さか。はたまた産まれてくる子の意志によるという。

どれほどの年月がかかるかは分からないが、聖樹に祈ることで誰でも子を得ることが出来るという。

ただし、聖樹はとても貴重かつ希少なものでありその神秘性から神殿が管理している為、気軽に願えるものでは無い。

貴族や一部の裕福な商人であれば、お布施という名のお金を積むことでで触れることは可能らしいが、それでも聖樹から産まれたものには不思議な力が宿るとされる為、金を積むからと気軽に子を結ぶことは許されることでは無いらしい。

また、産まれた子は神殿の影響力をモロに持つ為に王侯貴族と言えど気軽に聖樹に頼ることは出来ないらしい。

余程、子が出来ず。またお金と神殿の干渉を許せる者でしか聖樹に子をなすことは出来ない。


しかし、これにも例外があり…


稀にだが、野生になっている聖樹の樹が存在する場合がある。野生の物からは聖獣や神獣と呼ばれるものが産まれるらしく、またその樹を護る者に認められなければ樹に触ることは出来ないらしいが…国や神殿の思惑から逃れることは出来るという。


そして、そんな例外が私らしい。


とはいえ、両親には既に双子の子供がいた。

態々、そんな野生の聖樹に願ってまで子供を欲する理由がない。なのに、何故私が生まれたのかというと…


「聖獣に頼まれたんだ」


「聖獣…?」


「そう。私達が野生の聖樹を見つけたのは本当に偶然だったのだけど…そこに瀕死の聖獣がいたの」


「その聖獣が何故そんな怪我をしていたのかは未だに分からないが…彼は一つだけ実を成した聖樹に寄り添っていたんだ」


「その聖獣に、自分はもう死んでしまう。だから、どうかこの子を頼むと…アコ、私達は君を彼に託されたんだ」


「私達はそれを受け入れた。だから、貴女は確かに私がお腹を痛めて産んだ子ではないわ」


「だが、彼から受け継いだ時点で私達は君を自分の子として受け入れた。これは同情でもなんでもなく、あの時…あの実を目にした時に感じたんだ。あぁ、君は俺達の子なんだって」


…正直、気軽に聞いただけなのにこんなにも重い話が返ってくるとは思わずどん引きである。

だが、まぁこれで自分が両親に全くにて居ない理由がわかった。普通にどこかで拾われてきたのだと思っていたが、いや拾われたのは間違いないが。こうも重い内容とは…ん?


「…あれ?ということは、私って聖獣なの?」


野生の聖樹からは聖獣や神獣が生まれる。

然しそれは、聖獣や神獣の夫婦が樹に魔力を宿した結果だろう。

そして、既に実をつけていた私は目の前の両親の魔力を浴びていない事になる。だってもう実がついていたんだもの。

という事は?その瀕死の聖獣が樹に魔力を注ぎ実ったのが私だとして、本当の私の親は聖獣という事になるのでは?

まぁ…産んだのは聖樹だから、正確には樹が母親なのかもしれないが…私は聖樹に実った聖獣の子供という事になる。


「それが…よく分からないだよなぁ」


「え?」


「あの時、出会った聖獣は確かに貴女と同じ黒毛で金の瞳をしていたのだけど…とても大きな獣の姿をしていたのよ」


「翼の生えたそれは神々しい聖獣様だったなぁ」


「けど、アコは色は同じでも形が違うでしょう?」


「聖樹から産まれたからか、それとも片親に似てるのか分からないが…アコにはあの時感じた神聖っぽさがないからなぁ」


「聖獣では無いんじゃないかしら?」


ここに来て、自分の種族不明説が浮上…。

というか、話的にその聖獣さんもモフモフなのね?

私のモフモフ要素、本当にどこ行ったの??


「まぁ、俺達の子供と言う点では特に変わりは無い!」


「確かに、アコは私達と血は繋がってないし姿形も全然違うものだけど…あの時、実から産まれ出たあなたを手に抱えた時からあなたは私達の子供よ」


「あぁ、大好きだぞ!アコ。俺の可愛い娘よ!」


「愛してるわ。私の可愛い子」


「パパ…ママ…ありがとう!私も大好き!!」


まぁ、樹から生まれた時点で種族なんてよく分からんし。血の繋がらない育ての親とはいえ、親は親。

別に両親に不満は持っていないし、愛してくれていることに変わりは無いので特に気にすることでは無い。


ただ…彼らと少しも共通点がないのが…

少し、寂しかっだけだ。


そもそも、異世界から転生している時点でおかしいのだし。自分の出生がおかしいのは今更か~と割り切る事にした。

まぁ、そのうちに自分が生まれた聖樹は見てみたいとは思うが…今は目の前の大好きな両親と共に、この不思議な世界を満喫しようと思うのだった。




トラックに飛ばされてやってきた世界は、不思議がいっぱい!まさか、自分が樹から生まれたなんて驚き桃の木山椒の木!いや、神秘の木!!


人生、何が起こるか…

マジでわからないものですね!



お読みいただきありがとうございました!

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