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事故り転生しましたが、ここは異世界でしょうか?


久しぶりに書きました。

おかしな部分があるがしれませんが、どうぞ広い心でお読みください。



目の前の大通りを、沢山の車がビュンビュンと通り過ぎてゆく。この時間は丁度、帰宅時間らしい。

かく言う私もその中の一人であり、正しく仕事を終えてのんびりと家に向かっている最中だった。

その日もいつも通り、特に道が混みやすい大通り沿いの道を赤信号の為に、信号が変わるのを最近お気に入りの曲を聴きながら何となく口ずさみつつ車を止めて待っていた。

その間もいつもの様に、今日の夕飯どうしようかなーなんて、呑気に考えていたのだ。

それほど、ありふれたいつもの時間だったのだ。


その瞬間までは…


しかし、私が夕飯を決める間もなく。

ましてや、信号が青に変わった訳でもない。未だ信号は赤く光り停車の指示を出していた、なのに…突如「ドンッ!!」と後ろから大きな衝撃が襲いかかってきた。

驚愕に声を上げるまもなく、気付けば私は車のハンドルに頭を強く打ち付けたていた。

急な衝撃と痛みに頭がクラクラする。

痛みに呻きながらも何が起きたのだと視線をあげれば、今度は横からけたたましいクラクションが鳴り響いた。

グワングワンと揺れる視界の先で、目前に迫り来る巨大なトラックの影。一瞬、スローモーションの様に見えたそれは直ぐに大きな衝撃と打撃音と共に私へと襲いかかった。


…どれほど意識を失っていたのだろう?


しかし、恐らくそれほど時間は経っていないのだろう。痛みに呻く私が見たのは、凹んだ車のドアに割れたフロントガラス。そして、恐らく自分の腕であろうおかしな方向に捩れ潰された腕や夥しい量の血の跡。

怪我の大きさの割に不思議とそこまでの痛みはなかった。

むしろどんどん痛みは薄くなり、それと共に酷い寒気が私を襲う。今は既に8月で、連日猛暑日が続き先程も車の温度計は36度を超えていたというのに…。

周囲の雑音と、キーーン!と甲高い耳鳴りが頭の中に響いていて周りの声や音がよく聞き取れない。

誰が何を言っているのか、いや。もしかしたら誰も何も言っていないのかもしれない。

何か聞こえた気もするし、何も聞こえなかった気もする。それも徐々に何の音も聞こえなくなってゆく。

漠然と、本当の静寂とはこういう事なのかなと思った。

それと共に、身体の内から何か大事なものがどんどんと漏れ出て言ってしまっている感じがした。


霞む視界の中、嫌に冷静な頭で…

あぁ死ぬんだな、と己の死を悟っていた。


最初の衝撃は、恐らくアクセルとブレーキを踏み間違えたのか、あるいは信号をよく見ておらずそのまま突っ込んできた車がいたのか…兎にも角にも、信号待ちをしていた私の車に後から他の車が衝突してきたのが原因だろう。

それに押し出されて大通りに飛び出し、走行中のトラックが横から追加で激突してきた…と、そんな感じなのだろう。


大きな事故だ、もしかしたらニュースになるかも?

初めてのテレビデビューが己の死亡事故とは、笑えない。


もし、これで本当に死んだら…今流行りの異世界転生ものの様にどこか異世界にでも生まれ変われたりするのだろうか?

本当に出来たとしたらある意味これもトラック転生(トラ転?)になるのかなー…なんて。

それにしても、死の間際に考えるつく事なんて案外そんな下らない事なんだなぁ…と、どこまでもマイペースな己に苦笑する。


…ただ、もし本当に転生何てものが出来たのなら。


その時は…うーん、何か美味しいものが食べたいかなぁ?

丁度、夕飯考えてる途中だったしね。



…あぁ、お腹すいたなぁ。



それを最後に私はゆっくりと瞼を閉じた。

こうして、私の人生はあっけなくも幕を閉じたのだった。




「ヒャッハー!」


どうも皆さん、如何お過ごしでしょう?

私は現在元気にターザンをしております!!


いやね、まさか本当にトラ転というものをしてしまったらしく…気付けばそこは見知らぬジャングルの中!これまた見知らぬ人々に囲まれていたのです!!

…なんてね、はい。まぁ、言ってみたかっただけです。


いや、確かに生まれ落ちたのは暮らし慣れた文明の利器が豊富な都会ではなく。どこぞのアマゾネスよ、と問いたくなるような自然が豊かすぎるジャングルでしたがね?

見知らぬ人々っていうのも、まぁぶっちゃけ今世の家族・親戚達ですがね??


トラ転っていうのも、確かに前世らしき記憶を持っていたからって言うので嘘では無いのですよ。

いつ思い出したの?って言われると、赤子の頃から何となーく記憶はあったっぽいのですよ。

自分でも知らないはずの知識を当たり前のように知っていたり、聞き覚えの無いはずの歌や踊りを知っていたり。

自覚なくそれを親や兄弟に伝えるも、幼い子特有の舌っ足らずと語彙力不足で何を言ってるのか分からない・伝わらないな状態で。

まぁ、小さい子特有の妄想とかそんなんだろーみたいな感じで「あら、そうなのねぇ」「凄いわねぇ」と流されまくり、自分では凄いこと言ったぞ!みたいな感じで胸を貼りまくっていた。傍から見ると、とても微笑ましい光景である。

そんな当たり前っちゃ当たり前の幼少期を過ごし、徐々に前世の記憶と言うものにも馴染み…この度漸く全てを思い出したのです!あ、因みに現在7歳のお子様であります。

前世をちゃんと思い出したとはいえ、自分であって自分じゃない。みたいな…映像越しの景色を眺めるような感じで、そこまで感傷深い性格でもなかった為に「へー、そうなんだぁ」位にしか受け取れなかった。なんかごめん?

いや、でも…前世の自分も隣で兄が号泣する様な感動ものの映画とかを見ても別に一緒に泣いたことなんて無かったし。

むしろ兄の号泣姿見て「うわ、なんやこいつ泣いてるわー」くらいの感想しか持てなかった気がする。

どことなく薄情で大雑把な性格は前世譲りなんだろうな!

うんうん。


と、それはいいとして。


とりあえず、転生をしたっぽいのは確実。

しかもジャングル。ここが異世界かって言われると…まぁ、前世知識からすれば恐らく異世界。

何故かって言うと…


「アコー!降りてこーい!!」


ジャングルの蔦でターザンごっこをしていた私を呼ぶのは、トカゲのような姿をした二足歩行の巨大な人物。

前世知識で呼ぶならば、リザードマンというものに似ている存在だった。

彼は私が暮らす集落に住む住人の一人で、家がお隣な事もあり昔から私の面倒を見てくれている近所の優しいお兄さんである。名前はネネ。厳つい顔のゴツい男だがネネである。

厳つい顔に似合わず案外可愛い名前なのが特徴だ。


「あいあいさー!」


猿のような器用さでシュタッと華麗な着地を決めた私を見て、彼は何故か心底呆れた顔をしていた。


「お前なぁ、危ねぇから1人で遊ぶなっつってんのに…しかも器用に蔦を使って素早く動きやがって。お前はサモーシャか何かか」


サモーシャとは前世で言う天狗猿のような立派な鼻に屈強な4本腕の獰猛かつ逃げ足の素早い魔獣の事である。


「えー?サモーシャみたいなカッコイイ腕なんてないし、鼻もおっきくないよ?」


「そういう事じゃなくてだな…つか、アレかっこいいか??怖くね?」


「えぇ?!あの、ムッキムキの腕!しかも4本もあるんだよ?!滅茶苦茶かっこいいじゃん!」


鼻息荒くサモーシャの格好良さを語る私にこれまた呆れたように大きな溜息をついた彼は、私の手を取って歩き出した。


「ムキムキって…まぁ、いい。ほら、家に帰るぞ」


「あいあいさー!」


「その、あいあいさーってなんなんだよ…」


大きなネネの【人】とは違う手を握り返して、私は夕闇に染まるジャングルの中をネネと共に帰路に着くのだった。





この世界を異世界だと確信したのは、ネネのような存在を知っていたからだ。

何よりもここは、アマゾネスでもなんでもない異世界のジャングルである。見たことも、聞いたこともない植物が至る所に群生している。

因みに、前世の時もジャングルの植物や動物に詳しかったわけでは無いので、そこに住む住民は前世でよく見る【人間】ではなくネネの様な多種多様な姿をしている者が多く存在していたからこその確信である。

正直、前世のジャングルと異世界のジャングルの違いは植生だけで判断するには己の知識が無さすぎて断念した。


馬鹿と呼ぶことなかれ。

寧ろ知ってる奴の方が希少であろうが!!


なによりも、この世界には魔法!があるのだ!!

ついでに、魔獣と呼ばれる獰猛な生物も潜んでいる。

中には聖獣や神獣と言ったものもいるらしいが、伝説上だったり物語の中でしか語られていない存在な為、実在するかは不明である…が、これらの話だけでもここが異世界と断言するには十分な証拠であろう。


そもそも、自分の姿形が【人】のそれと違うのだから信じざるを得ないのだが…。


今世の私は、一見人のようだが尖った耳に鮫のようなギザギザの歯。猫のように縦に割れた瞳孔をした金の瞳。

前世では茶色く焼けた色をしていたし、髪を染めてる人が多かったからか逆に新鮮に感じる漆黒の髪に、額にちょこんと存在する小さな角。

【人】の様で人ではない姿をしている自分、また身体能力も高く忍者のように高い場所もなんのその!軽くジャンプしただけでいとも簡単に3mは飛べる。

体力が有り余っていることもあり、ジャングルの中を縦横無尽に駆け回って遊ぶ日々。

前世では寧ろインドア派で、家から滅多に出ることのなかった生活を送っていたというのに…まぁ、今世では当たり前だがスマホやテレビは存在せず、なんならジャングルという田舎?に住んでいるものだから録な娯楽本もない。

そもそも字が読めない。

ということで、嫌でもアウトドア派になるというもの。

だって遊び場がジャングルしかないのだ!仕方がない。


と、まぁ。そんなこんなで異世界に転生したらしいことは理解した。だからといって、何をするでもないけれど。

だって、いくら身体能力が高かろうが自分7歳のお子様だし。


何よりもここ、鬱蒼としたジャングルだし。


よくある乙女ゲー転生とか、オンラインゲーム転生とか、小説・漫画の世界だったとしても。


ここ、自然豊かなジャングルだし。


そもそも、ゲームは見る専だったからよく知らないし。

小説・漫画転生だったとしてもそんなもの腐るほど読んでるからどれかなんて判別つかないし、何よりもイラストと実写を見分けるのって難しくないか??

あーゆーのって、結構似た名前多いし。無駄に長ったらしい名前だったり…無理!覚えられないっ!そんなん分かるかー!って感じ。


それに、ジャングルだよ??


冒険はあっても乙女要素なくね?って感じ。

多種多様な種族に囲まれてれば、美醜の判断なんか人それぞれというよりも種族によって変わるしさ。

集落で評判の美人さんも、自分にはよくわかんないし。

確かにあのモフサラな毛並みはとても素晴らしいとは思いますけどね??あ、美人さんとても性格の良いお姉さんで私も大好きなのですが、見た目ゴリラなのよ。

ちょっと、ゴリラの美人はわかんないかなって…いやいや、そりゃ異世界基準だし?前世とはまた微妙に違うんだけどー、見た目ゴリラっぽいんよなぁ。

滅茶苦茶優しくて気遣い上手、料理も狩りも完璧な素晴らしい人なんだけどね。特に場所柄、男も女も強い人がモテるから集落で評判なお姉さんは超強い人なのです!


なんたってここ、危険なジャングルだからね!


因みに、近所のお兄さん的なネネは守ってあげたい系男子らしい。色々と強い一部のお姉様方にはとても人気。

ほっそりした体に切れ長の瞳(リザードマンっぽい見た目だしね)、低めの身長(170は超えてそうだけどなぁ、この世界の人って基本みんなクソデカなのよね)狩りは上手いが男衆の中では力は弱い方(筋力差はまぁ仕方がない)、特に小さな子供(私の事かな?)に優しく気さくな性格で何よりも紳士(言葉遣いが丁寧な訳では無いんだけどねぇ)な性格が胸に刺さるらしい。

強くて魅力的!ならいいけど、守ってあげたい!って思われるのは本人のプライド的にはとても不満らしいけどね。


と、まぁ。

異世界のジャングルにある小さな、けれど多種多少な種族が済む集落が私の家で今世の故郷である。

トラックに激突されて飛ばされた世界がジャングルとは…


人生何が起こるかわからないものですね!




お読みいただきありがとうございました!


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