第九十二話
隼人の拳がタグルークにめり込む!
メキメキメキメキ……!
そういう音をたてて、タグルークの頭蓋骨はばきばきに砕けたが、すぐに再生する!
どうやって隼人を倒せばいいのか!?
タグルークはそういうのがまったくわからなかった!
どうやって隼人から逃げればいいのか!?
タグルークはとうとう逃げの思考になってしまっていた!
「逃げ腰だな」
「うう、ううう!」
「脚が震えてるけど、ケツにチンポ突っ込まれた?」
尻餅をつき、隼人が近づいて来る度に後ずさりをしていると、隼人が突如胸を蹴って地面に押し倒してきた。
隼人はマスクを脱いでタグルークの顔面に投げつけた。
「泣き言ばかり吐かしてんじゃねェぞ脳足りん。それつけろ。それは挑戦者の証明だ。今の俺は……挑戦者じゃない。お前がそれを被るんだ」
青筋がバキバキと浮かんでいる。
マスクを被ると、隼人はその顔面に拳をたたき付けた。右手で強く床に押さえ付けて、左拳で何度も何度も殴りつける!
怒りがどんどんと膨れ上がっていく!
いままでの自分の言動が嘘みたいだ、と思った。
何かを傷付けるのが恐ろしくて、何かを護ることに逃げていた。おそらくそれは、現在を見ればわかるほど強烈な自身の中に眠っていた残虐性から目を背けていたが為だろう。
タグルークはなんとか隼人の腹を蹴り、吹き飛ばした。
そして、隼人が着地するとすぐに殴り掛かった。再生した腕を思い切りたたき付ける!
「自分の腕が壊れるのもお構いなしに!」
再生能力をフルに働かせて、壊れたらすぐに再生!
殴る! 壊れたら再生! 殴る! 壊れたら再生! 殴る! 壊れたら再生! 殴る! 壊れたら再生! 殴る! 壊れたら再生! 殴る! 壊れたら再生!
「ウオラッ!」
「ギャアアアアア!」
稲妻の熱がタグルークの傷口を焼いた! 傷口を焼かれては再生能力が作用しない!
「耐えろ、耐えろ……ウウウウ!」
タグルークは傷口の焼けた部分をえぐり捨てて、腕を再生させた。ギンギンと痛みが走っている!
「尊敬するよ、そこはね」